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ゲーマーがアフターコロナの救世主? 「ゲームホテル」が世界で続々誕生【ポッドキャスト番組『グローバル・インサイト』文字起こし】

世界のビジネス・テクノロジー・ライフスタイル・カルチャーのトレンドを、世界各地の編集者・ライター・クリエイターが現地からお届けするポッドキャスト番組『グローバル・インサイト』。

この番組では、「ポッドキャストの中身は気になるけど、ゆっくり聴く時間が取れないよ!」という方のために、リスナーさんからの反響が大きかった人気エピソードの文字起こしをnoteで配信しています。

今回は「ゲーマーがアフターコロナの救世主?「ゲームホテル」が世界で続々誕生」の回をお楽しみください(Spotifynoteでのフォローもお待ちしております)。

岡 こんなご時世なんですけど。

行武 はい。

 今ですね、「ゲーマー」の取り込みを狙うホテルが増えているそうですよ。

行武 こんなご時世ですけど、すぎる(笑)。でも面白いじゃないですか。どういうホテルなんです?

 実は「世界初のゲームホテル」が、僕らが住むオランダ・アムステルダムにあるんですよ。

行武 え!知らなかった。

「The Arcade Hotel」っていうんですけど。

行武 へえ!あれなんですか、こう、ゲーマーが喜ぶような部屋みたいな?

岡 このホテルの最大の売りが「Game Room」って呼ばれる部屋なんですけど。

行武 ほお。

岡 25平方メートルの広さの部屋に、任天堂スイッチとかプレイステーションみたいなカジュアルゲーム機。

行武 楽しそう。

 だけじゃなく、ハイスペックなゲーミングPC、ディスプレイ、ゲーミングチェア、ヘッドセットなど。

行武 ガチだ!プレステがかすむ(笑)。

 ハードコアなeスポーツファンも満足させる機器が備えつけられているそうです。

行武 一泊おいくらなんです?

 Booking.comなんかにも掲載されているんですけど、一部屋一泊1万円から3万円ほどで泊まれるみたいです。

行武 普通のホテルと変わらないんですね。

 台湾にも「i Hotel」というホテルがありまして。

行武 台湾、アジアにも。

 はい、そこには、PCゲームのグラフィックボードとしては定番と言われる、NVIDIA「GTX1080 Ti GPU」。

行武 最近ゲームやってないから「定番」って言われてもピンと来ないんですけど(苦笑)。

 これがたまらないんですよ、きっと。それを搭載したハイスペック・ゲーミングPCに加えて、ゲーミングチェアが各部屋に備えつけられているそう。

行武 そこはおいくらで泊まれるんですか?

 1部屋一泊1万円〜2万円、オンライン予約サイトでは50%ほど値引きされることも。

行武 お得じゃないですか。普通に安い。

 普通に泊まってもいい(笑)。

行武 さっきのThe Arcade Hotelもそうですし、i Hotelもそうですけど、ユニークなホテルがそういう取り組みを始めているんですね。

 実はですね、高級ホテルもゲーマー客を取り込む施策を始めているんですよ。

行武 へえ!どこです?

 ヒルトン

行武 まさかの、大手すぎる。

 パナマにあるヒルトンは、アメリカのゲーミングPC会社、エイリアンウェアとコラボしまして。

行武 ああ、あのグレーというかエイリアンのロゴのところですね。

 詳しいじゃないですか(笑)。そのホテルの「2425号室」を本格的なゲーミングルームに仕立て上げたそうです。

行武 その部屋だけ!なんかワクワクしますね。

 2018年4月にローンチして、そこは一泊4万円ほど。

行武 さすが高級ホテル。ちょっと高め。

 なんですけど、1年先のスケジュールを調べても「not available」

行武 え!かなり先まで予約で埋まってるんですね。大人気だな。

 それもそのはず、2425号室のゲーミングデスクトップPCのスペックは、Core i7-8700プロセッサ。

行武 だから、僕あんまりピンとこないんですよね(苦笑)。

 さらに32GB RAM、512GB SSD、1TB HDD、NVIDIA GTX 1080 Ti。

行武 なんか読み上げてます?(笑)

 ゲーミングチェアやゲーミングディスプレイはもちろんのこと、65インチ4K OLED?テレビ?

