コロナ時代に勝つ”構え”とは「居つかない」こと。
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:コロナ禍で企業の、あなたの姿勢はどうあるべきか。あるスピリッツ・メーカーのマーケティングから学ぶデータ戦略。
柔軟にポリシーを変えよ
武道の心得に「居つくな」というのがあります。
居つく、とは、相手の次の攻撃に準備のない状態を指します。
例えば次のイラストは、空手の正拳突きですが、これが「居つく(居着く)」動作です。
なぜならば、この動作はすきだらけ、だからです。
突きを放って、動作が完了してしまっており、もし相手の攻撃がきたら、姿勢を立て直して反応しないとなりません。
つまり、この体勢は、変化に対応しにくいのです。
コロナ時代は、不確実性の時代。
次に何が起こるかわからない、次の瞬間に変化に対応しなければならない時代です。
「居着くこと」、はなんとしても避けなくてはなりません。
居つきを避けるにはデータを利用せよ
パンデミック時代、「居つくな」を実行している企業があります。
2021年10月21日付けのThe Wall Street Journalの記事をご覧ください。
タイトルはMarketers try new ways around pandemic (マーケターがパンデミックで新しいやり方を実験)です。
記事はグレイ・グース(Grey Goose)やボンベイ・サファイア(Bombay Sapphire) といった有名なスピリッツ(蒸留酒)で有名な
バカルディ社(Bacardi Ltd.)の最新マーケティングを取り上げています。
同社の構えは、居つかないことです。
常に、突然の変化に対応できる体勢をとるのです。
そのためには変化を予想するのです。
同社は変化を見定めるために、いままでマーケティングで使わなかったデータを収集し始めました。
例えば、消費者がどんなメディアを使ってるか、どんな広告を見ているか、今の喜怒哀楽の状況、どのくらい外出するか、ショッピング行動、道徳観念の変化などです。
これまではマーケティングに関するデータ収集とそのアップデートは、年に一度でした。
しかし、それではコロナ禍に特有になった急速な、突然の変化に対応できません。それでデータ収集活動は月に一度に変更しました。
政府の動きを予測せよ
消費者だけでなく、政府の行動データも把握しています。
バカルディ社はステイホームの規制が緩和されるタイミングに関するデータを集め、在宅勤務令が弱まるタイミング(Xデー)を予想していました。
人々がアウトドアに繰り出すことを予想し、マーケティング・ダラー(マーケティング資金)を、外で気軽に変えてすぐ飲めるラム・カクテルに重点配置したのです。
バカルディ社の教訓
「変化に備える」。そう、どんな企業も言うんです。経営学の教えもそう。
しかし、組織は図体がでかいので、前もって準備していないと、動けません。
またすぐに変化に対応できる構えがなければ、つまり予測してなければ、変化になんて対応できるわけがないんです。
バカルディは、これまでのデータだけに頼らないことで、なにか変化の兆候をつかむことに成功しました。
そして実質的な変化が市場に炸裂する日時も特定し、それに備えました。
また、データを戦略の中枢と位置づけ、組織の意思決定の要とする価値観を企業と従業員全員が共有したのです。
バカルディ社のこの取組は、データマーケティングはどうあるべきかに大きな示唆があると考えます。
今日も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
では、また明日お目にかかるのを楽しみにしています。
野呂 一郎
清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー