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マクドナルドはなぜ、音声AI導入を見限ったのか?

この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:米ハンバーガーチェーンで導入が盛んなのは、ドライブスルーにおける音声AIの導入。しかし、マクドナルドがこれに派手に失敗、SNSで失笑を買う事態に。過渡期のAIと企業は、そしてあなたはどう付き合うべきか。5つの指針を紹介する。

マクドナルド、IBMとの共闘失敗

音声AIとマクドナルドって?

例えば、ハンバーガーをドライブスルーで注文しますよね?

あれを人が受けないで、AIが受けるって感じでしょうか。

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いまアメリカのファストフード各社は、ドライブスルーに音声AI(voice AI)を導入する動きが急です。

マクドナルドはIBMと組んで、全米100店舗で、”AIドライブスルー”の実験をしたんです。

それがいまYouTuberに撮られ、SNSに書き込まれ笑いものにされているんです。

マックナゲット8個と、アイスティーを2杯頼んだら、ナゲットが260個、アイスティーが9杯出てきて、240ドル請求された、とかです。

マクドナルドは慌てて、IBMとの契約を打ち切ったというのです。

パートナーシップの問題

AI業界の関係者は、「それはパートナーシップ相性の問題であって、音声AIの側が悪いってわけじゃないよ」と抗弁します。

たしかにライバルチェーンのウェンディーズはグーグルクラウドと組んで、ドライブスルーに音声AIを導入して成功してますし、カールズジュニア(Carl's Jr.)は独自の音声AIを構築しているプレスト(Presto)と契約を交わし、うまく行っています。

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しかし、やはり、AIはまだ、ユーザーの期待にそえるようなレベルではないことは事実なのです。

企業は、あなたはAIとどう付き合うべきか

マサチューセッツ工科大学(MIT)の未来技術プロジェクトのディレクター(Director, FutureTech)をつとめる、ネイル・トンプソンさん(Neil Thompson)はこう話します。

「AIシステムは、とんでもない先行投資しなくちゃならないんだよ」

New York Times Weekly 2024年7月7日 260 Nuggets? Nine iced teas? Enough, McDonald's decides(260個のナゲットにアイスティ9杯?もういいよ、やめた、マクドナルド)

AIの日進月歩が毎日のように報道される昨今ですが、企業は、そしてあなたは、このテクノロジーにどういうスタンスを取るべきなのでしょうか。

私見ですが、経営判断は以下の5つになりましょう。

1.クリエイティブをAIに丸投げする企業は、差別化の最大要因であるアイディア、創造力を放棄したも同じ。

ウチは、私はそもそもやらない

2.オペレーションによっては効率を上げることは事実だ、人手不足もあり、注文の際の音声AIなどは買わないとならないだろう。

失敗のコスト?負うしかあるまい。

3.AIプロバイダーと言ってもピンキリだし、マクドナルドみたくIBMと相性が悪かったりもある。

まずはヘビーな契約をしないことだ。

やってみて、うまく行かなければ、同業他社に乗り換えればいい。

4.AIは過渡期なんだよ。

使えるまでにあと10年かかる。

だから、今中途半端に使うと、カネをドブに捨てるだけだ。

10年経って「使える見込み」がはっきりしたら使えばいいさ。

5.待つのはダメだ。

AI業界は悪く言えばスケープゴート(犠牲)が必要だ。

企業側が実験台になって失敗もかぶってやらないと成長なんかできない。

投資だと思って、適当なAIパートナーを見つけ、二人三脚でウチに合ったAIを構築するんだ。

筆者落書き

マクドナルドは、IBMと破談になり、音声AIはコリゴリ、かと見えましたが、最近になって「やっぱり音声AIやる」となったそうです。

さて、御社は、あなたはどのスタンスですか?

野呂 一郎
清和大学教授


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