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”ブルシット”の時代が来た。

この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:ネトフリ最新超過激クイズショーにみる世の中の変化と、それに伴って必然的に発生しつつある珍現象”ブルシット”とは何か。

ネトフリがまたやった!

やっぱり今はテレビじゃなくて、ネットフリックスの時代なのかな。
 
アメリカでとんでもないクイズ番組が出てきたんですよ、今までのクイズ番組のように正答を競うんじゃないんです。

まちがってもいいんです。

でもその間違えを無理くり理屈づけて、審査員たちを丸め込めば、いや説得すればいいんです。

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嘘でもいいんです。

その嘘の上手さを競う番組、それが「ブルシット・ザ・ゲームショーBullshit the Game Showなんです。

ブルシットとは、「牛のう〇こ」のことで、日本語に訳すとたとえようもない下品な言葉になります。

さっきネットで番宣を見てきたんですけれど、司会者がこんなこと叫んでいるんです。

https://www.youtube.com/watch?v=s9pG1p17UL8

「俺はトリビアはあんまり好きじゃないけれど、ブルシットはだーい好き!(I don’t like trivia very much but I love Bullshit)」

ブルシットの時代がやってきた!

トリビアは雑学、どうでもいい知識、ですよね、その対極にあるものがブルシットと考えると、このクイズ番組のコンセプトがうかびあがります。
 
そう、トリビアを含めて今は知識なんてどうでもいいんです、その正反対、ブルシット、つまりウソの時代って言ってるんですよ。
 
この解釈は正しいんです、それは最近のニューヨーク・タイムズに、この新しいクイズ番組の系譜を説明している記事があり、僕のつたない分析を証明してくれてるんです。
 
こう言って、ね。

「ネットフリックスのこの新しいクイズショーは、われわれのフェイクにまみれた文化のタイムリーなシンボルだ」。

ニューヨークタイムズ最新号(日付忘れ)

ウソかマコトかなんてどうでもいい時代

ニューヨーク・タイムズが言う「フェイクにまみれた文化」の原語は
Our scam-saturated cultureで直訳すればウソ(詐欺)であふれかえった我々の文化となりますが、フェイクとしたほうがぴったりくるんじゃね、と感じたんです。
 
僕はね、「フェイクにまみれた文化」っていうのは、まさに現代とは何かということの答えだと思うんですよ。

経営学も経済学も、マクロ環境がどうのこうのって言ってるんならば、これを取り上げないとだめでしょ。

時代はブルシット、なんです。

ブルシットとは、ウソとかペテンという意味のほかに、現代が今求めてやまない人物像を示唆しています。

それは、
フェイクにまみれた文化のあだ花、嘘もマコトも超えたファンキー(型破り)で、アナーキー(ぶっ飛んでる)な愛すべき奴、そんな感じです。

さて、このブルシット・ザ・ゲームショーは、まさに時代のあだ花的象徴と言えますが、この現象から我々は何を学べるでしょうか。

私見を述べてみました。
 
1.   ネトフリという新しいメディアの可能性。

テレビは今やコンプライアンスにがんじがらめにされています。

もちろんストリーミング配信が主のネトフリも放送コードはありますが、恋愛リアリティショーなどを見れば、そのゆるゆる度は歴然です。

https://jj-jj.net/lifestyle/87876/

このゆるさをクリエイティブに利用していますね、ネトフリは。

言ってみれば、この新しいクイズショーは、ネトフリという「ゲリラ・メディア」ならではのクリエーションということです。

2.   フェイクの時代

だって、YouTubeの動画だって偽造されちゃうんだから。

AIが姿も声も同じロボットを作って演じて、本物と見分けがつかないんだから。

サイバー攻撃で情報が塗り替えられちゃうんだから。

真偽は定かでないにせよ、ロシアが米大統領選にサイバー介入したという説もまだ健在です。

3.   情報を記憶することに価値がなくなった

ネットをググれば何でもわかる時代に、物知りなんて価値はないよね。

クイズ王なんて、ロボットに任せればいい。

ディープブルーにはかなわない。

それを全人類が知ってしまった時代。

知識の多寡を争うクイズ番組なんて意味があるの。

そういう”ど直球”な意識をネトフリの製作者は共有していたってことだよね。

その時代感覚と自由さ、それを番組企画まで昇華させた感性はすごいや。

4.   ネトフリのワイルドさ

そもそもブルシットなんて言葉、下品の最上級だよ、そんなのを番組名に入れちゃっているよなー。

テレビではできないことだ。

ワイルドというよりももはやアナーキーだよね。そのアナーキーさの表現としてクイズ番組をつかたのはセンスが良すぎる。

ブルシット野郎どもだ。

5.   現代の価値を体現している

だから言ったろ、知識の時代じゃないんだって。

それも科学の発達で、あらゆる事の真偽がクエスチョンになっている。

聖徳太子はあの顔じゃなかったとか、ビタミンCいくら飲んでも風邪予防にならないとか、ワクチンは実は効かないとか(笑)。

知識って実は権威なんだ。

でも、それは知識をたくさんもっているいわば「知識富裕層」と、知識をもってない「知識貧困層」のギャップがあった時代にのみ通用した、階層構造だ。

しかし、インターネットの発達で、富裕層と貧困層の差がなくなった。

じゃあ、なにが人々の優劣を決めるのか。

それを、ブルシットクイズが体現しているんだよ。

クリエイティブに、人を面白がらせる説得力だ。

嘘をほんとと言いくるめる、だましのテクニックだ。

ニューヨーク・タイムズはこれを「新しい時代のスキルだ」なんてもてはやしている。
 
でもそうなんだ、間違いであっても「それは実は正しい」と言わせる能力スキル

それは論理的に、ときに感情的に、またときに相手を笑わせて楽しくさせて味方につけて説得させてしまう力だ、交渉力と言ってもいい。

それこそが現代人のスキル=ブルシットなんだ。

ブルシットは新しい価値を創造するひと、なんだ。

さあ、世界はブルシットなキミを待ってる。

とまあ、最後のほうは、例によって高校生への呼びかけになっちゃいましたけれど、この番組、時代がはじける音が聞こえたような気がするんです。

それでは、また明日。

じゃあ、ブルシット!

                             野呂 一郎
               清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー




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