ゴッドウルフの行方 ロバート・B・パーカー 菊池光訳
ここからすべてが始まった。
この本をはじめて読んだのはもう20年以上前だと思う。
とはいえ、最初に手に取ったスペンサー作品は、「初秋」か「笑う未亡人」かな。
正直いってはじめの頃はロバート・B・パーカーの文体が理解できなかった。
あの頃の自分には少し難しかったのかもしれない。
けれど「笑う未亡人」で一気に開けた記憶がある。
何かのスイッチが入った感じで。
脇役の描写がすごくよいのだ。
いわゆるゲストスターの扱いがとても良い。
今回は何といってもテリイ・オーチャドだろう。
もちろんその他の脇役ちょい役の使い方も。この手腕は第一作目から出来上がっていたんだな。完成されていたのだ。
僕はロバート・B・パーカーが亡くなったとき、ほんとうに寂しかったのを覚えている。今でもその寂しさに時々襲われる。
スペンサーの新作を、もう読むことができないという事実。
何年も前に出された最終話を、読んだのがついこの間。
読めなかったのだ。これを読んでしまったらもう、新しいスペンサーシリーズを読むことが出来ないという事実を受け入れることが出来なかった。
けれど考え方を変えた。
もう一度第一作目から読み始めればいいのだ。
どうせ自分のことだから、あんなに愉しんで読んだシリーズだって忘れている箇所がたくさんあるはずだ。また新鮮な気持ちで読むことが出来るかもしれない。
というわけで今回本書を手に取った。
また新しいスペンサーとの出会いがはじまる。
B51-2022-3
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