河口湖で感じた「英語プラスαが足りない」件。
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:リゾート地に外国人が溢れている。観光客は宝の山なのに、積極的行動がない企業と政府はどうしたものか。ある頼もしい女性の例をあげて考える。
バスは満車、道は渋滞
棒術の合宿で、河口湖に行ってきました。
土日だったためか、10時半に希望していた新宿からのバスは満車、1時間前のバスにようやく空席を一つ見つけ、乗り込むことができました。
しかし、渋滞に巻き込まれ、1時間半遅れで河口湖駅についたのですが、かつて見たこともない人混みがそこにありました。
そうです、インバウンドの外国人観光客です。
駅前には、かつてなかったイカ焼きの店や、みやげ店などもでき、外人客で賑わっています。
バスの乗車券売り場は、見たこともない長蛇の列が続いています。
英語が足りない
僕はその話を、合宿に参加している知り合いの女性にしたんですよ、彼女はアメリカ人男性と結婚し、外資系企業を渡り歩くような国際派です。
彼女はこんなことを言ったのです。
彼女のこの行動こそが、日本のインバウンド戦略の答え、だと思うんですよ。
英語を喋れればいい、というわけではないんです。
一言で言えば「親切でおせっかいな人」であることが必須、なのです。
親切でおせっかいな人、とは「それぞれのニーズにあわせた情報を提供できる人」のことです。
彼女は、バスが遅れているのはもう外国人もわかっているので、渋滞の理由、道路状況の見通しとか、到着時間の目安という情報を彼女の主観や解釈も交えて、伝え、外国人観光客が自分でも今後どうするべきかを判断できるようにしたのです。
こうした情報の提供こそが、バスの中で渋滞に巻き込まれ、日本語のアナウンスに怪訝で不安な表情をしていた数十人の外国人が一様に望んでいたことだったのです。
外人たちが、女性のアナウンスに胸をなでおろしたのことは言うまでもありません。
英語プラスαが必要
バスの運転手さんが、こうした情報を英語で流すことができれば、外国人観光客にとって、サービスの向上になるのは明らかです。
しかし、大事なのは「それぞれの顧客がどんな情報ニーズを持っているかを推測し、判断すること」です。
そのために必要なのは、実は「能力」よりも「親切」なんです。
親切心とは、他人のために「何かしてさし上げたい」という自然に湧き上がってくる気持ちです。
それがないと、英語が喋れても、相手を喜ばせたり、満足を与えたり、感謝させたりすることはできません。
インバウンドの時代、日本が求めている人材が、僕の中ではっきりしたんです。
くだんのおせっかいな、その女性の行動とメンタリティです。
親切で英語が喋れるひと、のことです。
でも、英語よりも親切が上回っている人のほうが、役に立ちますよ。
蛇足ながら、その親切心は、本当にそのひとのことを思いやる気持ちから出たものでなくてはなりません。
あの、一平氏のことを引き合いに出すまでもなく。
野呂 一郎
清和大学教授
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