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日本発の経営学を発信せよ。

この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:経営学で完全に見逃されていることがある。それは日本発の経営学だ。それは現存するのだ。もちろん、過去には「日本的経営」というやつがある。しかし、これも現代版にアップデートする必要がある。プロレスも、野球も、芸能も、人や物を動かしている限り経営学であり、そこには日本独特の価値観やら文化やら、合理性がある。経営学に限らずこれら日本のソフト資産を世界とシェアすることが、世界平和に貢献することであり、日本の役割なのではないだろうか。

日本だけの経営学はありうる

経営学とは、面白いものを創ることである、と昨日のnoteで申し上げました。

このことを少し経営学的に表現すると、「経営学とは、あたらしい価値を創ること」といえるでしょう。

下の図は、「プロレスの経済学」の授業で使ったファイルで、価値を創るためには「どう見せるか」が決定的に重要なことを示したものです。

野呂大学講義より

さて、経営学と言うと、輸入学問で僕らは日本人が自分たちの「経営学」を世界に教えられるわけなんかない、と考えがちです。

でも、あるんです、僕ら日本人でないと教えられない経営学が。

日本=新潟論

僕は6年間新潟に居住し、加茂市の大学で教えていたことがあります。

その時いやというほど聞かされたのが、「新潟っていいものがたくさんあるのに、宣伝ベタでね」という人々の自嘲でした。

お米やお酒のうまさは格別なのは知られていますが、魚とラーメン、寿司のレベルは文句なく日本一と言っても過言ではないとさえ思います。

新潟プロレスもあるよhttps://x.gd/NCjsU

でも、世界の中の日本を考えてみると、日本も新潟と同じで、世界に誇れるものがたくさんあるのに、宣伝ベタで、それゆえ国益を損ねているのではないでしょうか。

今、「モノよりコト」ブームで、行ってみて体験することの価値が見直されていますが、だいたいそれらは外国人が発見していますよね。

何気ない田舎の景色だとか、誰も訪れない森林など、手つかずの牧歌的光景なども立派な観光資源だと、僕らは気づかされました。

学問の面でも、日本は世界に貢献できるのではないでしょうか。

それは、誰かが発見する知識の体系、というよりは、そのままずっと残っているシステムを紹介すればいいのです。

でも、それをやっていないのは、日本人のどこかに西欧コンプレックスみたいのがあって、知的な体系ではオレたちゃ奴らに敵わねぇ、と信じ込んでいるからではないでしょうか。

日本が輸出すべきソフト資産とは

例えばこんなのはどうでしょう。

日本的HRM

(Human Resource Management人的資源管理)

新卒一斉採用、年功序列、終身雇用など、構造的文化的にこれからもそうそう変わらないシステムを、秩序だてればいいのです。

これまでも日本的HRMは、日本的経営という文脈で語られてきましたが、新しい、欧米にも納得させるコンテンツにするには、いい意味で自己正当化をすることがカギです。

2.日本的消費者論

もう30年くらい前のアメリカの経営書に、こんなのがありました。

「日本で勝てれば世界で勝てる」。

https://x.gd/9zeF0

これは驚異的なジャンプアップを見せた企業は、例外なく日本の市場で揉まれていた、つまり、日本の消費者の厳しい目で育てられた経験を持つ、という事実を考察したものです。

日本の消費者を分析した研究書は、僕は寡聞にしてみたことがありません。

仮説でいいので、論を立てれば、世界におおいに貢献するのではないでしょうか。

3.武道経営論

僕は武道の稽古をするときには、いつも一つのことに思いを巡らしています。

このワザ、なんとかしてビジネスに応用できないだろうか、教育に使えないだろうか、という一心です。

最近、一つの視点に思い当たりました。

それはポジショニング、つまり敵との位置関係や市場での立ち位置です。

武道は常に相手に対して、どういうポジショニングを取るかが、致命的に重要です。

https://x.gd/5hoRG

例えば相手が日本刀を持っているとして、どう立ち位置を取るかということです。

立ち位置とは、どう動くか、ということにほかならず、例えば相手が剣を振りかぶったところに素早く入り剣を下ろす腕を制する。

もしくは相手の一太刀が空を切った直後に、相手の懐に入る。

相手の動きに合わせて同時にこちらも動き、剣を交わして手首を捕まえて、動けなくする。

https://x.gd/eVWz4

この武道的ポジショニングの考えは、例えば中小企業が大企業に対峙する時に、使えるのではないでしょうか。

例えば、ポジショニングの武道的な教えに、「先の先(せんのせん)」というのがあります。

斬られる前に先制攻撃をすることです。

大企業が市場を独占する前に、刈り取ってしまえ、と号令一下、労働者を結束させることができるでしょう。

大事なのはどう見せるか、だ

我々日本人は、世界に教えるべきいいものをたくさん持っているんです、特に知的資産を。

神道をもっと世界に浸透させるべきです。

宗教の各派は、もっと世界布武を考えるべきです。

宗教だけではなく、あらゆる主義主張は、世界の資産になりうります。

しかし、そこで大事なのは、「見せること」なんですよ。

もう一度あの図を貼りますね。

どう見せるかとは、単にそのシステムを外国語に翻訳することだけではありません。

YouTubeでビジュアルで見せる、漫画やアニメにする、映画にして世界に配給する、授業のコンテンツにまとめる。

これが「見せること」なんです。

見せることは、しかし、案外大変なハードルです。

でもね、鍵を握るのは、実に単純なことなんですよ。

「やる気があるか、ないか」ということだけなんですよ。

日本が80年代、世界にはやしたてられ、そのまま世界一の経済国家になりそうな予感がしていた頃がありました。

なぜ、それが潰えたのか。

それは自信がなかったからです。

でも、あれから30年、日本は色んな国との比較の中で、やっと自分の良さを誇りを持って言えるようになってきたのではないでしょうか。

でも、いま日本人は、そのかわりに日本の良さを発信するという情熱を失ってしまったのです。

図で行くと右下の「モチベーション」っていうのがないわけです。

情熱=モチベーションがなければ、システムは動きません。

でもこのまま日本人の価値が埋もれてしまったら、世界はそれこそ破滅だと僕は思います。

なぜならば、日本のシステムはことごとく、人類共通の理想であり、資産である「精神性」言い換えれば「人間性」が根底にあるからです。

野呂 一郎
清和大学教授

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