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戯言も ここまでいけば 芸だよね   『ステキな奥さん あはっ2』伊藤理佐(著)

ステキな奥さん あはっ2

一日にくたびれて、考えすぎてしまい、家に帰ってきてぐたっとなる。
もう何も考えたくない。頭の中をカラッポにしようと試みる。
試みるがなかなかうまくいかない。
つい、あれやこれやと思いを巡らしてしまう。
アルコールの摂取はいい。
心の芯からリラックスできるような気がする。
気がするだけで実は出来ていないのかもしれない。
でも、たとえ気のせいでもいいではないか。
なんとなく物事がうまく運ぶような、予感めいたものが芽生える。
気のせいかも知れないけれど。

一筆書きみたいにサラッと描いた絵と、一筆書きみたいにサラッと書いた文章でおなじみ、伊藤理佐のエッセイである。
描かれているのは仕合わせそうな家族である。
仕合わせの中にも悲喜こもごもがある。しかしその悲喜こもごもをほとんどすべて「笑い」に変えてお送りするエンターテインメント。
いつも思うことだが、これって誰にでも出来ることじゃない。
出来そうで出来ないのが現実だ。
これはひとつの「芸」といってもよい。
よい芸を見ている瞬間、頭の中はからっぽになっている。
頭の中がからっぽになるのが、よい芸だ。
よい芸はそれをさせる。

よい芸とよい酒は頭をからっぽにさせる。
年がら年中あたまをからっぽにしていたら問題があるかもしれない。
緊張と緩和。
張り詰めた時間と、それを解く時間。
わたしたちは天秤秤(てんびんばかり)に片脚で乗っかっている。


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