行武 お、詰まってきたぞ(笑)。

 5.1chサラウンドの音響システムも完備。ゲーミングラップトップもあり。

行武 はあ(笑)なるほど・・・・・・なのか? でもとにかくすごいんですね(笑)。

 パナマの太陽を浴びながら、屋外でゲームをすることも可能。

行武 それ先に言ってくださいよ、それなら分かる(笑)。カクテルつきで、みたいな。

 すみません、置き去りにして。スペック推しがすぎました(苦笑)。でもですね、面白いのは、ゲーム会社がホテル業界に参入する動きもあるんですよ。

行武 ほお、これまではホテル業界がゲーム業界に近づく動きでしたけど、その逆。

 そうなんです。世界初のゲーム会社と言われる、アメリカのAtari。

行武 はいはい、レトロゲームで知られる。

 その老舗もゲームホテルに参入するそうで。

行武 へえ!

岡 2020年1月に、アメリカの8都市に独自ブランドのホテルを開設する計画を発表したんですが。

行武 ほお。

 その第1号は、アリゾナ州フェニックスに開設する予定。2020年秋頃に建設を開始し、2年以内の完成を目指すそうです。

行武 8都市ということは他にも?

岡 ラスベガス、デンバー、シカゴ、オースティン、シアトル、サンフランシスコ、サンノゼでのオープンを計画しているそうです。

行武 じゃあもう本気の新規事業なんですね。

岡 VRやARを駆使したゲーム体験もできるようになるとのこと。

行武 でも、なんで今、ゲームホテルなんでしょう?  むしろ、こんなこと言うのはなんですけど、ゲームと旅行って対極にあるような感じしません?

 ああ。

行武 だって、ゲームって屋内、自宅でやるものじゃないですか。「わざわざ外出して、しかも他の国に行ってやるものか?」と。

 たしかに。ただ、最近はゲーム=「インドア」あるいは「オタク」みたいなイメージが変わりつつあるようで。

行武 そうなんですか。

 背景には「eスポーツ」の盛り上がりがあるんですね。

行武 と言いますと?

 あの、人気ゲームの「リーグ・オブ・レジェンド」。

行武 はいはい、大人気の。

 そのeスポーツリーグとして、「リーグ・オブ・レジェンド・欧州チャンピオンシップ」というのがありまして。

行武 サッカーみたいですね。

 それが2019年4月にオランダ・ロッテルダムで開催されたんですが。

行武 へえ。

 開催期間の2日間で、240万ユーロの経済効果がもたらされたそうですよ。

行武 約2億9000万円、3億。それは大きな経済効果ですね。

 開催場所がAhoy Arena(アホイ・アリーナ)という場所なんですが、その収容人数は1万5000人。

行武 すごい。そんなに人が集まるんですか。

 しかも、オランダ国外から来た観客の割合が87%だったそうです。

行武 わざわざ海外から?

 それこそ、eスポーツが盛んな中国や韓国、さらには南米ペルーからも観客がやってきたそうですよ。

行武 出場者じゃなくて、観客なんですよね? すごい人が動きますね。

 だから、そのリーグの誘致も盛り上がるみたいで。

行武 オリンピックみたいに。

 そのリーグの開催地として、40都市が名乗りを上げたそうです。

行武 すごい。

 最初の都市としてはロッテルダムが選ばれましたけど、2020年は、春の決勝戦が4月にハンガリー・ブタペストで、夏の決勝戦がスウェーデン・マルメで開催される予定でした。

行武 コロナでダメになっちゃったんですね・・・・・・とはいっても、1年を通して、世界各都市にeスポーツファンは頻繁に移動するんですね。

 はい、まさに「大移動」

行武 そりゃあ、ホテル業界も放っておかないわけだ。

 今このコロナの外出自粛中にeスポーツのファンも増えているでしょうし。

行武 もしかしたら、そんなファンが観光産業にとってアフターコロナの救世主になるかもしれませんね。

 はい、Airbnbとか民泊も、今は苦しいでしょうけど、いろんなところにこのムーブメントが広がっていきそうです。

編集者/Livit代表 岡徳之
2009年慶應義塾大学経済学部を卒業後、PR会社に入社。2011年に独立し、ライターとしてのキャリアを歩み始める。その後、記事執筆の分野をビジネス、テクノロジー、マーケティングへと広げ、企業のオウンドメディア運営にも従事。2013年シンガポールに進出。事業拡大にともない、専属ライターの採用、海外在住ライターのネットワーキングを開始。2015年オランダに進出。現在はアムステルダムを拠点に活動。これまで「東洋経済オンライン」や「NewsPicks」など有力メディア約30媒体で連載を担当。共著に『ミレニアル・Z世代の「新」価値観』『フューチャーリテール ~欧米の最新事例から紐解く、未来の小売体験~』。ポッドキャスト『グローバル・インサイト』『海外移住家族の夫婦会議』。


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