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東芝3分割で明らかになった高校生のキミがやるべきこと

この記事を読んでキミが得られるかもしれない利益:東芝3分割の報道の裏側。なぜ80年代まで尊敬されていた日本企業がこうまで世界に馬鹿にされるようになったのか。経営を守る日本vs経営を壊すアメリカ、どっちが正しい。これからの日本企業はどうなる。日本企業とケイレツ。以上に関する考察。

東芝3分割は日本売りの始まりか

今日付The Wall Street Journalオンラインのタイトルはこうだ。

The Toshiba Split: A Farewell to Poor Japanese Management?
Having shed inefficiencies since the 1990s, the corporate environment may be ready for reform.(東芝の分割は拙い日本的経営への決別。90年代から非効率を切ってきた、日本は今度こそ改革に本気か)

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このタイトルとサブタイトルを見れば、世界が日本的経営をどう見てるか、わかるよね。

僕はさ、何度も言っているけれど1988年にアメリカに留学しているんだ。

アメリカの大学で日本語を教える代わりに、大学院でただで勉強させてあげる、生活費もアメリカが持つ、という契約だった。

どういうことか。

アメリカの大学で日本語ブームが起こっていたんだ、1980年代は。

どうしてか。

それは日本の経営がミラクルですごくって、アメリカも見習おうっていう機運があったからなんだよ。

そう、その頃、日本的経営がブームだったんだ。

80年代は日本経済の最後の黄金時代だったんだよ。

だから、アメリカもその秘密を知ろうということで、アメリカ中の大学がこぞって日本語コース招聘に動いたんだ。僕はその恩恵に預かったってわけさ。

「失われた30年」は誰のせいだ

90年代にバブルが弾け、日本経済はそれから急失速、もう日本の低落は30年続いていて、「失われた30年」と言われている。

この記事のタイトルは、さっき言ったようにそれ以降アメリカ、そして世界が日本の企業と経営をどう見ているかを如実に物語っているんだ。

記事の内容をカンタンに説明しよう。

キーフレーズは2つある、もうすでにこのタイトルにでているが、   「拙い日本的経営」、「90年代から非効率を切ってきた」だ。

あれほど彼ら彼女らがあこがれて、崇拝してきた日本的経営が、いまや 「拙い」と言われているんだぜ。

だって30年も低迷したままだからだ。

The Wall Street Journalが拙いと言っている経営は、一言で言えば、経営について政府、投資家等の利害関係者が甘く、それをさらに甘やかしている構造がある、ということなんだ。

いまだ残るケイレツの亡霊

その元凶がケイレツ(系列)といわれるシステムで、それは企業連合のことだ。日本では三井、住友など何とかグループと言われているあれだ。

まるでグループは株を持ちあい、サプライチェーン、つまりモノを製造し、それを消費者に届けるまでの流れで登場し協力しあい、外敵に共同戦線を張る。

それをオーケストラの指揮者のごとく操縦しているのがメインバンクと呼ばれる銀行だ。ケイレツの目的は、企業が共同戦線を張ってグループと個々の経営を守ることなんだよ。

ケイレツとは日本企業の経営が市場に甘やかされている象徴だと言ったが、アメリカ企業は、これと正反対だ。日本でも脱ケイレツなどという言葉があったくらいで、まだ隠れたケイレツはたくさんあるのさ。

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政府、投資家、法律事務所、コンサルタント、政治家たちが常に企業経営に厳しい目を向けている。

少しでもヘマをやると黙ってない。

株を持っている投資家のなかで、最近「物言う株主activist investors」という人たちがクローズアップされている。

大量の株を持っている株主で、株主の利益に沿った経営をしないと、株を売っぱらうなどの積極的な介入をする人たちだ。

今回の東芝の3分割は、物言う投資家たちが仕掛けたとも言われている。

日本の新聞報道ではわからないけれど、外国人株主が相当いるのではないだろうか。いや、グラフがあるね(読売新聞オンラインより)。やっぱり、そうだ。

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東芝3分割は日本経済の革命前夜

世界が称賛していた日本の経営。

でも、新しいことを起こすことができないのが、最大の欠点だった。

マイクロソフトが80年代IT革命を起こして、気がつくと取り残されたのが日本だった。

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市場が経営を甘やかす姿勢が、逆に日本的経営の最大のネックだと言われるようになったんだ。

でも今回の株主の反乱は、それ自体、日本の市場が徐々に企業に経営責任を求めてきたことの証とも言える。

アカウンタビリティ(accountability)ということ話を聞いたことがあるかい。

日本語で説明責任と訳されている。

経営者は自分のした経営の意思決定について、外部特に株主に説明する責任がある、という意味だ。

アカウンタビリティこそ、世界の経営者の共通義務なのだが、日本は1990年代相次いで銀行の不祥事が発覚するまで、そんな言葉は聞かれなかった。

ケイレツに遠慮して銀行は不良債権を放置していたり、株式持ち合いはおおっぴらに認められていた。

それを政府が規制するようになったのだ。

著名な日本投資家ジョセファー・コール氏(Jesper Koll 写真下)によれば、1989年の日本企業の持ち株の約50%はケイレツ関連だったが、2019年には4%まで下落している。

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この動きは外国人が日本企業の株を買う動きにつながった。

30年前は外国人投資家は4%に過ぎなかったが、今は31%に上昇している。

大企業をかばえなくなった日本政府


東芝は2015年に不正会計問題が発覚、監査法人も共犯を疑われた。

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17年には巨額の損失を計上したりで、大企業東芝に甘かった政府も徐々に厳しくなっていった。

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しかし、東芝は国防、原発など国益に深く関係している企業だから、この3分割を許したのは、国家問題と言えるくらいの大事なのだ。

ここにやっぱり日米の差があるよね。

アメリカはあくまで市場が企業をウォッチしているんだ。ヘマをやればすぐに経営者を変えようとする、企業を売りに出そうとする、監査法人やコンサルティング会社も黙ってない。だから、企業は強くなる。まさに資本主義が機能しているからだ。

日本は水面下でいろんな企業がまだつながっているし、政府が大企業を国営企業みたいにみなしているところがまだある。

日経の報道では、東芝の分割で経営が外国人投資家の手にますます握られ、東芝という国営企業がなくなる、と心配している。

どうなんだろう。

もう、でも、企業はグローバルな物件になってしまっているのがリアリティだよね。

もう政府は東芝を守れない。

IR強化こそ日本企業の取るべき道

東芝も、いっそのこと、もっと外国人が株を買いやすいようにIR(investors relationship株主に対しての情報開示活動)を強化するほうがいいんじゃないかな。

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僕がきょう、高校生のキミ達にいいたかったことは、もう日本の企業も日本人だけのものじゃなくなったってこと。

すぐ外国人に買われて、外国人が経営者になる時代なんだってこと。

キミのやることは、決まってる。

英語を磨け。留学しろ、ってことだよ。


ビジネスやるんならば、これからはそれしかないじゃない。

いや、これはビジネスだけの問題じゃないな。要するに国境なんてもうないんだって。

今日も最後まで読んでくれてありがとう。

じゃあ、またあした。

                            野呂 一郎
                          清和大学 教授

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