コロナで思い知った「親ガチャ」は日米共通。
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:マッキンゼーの調査力は教育でもすごい、こと。アメリカ、スクールシャットダウンのマイナスの数量的分析。日本政府の学校閉鎖の深刻な損失を、もう一度考える。親ガチャは日米共通という現実。
数字やデータで説得できない日本のリーダー
日本人はすぐ何でも都合の悪いことは忘れちゃう、悪い癖がありますよね。
まだコロナは終わってないけれども、ここでコロナで起きたいろんな問題をレビューと言うか、反省し、誤りを正しておくべきだと思うんです。
まだ日本は戦争の総括も、反省もしておらず、同じことを繰り返すのではないかと危惧します。
企業もそうなんですけれど、日本って報告書を書く習慣がないような気がするんですよね。
コロナ禍で、これまでの反省がもしあるとすれば、もちろんそれは数限りなくありますが、その最たるものは、子どもたちに与えられたはずの教育機会が失われたことではないでしょうか。
もちろん、感染拡大の観点から、登校禁止はやむを得なかった、それはそのとおりです。
問題は、本来子どもたちが受けたはずの教育機会が失われた、その影響の大きさをしっかり把握し、これからそれをどう取り戻すかを真剣に議論しなくてはならない、そのことではないでしょうか。
総じて言えば、コロナで反省すべきは、コロナで釈明に追われた政治家、専門家のなかで数字やデータを示し、プラスマイナスを論じるかたちで国民を説得した人がほぼ皆無だったことだ、と考えます。
誰一人、飲食店の時短、学校の閉鎖、劇場、スポーツ施設の利用制限、外国人の入国制限等で納得する人がいなかった。
それは、真のリーダーシップが日本にないことを示しています。
あのマッキンゼーが教育に参入?
アメリカが何でもいいわけではないけれど、何にせよ、数字でハッキリ示す態度には感心させられます。
The Wall Street Journal2021年7月29日号では、あのコンサルティングの覇者・マッキンゼーアンドカンパニー(McKinsey & Co.)が、コロナ禍における学校ロックダウンの影響について、詳細な調査を行ったことが報じられています。
以下、マッキンゼー調査および記事の概要です。
1.全米規模の小学生の学力調査
全米の、コロナ禍で学校に1年間ほぼ行けなかった小学1年生から6年生まで160万人に対して、2021年春2大規模な学力テストを行い、その結果をコロナ禍以前の同時期に、ほぼ同じレベルの生徒たちの成績と比較した。
2.学力が著しく落ちている現実
結果はコロナ禍で登校できなかった児童160万人は、著しく学力の伸びが妨げられているという結果がでた。具体的には、パンデミック前の子どもたちのパフォーマンスと比較して算数では5ヶ月、読む力は4ヶ月、遅れていることが判明した。
3.実際はもっとひどい
この調査はリモートで勉強した子供たち、コロナ被害にあった子供たちを除外しているので、実際はもっとさが開いたはずだと、マッキンゼーは分析している。
4.教職員組合が問題?
マッキンゼーではなく、The Wall Street Journalの分析では、この結果には教職員組合に責任があるとしている。なぜならば組合は、学校再開の要請を一度拒否し、その後もいい加減なカリキュラムでお茶を濁した、からだ、としている。
5.いい加減な授業
データ調査企業のブルボ(Burbo)によれば、2021年の後半は殆どの学校が再開したが、しかし大半の生徒はフルタイムでなく、パートタイム労働者のよう。登校はよくて週に数日、ひどいケースだと数時間だという。
6.黒人学校の遅れがひどい
主として黒人が通う学校では、1年間のロックダウンの結果、算数と読む力(リーディング)は、平均6ヶ月遅れていた。
7.収入格差の教育への影響
家庭の平均収入が25000ドル(323万円)以下の子供たちは、数学で7ヶ月、読む力でで平均6ヶ月遅れた。
マッキンゼーの心配
学習経験がとりわけ重要な小学生が、もし1年間十分な教育を受けられなかったらどうなるか。
調査結果をもとに、マッキンゼーはこう主張します。
その他何百万の普通の生徒が失う収入は、それどころでは済まない、そうThe Wall Street Journalは言い添えます。
「親ガチャ」は日米同じ
最近「親ガチャ」という言葉をよく聞きます。
裕福な家に生まれついたものはよい教育を受け、結果高学歴を得て、有利な人生を送る、という若者流運命論のことです。
でも、これは様々な統計で、一部立証されていますよね。
たとえば東大合格者の両親の平均収入が、1000万を超えている、などです。
これは洋の東西を問わないようで、アメリカでもチューター(tutor家庭教師)や私立学校に通わせることのできる富裕層は、今回論じた教育の機会不均等の悪影響をブロックできています。
The Wall Street Journalは、「多様な学校を増やし、学校を選ぶチョイスを増やすことだ」と結論づけています。
今日も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
では、また明日お目にかかるのを楽しみにしています。
野呂 一郎
清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー
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