新種の生物

 子供のとき、家の前の地面を奇妙な生き物が這っているのを見つけた。ナメクジのようだが触角が一本しかない。図鑑で調べても、それと思しきものは見つからなかった。

 虫に詳しい叔父さんに調べてもらうことにした。新種の生物を発見したかもしれないという期待と興奮を抑え、叔父さんからの連絡を待った。

 長い四日間が経ち、叔父さんから結果を知らせる電話が来た。叔父さんによれば、あれは新種の生物ではなく、殻と表皮と尾と口と片方の目が注意深く削ぎ落とされた蝸牛だったという。

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