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ほめると、ひとも経済も伸びる。

この記事を読んで、あなたが得られるかも知れない利益:ほめることについて考えてみました。日本人は人を上手にほめないから、それが積もり積もって経済の停滞を招いているとする、トンデモ経済論。

ほめたらほめられた

日本人はあんまり人を、面と向かってほめないと思うんですよ。

学校でも、部活でも先生や監督たちは減点主義で、できて当たり前、できないとネチネチ、または怒鳴り散らすみたいな感じです。

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アメリカで4年半生活したせいでしょうか、僕は、自分がたまに意外なことでほめられて、気付かされたことが多かったので、その人の前でほめることをこころがけています。

アメリカでは、「そのネクタイ似合うね」とか、「ヘアスタイル、スキだな」とか、スピーチをすると「グッドジョブ」とか言われるんです、これは決して僕だけではないと思います。

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社交辞令のグッドジョブもあるに違いませんが、それらも含めて、僕が彼ら彼女らがほめてくれる時に感じたのは、「かまってくれてる感」です。

要するに、自分に対し注意を向けていてくれたんだ、しっかり見てくれてたんだ、という嬉しさです。

それは、評価が正しい正しくない、よりも、他人の僕に気持ちをくれていたのだ、といううれしさです。

例えばそれは、何か相談したときに真剣に耳を傾けてもらったときの感じ、と言えばいいでしょうか。

明らかに、こうした経験は自分を鼓舞してくれました。

社交辞令と申しましたが、アメリカではそれはほとんどなかったようにも感じます。

例えば、たまに「お前の発音はアーティキュレートだ」と言われたことを思い出します。

アーティキュレート(articulate)とは、正確という意味に近い言葉で、グッドといえばいいところを、具体的にほめるのです。

実際にはほめられるような発音とは、程遠かったのですが、相手は自分が思ったことを口に出しているので、僕はほめられるたびに、何か自分に対して何らかの示唆をもらったのでした。

そうした経験があるので、僕はひとをほめるときには、思った通りのことを口にするようにしています。

あるスーパーの店員さんをほめたら

最近近くのスーパーで、気になる女性の店員さんのことをほめたんです。

彼女はいつも大きな声で挨拶して、それがとても気持ちがいいんです。

お客さんへの対応もすごく丁寧で、笑顔も絶やしません。

むき出しのきゅうりは、しっかり袋に入れてくれるし、年配のお客さんが耳が遠いと見るやそばでささやいたり、気配りもすばらしいんです。

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「いつも、素晴らしい接客ですね、いつも明るい声で挨拶してくれて、元気をもらっています」と僕は彼女に言ったんです。

そうしたら、彼女は、涙を流さんばかりに喜んでくれて、「そんなこと言われたのは初めてです」なんて言うんですよ。

僕は「みんなそう思っていますよ」と返したのですが、考えてみれば、日本って、ひとをほめないよな、と気がつかされもしたのです。

ほめることで人が伸びる

最近彼女は、非番の時でも僕を見つけて声をかけてくれます。

この間、こんなことを言われたんです。

「お客さんがいつもほめてくれて、気がついたんです。わたし、ほめられて伸びるタイプだな、って」。

えーっ、あんなに周りを明るくするようなキャラクターが、今まであまりほめられたなかったってことか、僕はそう感じて複雑な思いがしました。

そして思ったんです。

「僕も若い頃、誰かほめてくれたら、伸びたのに」

でも、一人いたかな、ほめてくれた大人が。

それは東京郊外の西武線・国分寺駅の田辺さん、っていう駅員の人でした。

ほめられてうれしかったから、しっかり今でも名前を覚えているんですね。(笑)

仕事の合間に、小学生の僕をかわいがってくれて、ある時にこんなことを言ってくれたんです。

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「お前はいい目をしてる。将来えらくなるぞ」。

なぜそんな言葉を覚えているかと言うと、ほめられることに飢えていたから、だと思うんです。

えらくはなりませんでしたが、ずっとその田辺さんという駅員さんの言葉にすがって生きてきた、そんな気もするのです。

ほめると経済も伸びる

人を腐らせるのはカンタンです。

欠点をあげつらえばいいんです。

「お前はダメだ、バカだ」と言えば、いいんです。

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若い時ほど純粋だから、その言葉は効きます。

かくして、自分を否定された彼は彼女は、長所を活かすこともなく、言われた通りのダメな人生を送ることになるのです。

思うに、ほめることは、愛情であり、その人に対するエールなのかもしれません。

だから、難しく考えず、あなたが「よい」と思ったら、躊躇せずほめたらどうでしょうか。

ほめられた相手は、愛情を感じ、鼓舞されて、人生が好転する、きっとそうなります。

日本人はとかく、「ほめたら調子になる」などと考えて、特に自分の子供に厳しく当たる親が多いように思うんです。

僕も、学生に対しては、どこかいいところを探してでも、ほめるように心がけております。

あ、でも、最近気がついたんですよ。

ほめる側に、能力がなければ、豊かな感性が、多様な価値観がなければ、いいほめはできない、ということを。

「あいつにほめられたんだから、オレは自信を持っていいんだ」、そう若者に思われなくちゃダメなんだ、と。

それと正反対の、情けない自分に、恥じ入る次第です。

野呂 一郎
清和大学教授

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