日経株価最高値の本当の理由とは?
この記事を読んであなたが得られるかも知れない利益:日経平均株価が過去最高を更新した。その本当の理由は「欧米の投資家が楽観的だから」だ。しかしこの暴論には裏付けもある。
日経平均最高値、表向きの理由
2月22日の東京株式市場、日経平均株価は、バブル期の1989年12月29日につけた終値としての史上最高値を更新して3万9098円68銭まで上昇しました。
この理由として、
・コロナ後企業が値上げをしたことで業績が上向いたこと
・日米金利差による円安で輸出企業が潤ったこと
・中国経済の不動産市場が崩壊し、中国経済への投資が日本企業に鞍替えされたこと
・日本企業の賃上げ傾向が好感されていること
・経営指標として日本企業のROEが評価されていること
・外国人投資家が増え、彼らのオピニオンリーダーたるウォーレン・バフェット氏の影響
などが取り沙汰されています。
なぜ、IRが貧弱な日本企業の株を買うのか
日本企業は今でも全く国際性がなく、海外事業戦略もろくにたてられないし、ましてや海外投資家に対して、自社の戦略つまり、儲けのシナリオを説得力と論理性の両面で説き伏せることなど、できません。
僕は少なくとも、そう思っています。
この外国人投資家に対しての、「ウチの株を買え!」というプレゼンテーションをIR(アイアール。Investor Relations投資家に対する広報)といいます。
IRは財務状況など、投資家、株主に対して投資の判断に必要な情報を提供する活動のことです。
しかし多くの日本企業のIRは、英文の貸借対照表、損益計算書を出しているくらいで、これからどう儲けるかの設計図を、海外の投資家に説得力豊かに提示できる企業はほとんどありません。
なぜならば、真剣に海外事業展開を考えていないからです。
というか、その能力がないからなのです。
今回の株高は、せいぜい日本企業のROE(Return On Equity 自己資本利益率)を勝手に評価しているだけではないか、そう考えます。
ROEは、株主が出資したお金を元手に、企業がどれだけの利益を上げたのか、つまり「企業がどれぐらい効率良くお金を稼いでいるか」を示す財務指標であり、海外投資家が最も重視するデータです。
日経平均最高値の正体は「ムード」
投資なんて、投資家が気が向いたからそうしただけだ、という人がいますが、正論だと思います。
そもそも経済を動かしているのが、アニマルスピリット(きまぐれ)と、ノーベル経済学賞ロバート・シラー博士が言っているし、経済学の父・ケインズがそもそもそういう考えです。
今回日経平均最高値を招いたのが、海外投資家だとすると、彼らのムード(アニマルスピリット)がそうさせたのです。
しかしながら、日本企業のIRは拙くて、説得力がないから、これまで投資をしようとは思わなかったのです。
でも、国家による不動産のずさんなマネジメントで、中国経済に期待ができなくなりました。
中国経済の崩壊は、国の舵取りが悪ければ、親亀コケたら皆コケた(古いっ!)です。
政府のずさんなコントロールで、経済の根幹である不動産市場が崩壊したのを、世界の投資家は目の当たりにしました。
となると自然に、海外投資家は、中国の次の経済大国である我が国企業に目が向いたというわけです。
日本を実際に訪問し、そのキレイさやホスピタリティに感心して、日本企業のイメージがアップした、なんていうケースも多いのではないのでしょうか。
彼らは元々、楽観主義者です。
情報が少なくても、少しでもプラスの要因があれば、買い、ます。
例えば、ウソのようなほんとうの話ですが、海外投資家の一部は日本企業のホームページに飛び、きれいな外観だったら投資を決める、なんていう話もあります。
僕がMBAをとれた本当の理由
今日の結論は、「日経平均最高値の原因は、海外投資家が楽観的だから」ということです。
僕は、米国MBA留学を始めとして、欧米でささやかな教育を受ける機会を得てきました。
そこで痛感していることは、投資家うんぬん以前の、彼らのメンタリティです。
その正体こそ、「楽観性」なのです。
オプティミズムとは何か。
それは、誤解を恐れずに言えば「だまされやすさ」です。
言い換えると、「積極的な言葉にからきし弱い」ということです。
そうなんです、欧米のマーケティングって効くじゃないですか。
あれは、消費者が積極的な言葉遣いに、すぐ「乗る」からなんです。
欧米企業の広告、なんてみんなウソ、ですよ(笑)
でも、積極的な言葉で気持ちよくさせればいいんです。
それがウソだろうが本当だろうが、市場はそれを好感するんです。
バカな僕がMBAをとれた理由を教えてあげましょうか?
それは彼らをだましたからですよ。
答案やレポートは、常に積極的な姿勢や言葉を散りばめたんです。
だから、MBAとれたんですって。
その伝で行くと、今回の日経平均最高値は、欧米の海外投資家が楽観的なおかげでもたらされた、と言っても間違いじゃないでしょ?
ただね、もしもう少し英語のIRの宣伝をリアルにしたり、戦略的さを加えたり、英語の表現を改めたりすれば、日経平均は今回の2倍になりますよ。
企業の皆さん、僕がお手伝いしますよ(半分本気だよ)
野呂 一郎
清和大学教授
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