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ポッドキャストの離脱率を分析して分かった「最後まで聴かれる」エピソード作り5つの秘訣

ポッドキャストグローバル・インサイト、世界のビジネス・テクノロジー・ライフスタイルのトレンド、その背景にあるミレニアル世代・Z世代の間で生まれる新しい価値観について、週に3回お届けしていますが、配信したエピソードがどれだけ、どのようにして聴かれているか、たまに分析して企画や台本作りに生かしています。

ポッドキャストの分析機能でこんなことが分かる

例えば、僕のポッドキャスト番組のリスナーのペルソナ像は、日本に暮らす40歳の男性が、SpotifyのiPhoneアプリを使って聴いてくれているそうです。各エピソードの再生回数を見てみると、どうやらデジタル業界、メディア業界で起こっている出来事に関心の高い人が多く、それと音楽に関するエピソードもよく聴かれます。

こうしたことは、僕がポッドキャストの収録・配信に使っている「Anchor」というアプリのアナリティックス機能で分かることなんですが、最近、Googleアナリティックスのように、各エピソードの「離脱率」が分かるようになりました。リスナーの方がだいたい何分何秒くらいまで聴いて、途中で離脱してしまうのかが分かるんですね。

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それを分析すれば、同じテーマのエピソードでもより多くの人に、より深く聴いてもらえるための台本やトークの構成が分かるということで、単にリスナーのデモグラフィック属性を知ることよりも、ポッドキャスト番組のクオリティー向上に貢献してくれていると感じます。

今回は、そんな離脱率を分析する機能を使って、そんなに数は多くないですが、少しずつ分かってきた、リスナーに「最後まで聴いてもらえる」エピソード作り、5つの秘訣をシェアしたいと思います。

1. ポッドキャストは最後まで聴いてくれる人が多い

まず1つ目は、これは秘訣というかポッドキャストの特徴なんですが、意外と最後まで聴いてもらえるということが分かりました。僕の番組だと、10分以下の短いものでだいたい75%、20分以上の長尺ものでも55%のリスナーがエピソードを最後まで聴いてくれているようです。

これはどうやら僕の番組だけでなく、一般的に言えることのようで、「エジソンリサーチ」の調査では、52%の人が「最後まで聴く」、41%の人が「大部分を聴く」と回答したそうです。

最後まで聴いてくれる、つまりエンゲージメントの高さでいうと、ポッドキャストは他のメディアのコンテンツよりも高いのかもしれません。これはおそらく「人の声」の力が大きいんだろうなと。文字や写真、映像に負けないくらい、人の心を惹きつける力、人の感情に訴えかける力が声にはあるんでしょう。

2. リスナーは最初の1分で聴き続けるかを判断する

次に気づいたのは、リスナーは最初の1分で、そのエピソードをそれ以降、最後まで聴き続けるかを判断するということです。

離脱率は最初0%から始まり、そこからジワジワと伸びて、最後落ち着くわけですが、その離脱率の伸びるカーブを見てみると、最初の1分までが角度が急で、それ以降はなだらかに増えていく傾向にあるようです。逆に、最初の1分間聴いてもらえさえすれば、最後まで聴いてもらえる可能性が高い、とも言えるかもしれません。

3. 最初の30秒で一度「面白い!」と思わせよう

では、その最初の「1分の壁」を越えられるエピソードと、越えられないエピソードの差はなんだろう、と離脱率のグラフと過去の台本を照らし合わせたとき、気づいたのは、最初の1分あるいは30秒以内に一度「面白い!」と思わせることが大事なんだろうということでした。

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例えば、このグラフのエピソードでは「世界一プラスチック利用に厳しい国はどこでしょう?」というクイズ形式から始まったのですが、この回は飛び抜けて最初1分間の離脱率が低く、90%近い人に最後まで聴いてもらえました。

クイズ形式だけでなく、リスナーに質問を投げかけたり、冒頭で衝撃的な研究結果や統計情報を伝える、なども考えられるでしょう。これはビジネスのプレゼンテーションにも通じるかもしれません。

4. 中盤以降も30秒に1度は面白ポイントを作ろう

最初の1分あるいは30秒で一度「面白い!」と思ってもらえれば、一定の人に長く聴いてもらえるのですが、やはり中盤・終盤でも定期的に30秒に一回は面白いと思ってもらえるポイントを設けることが、離脱率の上昇を防ぐのにはいいようです。

特に終盤はエピソードが終わりに近づき、盛り込む情報が手薄になりがち。そのときも序盤や中盤に劣らないテンポを保つことを心がけるといいかもしれません。

5. 過去の「もったいないエピソード」を洗い出そう

他のメディアと比べて、ポッドキャストは一度配信・公開したエピソードを編集したり、更新したりして、というのは難しいです。ただ、同じトピックでも、構成や切り口、盛り込む情報を変えて、新たに収録し、配信するというのはいいかもしれません。

過去のエピソードのアナリティックスを見返し、特に再生回数は多いのに離脱率が高く、最後まで聴いてもらえていないと感じる「もったいないエピソード」を洗い出し、ブラッシュアップして、再度収録・配信するのはいいかもしれません。再生回数が多いということはポテンシャルは十分にあるはずです。

・・・・・・最後に、ポッドキャストを始めたばかりの初期に配信したエピソードも、意外と今でも聴いてもらえるんだな、ポッドキャストってストック型の資産なんだなと、今回アナリティックスを見返して、あらためて感じました。なので、こうして分析したり、改善したりしながら「発信し続けていく」ことを一番大切にして、これからも頑張っていこうと思います。

リスナーのみなさん、いつもありがとうございます!ポッドキャスターのみなさん、一緒に頑張ってまいりましょう!

編集者/Livit代表 岡徳之
2009年慶應義塾大学経済学部を卒業後、PR会社に入社。2011年に独立し、ライターとしてのキャリアを歩み始める。その後、記事執筆の分野をビジネス、テクノロジー、マーケティングへと広げ、企業のオウンドメディア運営にも従事。2013年シンガポールに進出。事業拡大にともない、専属ライターの採用、海外在住ライターのネットワーキングを開始。2015年オランダに進出。現在はアムステルダムを拠点に活動。これまで「東洋経済オンライン」や「NewsPicks」など有力メディア約30媒体で連載を担当。共著に『ミレニアル・Z世代の「新」価値観』『フューチャーリテール ~欧米の最新事例から紐解く、未来の小売体験~』。ポッドキャスト『グローバル・インサイト』『海外移住家族の夫婦会議』。


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