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セブン買収問題はDXでは解決できない。

この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:セブン&アイ・ホールディングスがカナダの企業から買収提案を受けた。おっと待てよ、これって一企業の問題ではなく、日本のインフラの、食料の危機ってことだよね。政府も企業もリスク管理はどうなってるんだ。意思決定などを超えた、本質論が大事だと言いたい。

日本の食品と流通が危ない

セブン&アイ・ホールディングスがカナダの企業から、買収提案をされました。

セブンが外資の参加になったら、流通のみならず、食料という安全保障の根幹まで揺らぐ、ということになりかねません。

セブンは好調ですが、イトーヨーカドーが足を引っ張っているし、金融関連事業もリスク管理に不安があります。

そこに目をつけられたか。

海外の投資家や拡張主義のガリバー企業からすれば、セブングループは選択と集中ができてなおらず歯がゆいし、円安で日本企業が買い得になっていることもあって、今が買い得だと踏んでいるのでしょう。

資本主義だから、大が小を飲み込むのは当然だと、政府が考えているとすれば、とんでもないことです。

コンビニは今や、日本人にとって最大のインフラだからです。

円安を放置する悪手のツケが回ってきたのか。

セブンの戦略は正しいか

事業報告書などを読んでみると、セブン&アイ・ホールディングスの戦略の根幹は、DX(デジタルトランスフォーメーション)ということなんですよね。

DXとは、ビジネスプロセスをITとデジタル技術で変革することです。

そのためにはアルゴリズム(問題解決の数式)を用いた、AIという問題解決法をバンバン使って業務の効率化と意思決定の迅速化をはかることが今後のセブンの戦略、ネットに公開された資料を、僕はそう読みました。

しかし、アルゴリズムを中心にした経営はうまく行かないとの論が、海外から出ています。

データドリブン経営への疑念

アルゴリズムを使ってAIモデルを創る、これがDX経営だとすると、そのかなめはデータにあります。

さまざまなデータをあつめて、アルゴリズムの燃料にする、よってデータは多ければ多いほどいい。

それが、世界中にあふれるAI信仰のど真ん中、です。

しかし、それは間違っています。

これは、僕が言っているんじゃないんですよ、アメリカの学者がそう言っているんです。

ウォーイック大学(University of Warwick )で戦略と意思決定を研究するジャーカー・デンレル教授(Jerker Denrell)はこう述べています。


デンレル教授 https://x.gd/C27dH

データが多ければ多いほど、正確な予想ができるという考えには条件がある。それは完全な世界で、完全な人間が完全なアルゴリズムのプロセス処理を行う、という条件だ。しかし、我々はそのような世界は生きていない。

The Wall Street Journal電子版2022年11月4日 When it comes to data, sometimes less is moreデータに関する限り、少ないほうがいいこともある

人間中心の経営に戻れ

セブン&アイ・ホールディングスを買収しようってカナダの会社も、おそらくアルゴリズムを駆使したAIモデルをもっていて、それで今回答えを出してきた可能性があります。

そして、セブンのグループとしての戦略方針も、DX、つまりAI経営という方向です。

両者ともダメなんじゃないか。

もっとダメなのは、日本政府です。

資本主義がますます激化する中、自由競争から国内のインフラを守る、ということを考えていません。

だから、政府も企業も、アルゴリズム云々の前に、本質的なことを考えなきゃダメだ、と言いたいんです。

アルゴリズムがどこまで行っても不完全なことに関しては、明日以降お話したいと思います。

野呂 一郎
清和大学教授


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