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「もし、ニクソンがトランプだったらウォータゲートはなかった説」を検証する。

この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:なぜ4度も起訴されているトランプが強いのか。アメリカの政治を変えたものとは何か。ニクソンとトランプの違いとは何か。トップ画はhttps://qr1.jp/qjlp7d

ニクソンがトランプだったら?

4度の起訴、罪状は91件。不倫の口止め料を虚偽記載、国防に関する機密書類の持ち帰り、大統領選の結果をひっくり返そうと国家を欺こうとした男、ドナルド・トランプです。

なぜ、こんな男が共和党の次期大統領候補に、ダントツの強さをみせているんでしょうか。

それはトランプがインターネットとSNSが産んだ、モンスターだからです。

アメリカ大統領で、悪人といえば、ウォータゲート事件で失脚したリチャード・ニクソンをおいていません。

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ウォータゲート事件は、ニクソン政権が敵対する民主党本部に盗聴を仕掛けた件で、ニクソンが大統領弾劾を恐れて、事前に辞職をしたという事件でした。

共和党はそんなことをしなくても、大統領選に勝てたのに、なぜこの事件が起こったかはまだミステリーですが、この事件が、仮にトランプが主役だったらどうなったでしょうか。

トランプは知らぬ存ぜぬどころが、逆ギレして「陰謀だ、ディープステートの仕業だ!」などとわめき、ネット民はそれをはやしたて、喝采を送ったのではないでしょうか。

パワーは政党から政治家個人へ

ウォータゲート事件の背景には、共和党vs民主党という背景がありました。党の影響力が全面にでており、政治=政党だったのです。

しかし、今はどうでしょう。さっき軽くトランプをその次代にワープさせて軽く検証を試みたわけですが、やっぱりトランプは開き直っておしまい、ですよね。

インターネットとSNSが政治を変えたのです。

昔はパワーは政党にありました。しかし、今のトランプを見てごらんなさい。

悪いことをたくさんして起訴されたって、平気で支持率も落ちません。

それはインターネットで、ソーシャルメディアで、大衆に発信し、訴えることができるからです。

嘘でも何でも言って自分を信じ込ませ、あまつさえ、カネまでもらう、これがトランプの手法です。

政治家にタブーはなくなった

ロジックやリクツや証拠などはいりません。

必要なのは「俺はやってない」「悪いのは奴らだ」「陰謀だ」のような感情的な短い言葉と厚かましさです。

ニクソンがあの時、トランプの100万分の1でも、図々しく開き直ることができたら・・ウォータゲート事件なんておきなかったのに。

いやいや、歴史は遡れないし、トランプにしたってデジタル時代の申し子だからこそ、平気で嘘をつけるし、開き直れるわけで、トランプはSNSが生んだモンスターなのです。

ハーバード大学の政治学者で、近著「How democracies die」を著したスティーブ・レビスキー教授(Steve Levitsky)はこのあたりをこう説明します。

左がレビスキー教授。https://qr1.jp/OKnf4a

「政治家が有権者と自由にコミュニケーション出来るようになったことで、政党が政治家個人の行動をコントロールすることが、どんどんできにくくなっている。」

ニューヨーク・タイムズWeekly 2023年8月13日号 History cast shadows on Trump indictment(トランプの起訴に歴史が暗い影)

レビスキー先生はこう続けます。(一部加筆訂正)

「政治家はもはや平気でタブーをおかす。昔なら所属する政党をこき下ろしたり、スキャンダル一発で政治生命は終わりだったが、今やそれが勇気だったり、群れたがらない独立心ともてはやされる。

もはや、口汚く身内であってもエスタブリッシュメント(指導層)を罵ったり、対立姿勢を明らかにすることはタブーでもないし、命取りでもない。むしろ新しい政治家の出世につながる態度なのである。スキャンダルも、そうだ。」

トランプが大統領に返り咲くシナリオは、もはや現実味を帯びてきました。

野呂 一郎
清和大学教授





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