台湾有事でアメリカは中国に負けるのか
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:もし米国が中国と戦えば勝てるのか、のシナリオ。資本主義ゆえの弱みとは何か。米国がアフガニスタン統治を諦めたほんとの理由とは。
戦争ゲームで中国に負けたアメリカ
いわゆる台湾有事は、かなり確率が高い証拠があります。
アメリカが本気で準備に入っているという、現象が、これです。
アメリカのシンクタンクである、戦略及び国際関係研究センター(the Center for Strategic and International Studies)が、中国が台湾に戦争を仕掛け、アメリカが援軍に入るという、ゲームでシュミレーションをしたのです。
そうしたら海から陸からの中国の攻勢に防戦一方で、中国の戦艦に対抗する長距離ミサイルを数週間で撃ちつくしてしまった、というのです。
昨日のThe Wall Street Journal電子版(3月6日2023年)は、The U.S. Is Not Yet Ready for the Era of ‘Great Power’ Conflict(アメリカはまだ新たな超大国間戦争の準備ができてない)と、題してこのままでは戦争が始まったら中国に勝てない、というセンセーショナルな懸念を表明しました。
それだけではありません、交戦の可能性があるのは中国だけではなく、中東、アフガニスタン、そしてロシアも当然あり、実質中露のタッグチームとの戦いに結局はなるからです。
これを称して、The Wall Street Journalは「新たな超大国間戦争」と言っているわけです。
例によって俺流でまとめてみましょう。
なぜ、アメリカは勝てないのか
1.ロシアは核大国であること
ウクライナ侵攻で、ロシアのダメっぷり(戦術、ウクライナ諜報のずさんさ、兵器のアップデートなし等々)が明らかになったが、ロシアは核兵器大国であることを忘れてはならない。
2.中露はタッグを組むから
プーチン、習近平の蜜月は見ての通り。
1.兵站(軍隊支援)に懸念がある
軍事産業が生き残りをかけて再編中で、大が小を飲み込み、結果としてアメリカの兵器メーカーの数が減り、供給能力が弱っている
2.兵士が集まらない
イラク、アフガニスタン戦争でアメリカ全体が戦争忌避感が強くなり、志願兵が集まらない。
3.軍事費が足りない
中国だけが仮想交戦国でない、イラン、中東、ロシアもあり、軍事力が分散されてしまう。軍事予算8000億ドル(80兆円)でも足りない。
4.兵器製造能力が敵国より劣っている
アメリカの造船所の潜水艦製造能力が、中露のそれより弱い。潜水艦は中国の大規模艦隊にカウンターでぶつけるための兵器。
5.兵器開発能力が敵国より劣っている
超音速ミサイルの開発で、中露に遅れを取っている。
6.CIA(米中央情報局)が準軍事活動から手を引いた
この20年CIAはテロリスト、反政府分子制圧のため活動してきたが、現在は本来の諜報業務に戻ってしまった
6.対中戦では空中戦で不利だ
アメリカがイラク、アフガニスタン戦争で有利に運んだのは、空中戦で分があったからだ。
しかし、対中戦となると、アジアの基地、港を使うことになるわけだが、供給ルートとして長年弱体のままなのだ。
7.ロシアがヨーロッパに戦争を仕掛けるおそれ
アメリカが対中戦争に踏み切れば、ロシアはここぞとばかり東ヨーロッパにケンカを売ってくるおそれがある。
アメリカはその場合、ヨーロッパの援軍もしなくてはならず、いわゆる二面戦争(同時に二箇所で戦闘する)になる。
8.中国が南シナ海を支配しつつある
ここ数年の中国の戦略だ。近隣の島々を実効支配し、人口島を作り、軍事基地化し、アメリカの通行権を認めない。
総括
現代戦争における勝利の3条件は、以下だと言われています。
中国と戦争になると、確かに現在はアメリカのほうがトータルな軍事力では上回っていますが、上の3条件においてますます拮抗しているのが現実です。
ペンタゴン(米国防省)は、R&D(研究開発)の予算を1億4千億ドルまで引き上げました。
このことが、両国の軍事力の現実を物語っていると言えましょう。
特にアメリカは、長距離をうかがえる中国製のミサイルに、ナーバスになっており、ペンタゴンの研究開発費増強は、中国のミサイル研究、そしてそれ以上のものを開発するためのものでしょう。
アメリカは、台湾有事となる前にこれから日本に様々な協力、要請をしてくると思います。
特にこれから国内のアメリカ駐留基地に、様々な要求があるでしょう。日本は、従うしかないんでしょう、これまでのように。
本当に日本って、主体的に、能動的に外交ができないんですよね。
今こそ有事を見据えて、アメリカだけじゃなく、中国とも積極的に話し合い、戦争を避けるべきでしょう。
ウクライナ戦争にしたって、なぜトルコやフランスのように、積極的に介入しないんでしょうね。
外交の平和のリーダーシップをとれずして、大国とはいえませんね。
僕の結論は、日本が米中の間に入って、積極的な役割を果たせ、ということであります。
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
じゃあ、また明日お目にかかりましょう。
野呂 一郎
清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー
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