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「話さないお店」はカスハラ対策にはいいけれど。

この記事を読んで、あなたが得られるかも知れない利益:現代はタッチパネルで注文する時代、店員と客が話しをしない時代。合理的かもしれないが、何かが違う気がする。でもカスハラにはいいね。カスタマー・タッチポイントとは何か。トップ画はhttps://qr1.jp/dgwLbL

「話さないお店」がデフォルトに

昨日の続きなんですが、結局、ケンタッキーフライドチキンの店舗のリニューアルっていうのは、セルフ式のオーダー&会計を導入しただけです。

店員さんはただ作って、番号どおりの品を渡すだけ、です。

イノベーションとは、同じ目的を達成するために、より画期的な方法を取ることですが、これは煙を出さないタバコなど、通常社会を益する行為を意味するので、これがイノベーションかは微妙なところです。(The rough guide to economics, Andrew Mell & Oliver Walker, Rough Guides, 2014 P108)

新店舗は、いわば「話さない店舗」ですね。

考えてみればスシローもそうです。

注文はタッチパネルで、商品のボタンを押せば特急レーンで1分もすれば、到着です。

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飲み物を頼んだときだけ、店員さんが運んできてくれて、そこで「お待たせしました」と言うだけです。

フードサービスは、どんどん「話さなく」なっていってます。

カスハラという大問題

もちろん昨日申し上げたように、オペレーションの簡素化、省力化もありますが、カスハラを防ぐことは重要なポイントです。

カスハラ、は近年話題の経営用語で、カスタマー・ハラスメントの略、従業員に対し暴言を吐く、暴力を振るう、ネットで攻撃的な書き込みをするなどの、お客側の従業員に対する不適切な行為を意味します。

僕のゼミを取っているある男子学生は、コンビニで夜中のバイトをしているのですが、「支払いの時、客にお金を投げつけられた」、というのです、それも一人や二人ではないそうなんです。

最近店頭では、従業員の名札を排除することが多くなっていますが、その理由は名前を見せると、名指しで攻撃してきたり、ネットで晒して批判するなどの行為に繋がりやすからです。

最近僕が使っているバス路線でも、運転手さんの名前の札が消えました。

こうまでして、悪質な客から従業員を守らなくてはならない時代なのです。

その意味で、自動注文システムは、注文時の態度が悪いと客に難癖をつけられるリスクはなくなると言えましょう。

タッチポイントがなくなる

しかし、マイナスも指摘されます。

それは客と従業員のコミュニケーションの接点がなくなり、企業のマーケティングにとって最も重要な顧客情報がなくなることです。

この従業員とお客さんがやり取りする局面を、「カスタマー・タッチポイント」といいます。

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タッチポイントは、店舗側がお客様の情報をゲットする、またとない機会であるとともに、感じの良い接客を通じ、ファンを創る場でもあります。

言葉一つで、もっと商品を買わせたり、質問に答えることがそのまま顧客へのサービスにもなります。

タッチパネルは、タッチポイントをなくしてしまう、自殺行為だと断じる向きもあるのです。

また、そもそも、客との接点をなくしてしまうことは、企業にとって実践的な従業員教育の機会を奪うことになりかねない、という指摘もあります。

お客さんとのやりとりで、従業員はビジネスとは、サービスとは、を学ぶというのは否定できない真理といえましょう。

不確実性の時代、企業は人手不足、材料の不安定といった外部圧力に押され、自動化というおろかで浅薄な、その場しのぎに頼るしかないのでしょうか。

怒鳴るたび、唇寒し、クレイマー。(詠み人しらず)

野呂一郎
清和大学教授



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