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国葬武道館男子トイレ問題とダイバーシティ。

この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:米ナスダックのガバナンスに関する考え方。ダイバーシティ(diversity)経営にはエビデンスがないという主張。

武道館のトイレ問題

今朝、ワイドショーを見ていたら、女性コメンテーターからこんな話が出ました。

「昨日のツイッターで話題になったのは、武道館の男子トイレが満員なのに、女子のはガラガラだったこと。弔問客は男ばかり。これは男社会の象徴。女性が機会を与えられない日本は成長しない」。

9月28日羽鳥慎一モーニングショー 

まったく同意です。日本はあまりにも、女性が世の中に出て活躍することを防げる有形無形の障壁が多すぎます。

あれはもう35年くらい前のことですが、務めていた組織でアメリカの出版業界を見学に行こうとなって、アメリカの出版社30社位を回ったことがあるんです。

そこで対応してくれた責任者は、ほぼ全員女性だったんです。

その頃は日本ももっと男性中心社会でしたから、僕はショックを受けたことを覚えています。

概してアメリカは1964年に発効された公民権法で、職場におけるあらゆる差別を禁じているので、男女の機会均等はいまでも日本と比べれば、天と地の差があるのです。

ダイバーシティ(diversity)という言葉は、ここ30年で男女差別許すまじという影のニュアンスを持った時代のキーワードになりました。

ダイバーシティ(diversity)とは直訳すれば多様性という意味ですが、具体的には組織の経営陣に女性を半数は就けろ、という主張です。

時として女性が黒人になり、有色人種になり、最近ではLGBTQになります。

水戸黄門の印籠よろしく、ダイバーシティと書いた札を出せばどんな企業でも、これにひれ伏すのが現代という社会です。

アメリカでは、取締役会の構成についても女性の登用を積極的に進めるべし、という考えが大勢を占めています。

ナスダックのダイバーシティに反対する勢力

NASDAQは、National Association of Securities Dealers Automated Quotations」の略です。直訳すれば、全米証券業協会自動通報システム。1971年に設立された、アメリカに2つある株式市場の1つで、取引する立会場がない電子取引所という位置づけです。

ナスダックは、上場企業に対し、厳格なダイバーシティ(diversity)に関すルールを定めています。

それは、取締役会の構成です。必ず女性を一人ディレクター(director取締役)として入れなくてはならない、そしてそれに加え、黒人、アジア人、有色人種の出自の人物をもうひとり、一人ディレクターに任命しないとならない、というものです。

これは、ナスダックの上部機関であるSEC(Securities and Exchange Commission米証券取引委員会) の方針で、こうしたダイバーシティを取締役会の構成に適用することにより、企業のガバナンスが向上するからだというのです。

ナスダックのこのダイバーシティ至上主義ともいえる主張は、同団体の一つの強硬なスローガンに明らかにされています。それは、

差別するなら、その理由を説明せよ(discriminate-or-explain)」というものです。理由の説明は文書で書いて出せ、という但し書きもついています。

The Wall Street Journal2021年4月30日号は、「Nasdaq diversity push isn’t evidence-based(ナスダックのダイバーシティ押し付けは、エビデンスの根拠がない)」と題し、ナスダックの方針に異を唱える人々の主張を報じています。
 
反対派の主張は、女性、黒人、有色人種、LGBTQを取締役会に入れることを強制するのは、違法であり、憲法違反であり、科学的根拠にも基づかないというのです。

違憲という主張は、ナスダックのやり方は言論の自由、宗教の自由、報道の自由、集会の自由、政府への請願権の5つの権利を保証した、アメリカ合衆国憲法修正第1条(いわゆるファースト・アメンドメントFirst Amendment)に違反している、というものです。

反対派は米議会の右派の大物と言っていい人たちで、ボイデン・グレイさん(Boyden Gray)は、 現役のアメリカのEU大使であり、ジョナサン・ベリーさん(Jonathan Berry)はアメリカ労働局(US Department of Labor)の政策ヘッドを務めています。

このことは、アメリカ政治の中枢に、ダイバーシティを良しとしない勢力が存在することを示しています。

彼らは、公共性の高いナスダックのルールは、科学性に基づかないと無効であると主張し、ナスダックはダイバーシティ・ルールは詐欺の被害を防ぎ、投機色を弱め、株主価値を上げると反論します。何よりもリアルなエビデンスがある、というのです。

学問的な根拠がないことは事実

僕もかねてから、ダイバーシティ経営の実効性について、学問的根拠を探してきました。

しかし、女性を強制的にボードメンバーにしたら、会社の業績が持続的にあがることをを統計的に有意に実証したデータは皆無でした。

こうしたデータがないことは、専門家の間でも公然の秘密でした。

しかし、世の中のダイバーシティの大合唱に、そうした「懐疑論」はかき消されていったのです。

え、お前の意見はどうなんだ?って。

いやですよ、反対派に同調すれば、女性の読者を失うかもしれないし・・・
って情けないなぁもう。

ただ、このナスダックのダイバーシティ方針のように、ある役職の男女パーセンテージを無理くりにでもフィフティ・フィフティにするといった考え方にも、理があるのです。

それはまた議論しましょう。

あ、シンデレラの時間だ、12時過ぎちゃったら連続500回が消えちゃうからこれで終わりにしないと。

今日も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

では、また明日お目にかかるのを楽しみにしています。
 
                             野呂 一郎
                清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー



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