危機に立たされる米マクドナルドを救うのは日本の実践経営理論の5S(ごえす)だ
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この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:日本のマクドナルドと欧米のマクドナルドの違い。安さというバリューがなくなり、窮地に立たされるファストフードのフランチャイズ。5S(ごえす)こそが日本の現場の強さの源という事実。世界が求めているのはDXより5Sという主張。
客を追い出さなければならない欧米ファストフードの現実
きのう、もうアメリカには安いバーガーという食べ物はなくなった、というようなことを書きました。
というか、危機を煽ってたよねぇ(笑)
安いファストフード、いやさバリューメニューは長い歴史を持っています。
記事によれば、ウェンディーズとタコベルが1980年の終わりごろに始めたのがきっかけで、2002年にはマクドナルドが、1ドル、2ドル、3ドルメニューを開発しコロナ・パンデミックが始まった2020年までその流れが、続いたとのことです。
まあでも、僕がアメリカ留学をしていた頃、80年代の終りはウィスコンシン州のマクドナルドは一個50セントでした。創業以来ずっと安いバーガーで売っているような気がしますけどね。
しかし、米マクドナルドは、安さにサヨナラする時がきました。
コロナ禍で各フランチャイズはオペレーションを簡素化し、スタッフを減らし、コスト削減に必死です。
さて、安さだけじゃない価値、これを売らないとファストフードは生き残れないでしょう。
そして、日本のマクドナルドのチョコパイのことを褒めました。
しかし、今後ファストフードは、厳しい時代に入ると予想します。
なぜならば、安さという単一バリューでは勝てない時代が来たからです。
文字通り安さだけで勝負してきた、ファストフードチェーンは変革の時、です。
皆さんは海外でマクドナルドを使ったことがありますか。
僕は、ヨーロッパで、アメリカでここ10年間、何度も使ってきました。そのたびに不快な思いをしています。
店内が不潔、トイレが汚い、店員の態度が悪い、レストランを公園代わりに使っている人々がいる・・等々。
マクドナルドでは、昔っから店内にこんな張り紙がしてあります。
loiterっていうのはフラフラうろつく、たむろするという意味ですから、
早く食ってとっとと出ろ、ということですね。上の写真はご丁寧に30分リミットと書いてあります。
飲食業の生き残りは、利益だけではない
この張り紙が、実はマクドナルドいやすべての、ファストフードフランチャイズの問題点を物語っています。
もちろん、食事が終わればすぐ立ち退くのは客のマナーです。でも、マナーがなってない客が来てしまう理由もあるように思えます。
僕が言っているのは、アメリカやヨーロッパの一部のマクドナルドであって、日本のマクドナルドではないですよ。
接客だとか、居心地の良さだとか、清潔さだとか、欧米の大都市にあるマクドナルドは、そんなことには頓着していないようにみえます。
30年以上前、アメリカで経験したことを最近スイスでも経験しました。
店の雰囲気がよくないほど、マナーの悪い客が居座り、ますます店の雰囲気も悪くなる、そんな悪循環です。
パンデミックで、安さという価値がなくなったとすれば、マクドナルドはどうすればいいのでしょう。
そう言うと、あなたは「絶対的な安さはなくなったけれど、相対的な安さは健在だ。いや、永遠にそれはマクドナルドの有利さだ」と反論するでしょう。
それは、周りを整えることから始まるのではないでしょうか。
いや、遠回しに言い過ぎたかもです。
5Sとは何か
日本の製造現場では、5S(ごえす)ということがよく言われます。整理、整頓、清掃、清潔、躾(しつけ)の頭文字Sをとったものです。
まず、働く場所を整え、きれいにすることから全てが始まるという哲学です。
この考えは、あらゆる現場に通じ、製造業以外でも5Sが浸透しているのが、日本の労働現場と言っていいでしょう。
おそらく日本マクドナルドの現場も、5Sが守られていることでしょう。
トヨタが2年連続、世界一のクルマの売上を達成しました。
この背後には、間違いなく徹底した5Sという基礎があると思います。カンバンシステムの基本は5Sだからです。
”日本クオリティ”を布教せよ
今世をあげてデジタル革命だとか、DX(デジタル・トランスフォーメーション)などをやれ、とかまびすしいですが、僕に言わせれば、本当に効果のあるシステムの要は、テクノロジー云々じゃなくて、こころなのです。
ファストフードチェーンを含めて日本の製造、サービスのレベルは世界でダントツであるという事実。そこには実は5Sに代表される、こころ、がありました。
そして、それこそ世界が称賛してやまない”日本クオリティ”の根源なのです。
そして、日本クオリティこそが、環境問題を始め、世界がこれから取り組むべき社会的イシューの解決に大きなヒントを与えるものなのです。(言い切り!)
コロナ禍でインフレが止まらず、安さというバリューが崩壊しかけている世界で、次のバリューという答えを持っているのは、日本ではないでしょうか。
日本クオリティの唯一の問題は、コミュニケーション、です。
それが世界に伝わってない、ということです。
経営学をやっているものは、それを伝えなくてはいけません。
僕も今年は、こうしたことを世界にもっと発信していきます。
”日本クオリティ”なんて言ってもピンとこない高校生が多いと思うんですよ。
でも、一度でも海外に行ったことのある人なら、今日の僕の話は少しわかっていただけると思うんです。
その意味でも高校生は、コロナが終わったら海外に行け、と言いたいですね。
今日も最後まで読んでくれてありがとうございました。
じゃあ、また明日会いましょう。
野呂 一郎
清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー
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