アマゾンが笑う独占禁止を謳う経済学の無力さ。
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:より公平な市場競争を促すために、政府はもっと介入すべしという経済原理を再考する。「大きくて潰せない」は経済理論か。情報の非対称性とは何か。独占という現代の新しい問題への認識。
規制が経済を上げる?
さて、きのうに続き、アメリカの経済学の教科書で、日本経済復活のヒントを学ぶよ。
経済法則その2は、ちょっと意外な、これだ。
自由な市場には規制が必要である(Free market requires regulations)
ざっと、内容を見てみよう。
解説するよ
前段は、資本主義経済では好きなようにやれば、社会は上手くいくと言っているね。
しかし、後段は人間は身勝手だから、ルール破りや人を騙したり、いろんな悪いことをしてお金を儲けようとする、ということに対して警鐘を鳴らしているのだ。
それも経済活動をする人の、ほぼほとんどが、ズルをすると言っているんだ。
次の段に行こう。
ズルをすることの代表が独占、談合なのだ。
前者は、特定の資本が他の競争者を排除して市場を支配し、利益や機会をひとりじめにすること、後者は入札に参加する企業同士が事前に相談して、受注する企業や金額などを決めて、競争をやめてしまうことだ。
経済理論と現実の矛盾
公平な市場でルールを守って、取引をすれば経済は上がっていく、それがこの経済原理だ。
しかし、皆さんはこんな言葉を聞いたことがあるだろうか。
Too big, to fail(大きすぎて潰せない)
これは銀行や自動車メーカーが、ピンチになるとしきりに言われたことだ。
某大企業も、経営危機になっても社会的な影響が大きすぎて潰せない。それどころか、政府は税金を投入して救おうとしている。
現実は、こうした不公平を堂々と行っているのだ。
アマゾンとグーグルの独占を許す市場
今、テレビのニュースで、アマゾンの配送拠点の数が2倍になるという。
アマゾンは事実上、E-コマース市場を独占している。今さら言うまでもなく、規模の利益を享受しているからだ。
もちろん、独占禁止法という法律があり、日本でも2016年8月に公正取引委員会がアマゾンに立ち入っている。
しかし、アマゾンほどのツワモノが法律という基本的なところで、やすやすとミステイクを犯すわけがない。
腕利きの弁護士を、何人も高給でやとっているからだ。
問題は、「市場支配力」ってことなのさ。
市場支配力は、事実上の独占を許すわけで、ここでも経済理論と現実の齟齬がある。
もちろんこうした市場支配力に基づく事実上の独占は、アマゾンに限ったことではない、そう、グーグルだ。
日本経済が停滞から脱出できないのは、現在の二大成長市場である、Eーコマースとサイバースペースを、アマゾンとグーグルに完全に抑えられているからだ。
この2つの市場は無限に成長するだろう。
しかし、市場支配力をコントロールできる法律などなく、なすすべもないのが現状だ。
せいぜい、サイバースペースに国境を設け、課税するくらいのものだろ。
全てはカネ次第
「市場が適切に機能してれば、正しい競争が起こり、経済は成長する」、これも、そのとおりだと思うよ。
後段は、競争に参加するあらゆる人が得たい情報をゲットし、道路とか水道ガス等のインフラ公共財を使うことができ、災害等環境の変化が起こった時に、不利益を得ないようにしなくてはいけない。
だから政府はそのために、市場に介入すると言っているんだ。
ここでひっかかるのは情報だ。インターネットで誰でもどんなことでも調べられる、というのとは違うよ。
カネがあれば、より上質の差別化された情報をゲットできる。例えば、シンクタンクに金を出して調査させるとかさ。
情報こそ、ビジネスのドライバーだよ。
しかし、それを握るのは企業のカネ、経済的に言えば「市場支配力」だ。
まとめると、政府が市場が正しく機能するために、介入するという理屈はそのとおりだが、実際は限界があり、実際の市場は常に大が小を支配し、持てるものがやり放題、これが現実。
そういうことじゃないだろうか。
今日も最後まで読んでくれて、ありがとう。
じゃあ、また明日会おう。
野呂 一郎
清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー
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