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中国の見当外れな”好かれたい外交”。

この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:対外的な評判が気になる中国が、途上国に大盤振る舞いを始めた背景。国の信用は、当たり前だが「積み重ね」、という真理。結局は専制主義国家では信用は得られないという、現実。

評判こそマネジメント

少し前に、”評判マーケティング”がキテる、というお話をしましたが、評判とはまさに、現代経営の横綱的キーワードといえます。

しかし、国際政治の世界でも”評判”は、もっとも重要なパワーワードです。

その証拠に今、習近平氏はその評判を獲得するのに、血道を上げています。

BusinessWeek2023年4月10日号P7は、Remarksという社説のようなコラムで、中国政府の新動向を報じています。

習近平氏が、中国共産党の幹部にこう言った、というのです。

https://qr.quel.jp/pv.php?b=3L6hrvc

「中国はもっと信頼に値し、愛され、尊敬されるイメージ("trust-worthy,lovable and respectable" image)を持たれる必要がある。」

前掲The Wall Street Journal

なにせこの3年間、中国のグローバルなイメージはひどいものでした。

コロナ中国発祥起源説には頬かむりし、重大な情報は隠したまま、ロシアのウクライナ侵攻直前には、「プーチン大好き」と無限のパートナーシップをぶちあげるその姿勢に、「これは、中国は台湾に仕掛けるな」との疑惑が世界中から巻き起こりました。

中国国内世論が変化

評判を気にしだしたのは、「中国もまともなのかな」と、思わせることではあります。

実際この3月は、中国は国際的な評判をあげるためのパフォーマンスが目立ちました。

3月6日にはスリランカの借款を肩代わりするという救済策をぶち上げ、このことはお金に困っている途上国全体に対して、中国は協力するとのメッセージになりました。

イランとサウジアラビアの国交正常化のお膳立ても、中国がやったとのテイをとりました。

極めつけはウクライナに対しての停戦提案で、これもヨーロッパの平和のためという建付けです。もちろんこれは、「ロシアへの肩入れが過ぎる」、との西側の猛烈な反発があったわけですが。

これら、中国の国際的評判をあげようとするパフォーマンスは、コストがかかります

中国経済が好調のときは、人民も文句を言いませんでしたが、ゼロコロナ政策で経済に大きなダメージを負った今、中国の人々は途上国へのインフラ整備への借金の肩代わりやその他の援助について、批判の目を向け始めています。

そもそも、中国を信頼しろ、尊敬しろ、そして出来れば愛せ、というが土台無理なのです。

中国の評判を悪くしているのはここ3年の諸々だけじゃなく、なくならない海賊版の販売、度重なる領海への侵犯、香港での人民弾圧、2,500年の歴史を持つ新疆ウイグル自治区の人々に対しての人権侵害などきりがありません。

有力民間企業を持ち上げもしますが、結局は共産主義が第一で、都合が悪くなると平気で弾圧します。

中国版アマゾン、Eコマース帝国のアリババグループの創設者、ジャック・マー氏が窮地に追いやられているのがその例です。

中国通販大手アリババグループ総帥、ジャック・マーさん。https://qr.quel.jp/pv.php?b=3V3JiRr

マー氏が当局を批判するや、マー氏を追い詰められ、事実上の亡命を余儀なくされています。

専制主義をやめれば愛されるのに

途上国は中国のカネになびき、アメリカ企業の一部も中国で冷遇されるのが怖いという弱みを抱えており、正面切って中国に物申す国は多くありません。

でも、今の中国はイソップ物語の北風と太陽の寓話における、北風に過ぎません。

https://qr.quel.jp/pv.php?b=3V3JDDH

その北風に、世論が逆風を叩きつけているのは、皮肉です。

言ってみれば、習近平氏も裸の王様に過ぎないことは、ゼロコロナ政策が明らかな愚策であることで証明されました。

https://qr.quel.jp/pv.php?b=3L5FJFK

本当に中国が国際社会で尊敬され、愛される存在になるには、民主主義を標榜する国家になるしかありません。

習近平さんも、この記事の書きぶりだと、「西側の一員として認められたい」気持ちが少しあるようです。

「愛される国家になりたい」との彼の気持ちに、少し賭けてみたい気がするのですが、やっぱり勘違いでしょうかね。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
じゃあ、また明日お目にかかりましょう。

野呂 一郎
清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー

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