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日本のMBAはもっとリモートワークを真剣に議論せよ。

この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:リモートワークをカリキュラムに入れないMBA教育は、生き残れない?リモートワークをめぐる議論が世界中でまた沸騰している、その中身。リモートワークを考えることは仕事とは何かについて考えること。

マスク氏は正しいのか

こんなことを言うと、ニューヨークタイムズの記者みたいにマスクさんからアカウント停止を食らうかもしれませんが、マスクさんの「リモートワークやってるやつらは、どっかで怠けてるに決まってる」っていう主張はどうなんでしょう。

きのう日本のMBAが世界の時流に遅れていると言いましたが、その一つがリモートワークです。

2020年3月コロナ発生までは、世界でリモートワークを研究している学者はほとんどいませんでしたが、今やこの分野に研究者が集まっています。

その先駆者的存在、リモートワーク革命(Remote Work Revolution)を書いた
ハーバードビジネススクールのシーダル・ニーレー教授(Tsedal Neeley)は企業のコンサルティング、データ収集、本の執筆や講演、プロジェクト、そして自身の研究をMBA学生にフィードバックするなどで大忙しです。

シーダル・ニーレー教授 https://qr.quel.jp/pv.php?b=3uWQ4MC

そう、昨日言い忘れましたけれど、リモートワークこそ、今のMBA学生が真剣に議論すべき最大のテーマなのです。

ニーレー先生は自身の調査結果を踏まえて、こういいます。

「今や少なく見積もっても70%のナレッジワーカー(知識労働者)がリモートワークを支持しているのよ。

それはオフィス回避などと言う単純なことではなくて、いったい正しい働き方とはどういうことなのかという、真剣な問題意識が沸き起こっている、ということなの。」

ニーレー先生

先生によると、もはや労働者の20%は”リモートワーク・ネイティブ”、つまり生まれながらにしてリモートワークが当たり前と考える世代、になってしまっていると言います。

少し前、米国を中心にグレート・レジグネーション(Great Resignation 大転職時代)というムーブメントがおこりました。これはいまだ現在進行形なのです。

そんな中にあって、ツイッターを率いるマスクさんを含め、一部の大企業トップは「オフィスに戻れ」を叫んでいますが、この流れには逆らえないでしょう。

もっと言うと、「時代錯誤」なのです。

リモートワーク、具体的な問題点

いまやリモートワークをめぐる議論は、リモートワークに付随する複雑な問題(complex challenges)をどうするか、の段階に入っています。
例えば、以下のような問題です。

・週に何回リモートにするか
・会議に常に適切なスタッフが出席できるようにするには
・リモートワーカーの適切なスケジュール管理
・リモートワーカーとそうでないスタッフ間の昇給や昇格をめぐる公平な人事制度
・リモートか否かで上司からのえこひいき、差別がおこらないようにするには

ロンドン・ビジネススクールの教授で、ニーレー教授と同じくリモート・ワークの権威リンダ・グラットン教授(Lynda Gratton)は、急いでリモートワーク懐疑派の企業にあてつけるような、著書を書きあげました。

https://www.google.com/url?sa=i&url=https%3A%2F%2Fwww.youtube.com%2Fwatch%3Fv%3DjaZTQDPLpXc&psig=AOvVaw1aLv8J1JJz_UtZpyFhQ6Dw&ust=1671445566006000&source=images&cd=vfe&ved=2ahUKEwjehYeL-oL8AhUJ0YsBHVmSC7AQr4kDegUIARC1AQ

タイトルは
Redesigning Work : How to transform your organization and make hybrid work for everyone (働き方を再設計する:どうやってあなたの組織を改革し、すべての労働者にハイブリッドワークを実現するか)

そう、もはや世界はハイブリッドワーク(在宅+オフィスワーク)が、当たり前になっているのです。

この本は段階的に、企業にリモートワークの正しいやり方を指南します。

まず、企業にリモートワークを採用すべき現実を説き、あたらしいアプローチを紹介、これをテストした結果を示して説得し、実行させるという段取りです。

グラットン先生はこういいます。

「私は30年、このロンドンビジネススクールで教えてきたけれど、こんなに仕事というものを考え直す、驚くべきすばらしい機会に巡り合ったことはないわ」

グラットン先生

僕も、オンライン授業がリモートワークと考えると、ナマの授業とどっちがいいんだろうと考えさられることが多々あり、フェイス・トゥ・フェイスの働き方が必ずしもベストではないと思い始めています。

日本企業とビジネススクール最大の問題点


僕は、日本企業が、この問題にまったく無関心に見えることが心配です。

世界が、深刻なタレント獲得競争にしのぎを削っている現状をわかってないのです。

人種や皮膚の色など関係なしに、よい人材を世界から獲得できない企業はもうダメでしょう。

ましてや少子高齢化が世界で最も急速に進む日本は、そうです。

世界共通の人事政策すら設計できない日本企業に、「リモートワークを真剣に考えないと、世界に遅れちゃうよ」と言っても無駄かな。

日本のビジネススクールも、しかり、だよなあ。

国際性の欠如、日本企業も日本のビジネススクールも、これが最大のアキレス腱なんです。

今日も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

では、また明日お目にかかるのを楽しみにしています。
 
                             野呂 一郎
                清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー



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