AI時代だからこそ武道が必要。
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:AIにない人間の能力の代表は「直感」だ。AIに頭脳を乗っ取られる前に、AIよりすぐれた直感力を取り戻し、強化しよう。その方法論は武道にある。トップ画はhttps://x.gd/CRM5U
ますます重要性を帯びる武道
最近、欧米のメディアで、AIに対してひんぱんに使われる形容詞があります。
それはカウンターインテュイティブ(counterintuitive 直観に反した)という言葉です。
「AIの出す結論は、しばしばカウンターインテュイティブ」である、という具合に使われます。
AIばかり使っていると、人間の本能である「直感」が弱る、という意味です。
この言葉が使われるもう一つの背景は、「直感という人間しかもってない本能を、むざむざAIに譲り渡すバカいるかよ」という、人間>AI論の勃興です。
現代における武道の功徳
それは、直感を磨く、ということです。
この点、武道には一つの方法論があります。
それは気配を読む、訓練です。
弾丸を避けた植芝盛平
合気道開祖の植芝盛平翁には、有名なエピソードがあります。
それは至近距離から放たれた賊の拳銃の弾丸を、ヒョイ、っと避けてみせたというものです。
これは複数の証言者がいることから、信憑性はかなり高いと思われます。
なぜそんなことができたのか。
それは、植芝盛平翁が「気配を読む」達人だったから、です。
言い換えれば、直感で弾丸が放たれることを察知(予知)し、その寸前に対処した、ということです。
僕もそうですが、欧米のメディアでは「AI時代に、人間の直感が退化する」ことを懸念する論調があります。
申し上げたように、AIの指示はしばしば、人間の本能的な感覚に反するからです。
常にAIの判断が人間より正しいわけではありません。
むしろ、これからは直感を活かす経営がクローズアップされる動きさえあります。
直感を鍛える武道の方法論
例えば、合気道でどうやって「気配を読む」ことができるようになるのか。
僕ごとき浅学のものが、物を言うのは憚れますが、こういうことではないでしょうか。
合気道は、文字通り相手と気を合わせる武道です。
相手の力に逆らわない、力の方向に沿うことにより、相手をコントロールする技術です。
お互いに技を掛け合う中で、相手の力の方向が瞬時に感じられるようになるのです。
何千、何万回とそれを反復すると、相手と対峙した瞬間に、力の方向が読めるようになる、つまり相手の意図や出方が前もってわかってしまう、ということです。
まあ、それは僕の勝手な仮説でしかありませんが。
気配を読む空手の訓練とは
空手のベーシックな訓練に「約束組手(やくそくくみて)」があります。
これは攻撃側がどういう技で相手のどこを攻撃するかを予告して、受け手はそれに対応する、という訓練です。
受け手は、いつ攻撃が来るかと全身全霊で備えます。
相手の攻撃の気配を必死に読もうとします。
そしてある結論を出すのです。
それは「肩の動き」です。
突きを出すときには、予備動作として肩がどうしても動くのです。
上級者にとっては、違う答えもあります。
それは「相手の目」です。
相手の目が光った時(笑)、上段に向けられた正拳が放たれます。
いずれにせよ、方法論は違いますが、武道は「気配を読む」訓練を通じて、直感を鍛えることができるのです。
ちなみに、武道では「気配を消す」ということも、気配を読むことと同じくらい重要です。
例えば、空手の前蹴りを放つ時、蹴りの気配を相手に気取られたらなりません。
そのためには蹴りの予備動作をなるべく小さくして、技の起こりを相手に見せないことです。
「気配を読む」訓練に「気配を消す」訓練が、相まって直感が鍛えられるのです。
ビジネス研修に武道を
僕は「直感を鍛える」という意識向上をテーマに、武道をビジネス研修に取り入れたら効果的だと思っているんですよ。
ちょっと前のnoteに「データドリブンは必ずしも正しい答えではない」と書きましたが、AI時代にこそ直感は重要だと考えます。
直感を磨くことは、経営判断だけでなく、創造性や人間関係といった、ソフトスキル向上にも役立つはずです。
企業はどこかの武道団体とコラボして、AIが絶対に持ち得ない、「人間力」を鍛える研修をやったらいいと思います。
また武道の側も、ビジネス仕様のカリキュラムという画期的なプログラムを゙創れば、ますます発展していくでしょう。
海外では、無論、大爆発するはずです。
野呂 一郎
清和大学教授