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真夏の怪談シリーズ5 助手席に乗りこんできた、白装束の女。
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:夢のお告げは本当にあるかもしれない件。この作品はフィクションである、とは言い切れません。
北海道で起きた怪異
その心霊番組は、北海道の某所で鯉の養殖を営んでいる男性(以後Aさんとする)が、体験した恐怖を再現していた。
ある日の夜、Aさんは仕事を済ませてで、車で帰路を急いでいた。
すると、助手席に見知らぬ女性が座っているではないか。
もちろん、そんな女性を乗せた覚えは、ない。
女性は20代前半のようで、うりざね顔の美しい女性だった。
しかし、着ている物は薄手の白い着物だった。白装束といった方がいい。
白がやけに夜に映えて、場違いな空気を一層かもし出している。
Aさんは、生きた心地がしなかったが、それでも時折、女性に目をやった。
女性はまっすぐ前を向いて、一点を見つめている。
振り返られる恐怖と戦い、Aさんが目を凝らすと、なんとはなしにだが、見覚えがあるような気がした。
Aさんは全速力で、帰路を急いだ。
恐怖のあまり、無我夢中でアクセルを踏み込んだ。
家にたどり着くと、玄関を開けて叫んだ。
「塩だ、車に塩をまけ!」
愛犬のゴンが車に向かってけたたましく吠えた。
人に吠えたことなどない犬が、何かの気配を感じているのだ。
何のことだかわからず、奥さんは言われるようにした。
Aさんが恐る恐る車をのぞくと、女はいなかった。
夢が知らせた事件の場所
一郎は「この話には何かある」と感じた。
どうしてもその謎が知りたくて、矢も楯もたまらず初秋の北海道に飛んだ。
場所が皆目わからないので、テレビ局に尋ねたが、諸事情で教えられないとのことだった。
田中一郎は、翌日夢を見た。
UFOが大挙して襲来する夢であった。
「UFOこそキーワードだ」、一郎はピンとくるものがあった。
中岡俊哉は、UFOにも詳しく、いくつかの関連著作も書いていた。
本棚からそのいくつかを取り出し読んでみた。
すると、「北海道の斜里町にUFOの基地がある」という記述を見つけた。
どうもそのころ、斜里町でUFO目撃情報が集中しており、中岡氏はその事実から大胆な仮説を掲げていたのだ。
一郎は一路青春切符を買い、青森まで行き、青函連絡船に揺られ2日がかりで、斜里町に着いた。
ユースホステルに宿を決めたのは、若者が多く泊まっていれば、彼らの感性に触れて、Aさんの幽霊を目撃した件も手掛かりがつかめるのではないかと思ったからだ。
つたない直感は当たった。ユースホステルを経営している女性が、「Aさんを知っている」というのだ。
UFOの夢が、Aさんを手繰り寄せた、のだ。
それも、Aさんのお宅は、そのユースホステルから、車で10分くらいのところにあったのだ。
ユースのおかみさんは、わざわざ車で一郎を送り届けてくれた。
一郎は、テレビの番組で見たことを伝え、是非エピソードを聞かせてほしいと頼み込んだ。
Aさんはわざわざ東京から来たことに恐縮して、見ず知らずの一郎を歓待してくれ、様々な話をしてくれた。
一郎は思い切って核心をついた。
「Aさんは、助手席の女性をご存じなんですね?」
「ええ、知ってるとぉよ」 Aさんは土地のなまりではっきり答えた。
それは、Aさんの数奇な生まれに関係したものだった。
明日に続く。
野呂 一郎
清和大学 教授
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