コーネル大学発パンデミック時代の転職はこうやれ
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:転職のアメリカ流ノウハウ。転職のオファーが来た時の最も良い処し方伝授。パンデミックで労働市場の力学がシフトしているという現状の理解。
いまが転職のチャンスかも
少し前に昇給のノウハウをお伝えしたんですが、「アメリカと日本は違う」から使えない、と考えられた方がいらっしゃったと思うんです。
今回もアメリカのケースと、米コーネル大学の先生の考え方を紹介するものです。
確かにアメリカ企業とその従業員の現実に基づいての話なので、「あんまし関係ねぇよ」とおっしゃる方がいるかもです。
でも、これを日米の価値観の差と考えてもいいし、僕としては、文化の違いを超えた「理屈」ととらえていただければ、得るものはある、と考えています。
いまアメリカはパンデミックがエアポケットに入っており、その間隙をついて経済がV字回復しつつあります。
もちろんウクライナのことでインフレが加速はしていますが、経済の急回復の勢いは止まりません。
これが何を意味するかというと、労働市場の従来の力関係が変わってきているということです。
企業側は求人意欲がものすごく、一方従業員は「リモートワークじゃないんならば、いつだってやめてやるわよ」という鼻息なのです。
優秀な人材の獲得戦争(a war for talent)も勃発しています。
そんな中で、あなたがライバル企業から、ヘッドハントを受けたらどうしたらよいでしょうか。
これは、やり手のあなたにとって、リアリティのある話ではないでしょうか。
参考にするのは、昨年8月のThe Wall Street Journalの記事ですが、状況は変わっていません。
記事のタイトルはWhen to bring a rival offer to your boss(いつあなたのボスにライバル会社からのオファーを切り出すかThe Wall Street Journal2021年8月23日A11面)です。
記事は「ライバル社からのヘッドハンティングが来た時、あなたは上司にどうそれを打ち明けるべきか」ということにしぼって議論を展開しています。
ヘッドハントされたらやってみるべきこと
以下、主にコーネル大学の組織行動プロフェッサーであるベネッサ・ボーンズさん(Vanessa Bohns)さんのアドバイスです。
1.ボスに切り出すオファーの条件
何でもかんでも、同業他社からのひきあいがあったからって上司に相談する必要はない。ワシントンDC在住のエグゼクティブコーチ・マイケル・ウッドワード(Michael Woodward)さんは、条件をつけます。
「それがもしあなたの理想の仕事の8割を満たすような素敵なオファーであるときにだけ、ボスと交渉しなさい」。
2.交渉の内容
ライバル会社からのオファーが来て、それをいいことにあなたは現在の条件を改善したいとしましょう。その際にまず以下を考えましょう。あなた自身に聞いてみるのです。
現在の役割の中で、何が欠けていると思っているか。立派な肩書、グローバルチームに入れてもらえてない、ボーナスが少ない、など。
そのうえで、「会社にとってあなたはどの程度必要とされているのか」これを上司に聞くのです。
3.要求をしろ
もしあなたが、シャイなアメリカ人であっても、このパンデミック状況はあなたに有利なのです。ましてやライバル会社から引き抜きのオファーがあったんです。勇気を持って普段要求できないことも上司に言えるはずです。
例えば、バケーションの長期化、リモートワークの増加、終業後のE-mailおことわり、など。
4.リスクも覚悟しろ
上司と、例えば昇給の話をすると、まれにそれを”脅し”ととるものもいます。リスクを避けるためのノウハウはまたあとで。
5.シュミレーションしろ
退職を覚悟して、条件闘争をするのならば、交渉のあらゆる可能性にそなえなさい。
6.素直に話せ
これは上司がどんな人であるかによりますが、上司に素直に自分の気持ちを話しなさい。
たとえば
「オファーをもらって戸惑っている、色々考えている。でもカネの面では大幅なアップ提示で驚いている。会社に残りたい気持ちもあるが、一方でこんないいオファーを断る勇気もない。」そんな感じです。
7.パンデミック対策のために外のスタバで話せ
外のコーヒーショップで、話すのがいいでしょう、特にあなたが力説したいことがあれば。
例えば、「私はどっちの会社に行くにしても、絶対にリモートワークじゃなきゃだめなんです」と訴えたいならば、会社の外のスターバックスあたりでやったらいいでしょう。
8.メールで相談してはならない
ボーンズ教授の研究では、何かを頼んだり、要求する時は、対面のほうが電子メールよりも34倍効果的なことがわかっています。
あらら、シンデレラタイムが近づいてきてしまいました。12時まであと5分、今日中に出せないと継続がアウトになってしまうので、すみません、続きは明日。
野呂 一郎
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