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スレッズ成功で証明されたフェイスブックのエンゲージメント

この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:メタの対ツイッター迎撃兵器スレッズにみる、戦略性。スレッズ人気で証明された、メタの「エンゲージメント」能力の高さ。スレッズはツイッターにとって代わることができるのか?

エンゲージメントという新発想

スレッズの勢いが止まりません。7月5日に発売開始、数時間で1千万人の新規ユーザーを獲得、7月10日にはその数は1億人を突破しました。

これはアプリ史上最高記録です。

この数字は何を意味するのでしょう。

それは、メタのエンゲージメント(engagement)力にほかなりません。

エンゲージメントとは、今経営学で流行りの言葉で、あえて学問的な説明を避けて申し上げると、「ファンに愛されている度合い」です。

現代経営学や、マーケティングでは、何よりもこのエンゲージメントを大きくすることが大事だと説きます。

エンゲージメントとは単なる人気ではなくて、ファンの愛着の度合いです。

ですから、単なる数字ではなく、その意味でスレッズの新規ユーザー数がどうのこうのは、エンゲージメントの大きさを証明したとは言えませんが、僕はそれを強く感じますので、ちょっとこのまま仮説として続けますね。

エンゲージメント仮説

今回のスレッズ旋風、どうにもこれはメタがここまで市場に愛されているのか、と考えずにはいられない現象です。

とりあえずその前提で進めましょう。なぜ、メタが愛されているのでしょう。

1.ザッカーバーグさんの人柄

いつも笑顔でベビーフェイスじゃないですか。

若くて成功しているけれども、生意気なところがない。

一昨年のインスタグラム幼年版のかどで米議会に呼ばれた時も、しおらしく正装してきて、真摯に疑念に答えてましたね。

米上院公聴会に出席した、かしこまったザッカーバーグ https://qr1.jp/j9qjpR

人に好かれずして、エンゲージメントなんてありえないんです。

2.ブランドが愛されている

フェイスブックやインスタグラムはマンネリをよく指摘されますが、それはとりもなおさず、社会に特に若者コミニュティに定着したとも言えるわけです。

TikTok などが追い上げていますが、中国籍のブランドよりも選好されています。

https://qr1.jp/poeBev

3.ブランドと人物が一致する

例えばマイクロソフトはビル・ゲイツ、アップルだったら、スティーブ・ジョブズ、フェイスブックはやっぱりザッカーバーグさんでしょう。

このようにブランドと創業者やブランドのアイデンティティを体現する人物がファンのマインドの中で強く結びつくことが、エンゲージメントにプラスに働きます。

ちなみにツイッターに関しては、彼は単に買収しただけです。グーグルは、誰も思い当たりませんね。

4.ブランドを象徴する人物のストーリー

エンゲージメントに欠かせないのが、創業者やブランドにまつわるストーリーです。

創業者のストーリーについてはビル・ゲイツ、ジョブズ、ザッカーバーグ、みんな強烈なのを持っていますよね。

https://qr1.jp/QaysjI

ブランドに関しても、しかり、です。

5.常にファンとコミニケーションを取る姿勢

ブランドを代表する人物は、常にファンとオープンにコミニケーションを取る必要があります。

ザッカーバーグさんは、常にマスコミに露出をいといません。

今回、ちょっと深読みするならば、スレッズはファンとのコミニケーションに、非常に便利だから、コミニケーションを強化してエンゲージメント度数を上げるという目論見もあったのかもしれません。

ザッカーバーグの戦略性

今回クローズアップされているのが、ザッカーバーグさんの機をみるに敏な、戦略性です。

こんなことが指摘できましょう。

1.敵失につけ込む

ツイッター買収以来、これでもかと続出するトラブル。

リストラ、広告提供企業の相次ぐ離反、マネジメントへの批判、ツイッターという公器を私的利用しているとの批判など、ツイッターのブランド毀損は素人目にも明らかでした。

これをザッカーバーグさんは、見逃さずに、ツイッターに代わるサービスを打ち出したのです。

https://qr1.jp/cKFUdr

2.レバレッジをかける

レバレッジとは、自らの強みを利用することです。

メタは今回、フェイスブック、インスタグラムというプラットフォームでの圧倒的な実績という強みをいかんなく発揮しました。

それがスレッズの急発進につながったことは言うまでもないでしょう。

3.既存事業のテコ入れに利用する

スレッズのほんとの狙いは、ツイッターに代わる、ショートメッセージ・アプリの王座、ではないのです。

ティックトックに浸食されている現行の、インスタグラムのテコ入れ、なのです。

それが証拠に、スレッズのサインアップ(アカウント開設)のためには、インスタのアカウントを必要としてるんです。

逆にインスタ利用者は、クリック一つで、これまでの個人データをスレッズにインポートできる仕組みです。

4.手の内をライバルに見せない

ザッカーバーグさんは、「まだまだこれからいろんな機能、サービスをお見せします」と、スレッズに書き込んでいます。

これは、先兵急にいろんなことを出すと、ツイッター側にカウンターを食らうことを心配してのことです。

戦略の神髄は「臆病さ」なのです。

https://qr1.jp/eaILnM

グーグル+の二の舞に気をつけろ

ニューヨークタイムズWeekly2023年7月30日号は、老婆心でしょうか、こんな心配をしています。

https://qr1.jp/uGpWMQ

「スレッズ快進撃?まだ早いよ、グーグル+の例があるよ。

2013年フェイスブック・キラーとしてグーグルが鳴り物入りで市場に出したけれど、2018年までにグーグル+はこの世からなくなってしまったんだ。

問題はね、スレッズとやらが、ユーザーから『どうしても何度も使いたい』と思わせるようなサービスになることだ。

スレッズがグーグル+の二の舞いにならないように、祈っているよ」。

前掲ニューヨーク・タイムズ

うーん、オレよりもニューヨーク・タイムズの分析のほうが上、だな。

今日も暑かったですね、コロナもまだ油断できません。

皆様、ムリをしてはいけませんよ。

野呂 一郎

清和大学教授

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