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一瞬となる世界


夫のちんぽが入らない こだま

生まれてからまだ10年も経っていない、かよわき者どもが集い、
いちにちの半分をひとつの教室で一緒に過ごすという事を考えてみるに、
それは結構無理があるように私なんかは思う。
感性が強い子ほど傷つくだろうし、野生児みたいな子ほど秩序を持たないからだ。
しかしそうは云ってみてもしょうがない。
生まれてからまだ10年しか経っていないからこそ、柔軟性があり適応可能性もあると判断すれば、それはそれでひとつの意義もあるのだろう。
生まれたての個性。これでもか、という程のエナジー。そしてカオス。
愛と夢と、悪と善とが混然一体となり、日々清濁併せ体育館の天井に飛び散っている。
現実の世界とそうでない世界が机の裏側にハナクソと一緒にへばりついている。
座っている椅子の下のこすけた床板はどこまでも地獄につながっており、子供らはそれの往復切符を毎日更新している。
ある者は音楽に救われ、
ある者は映画に救われ、
ある者はグローブとバットに夢を馳せ、
ある者はトランジスタラジオをひたすらいじくっている。
サッカーボールをバスケットの網に向かって放り投げても成就する初恋なんてたかが知れたもの。
トラックを回り続ける短パン・ジャージー族は駅の名前を暗記しようと必死だ。
一瞬が永遠となり永遠が一瞬となる世界。
軒先から地面に突き刺そうとしているつららに、急ぎながら溶けそうなチョコレートを押し込もうとしている。
ロックンロールを見ようとしている。
線路で遊ぶのは、およし。
危険だからね。
あの時、好きになった人のことを覚えているかい?
銭湯で、偶然会いたいな。


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