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今年の抱負は「1日2.5時間労働」 ロックダウンが日常になるかもしれないから・・・

人生で最も悲観的な抱負

オランダは引き続きロックダウン中。ホームパーティーにも友人をなかなか呼びづらいけれど、年が明けたということで、かぎられた人数で新年会を楽しんだ。

新年会ということで何度か会話に出てきたのが「今年の抱負」。独立してからというものの、年の変わり目でなにかが大きく変わるということもなく、もう何年も抱負を考える習慣はなかった。けれど、口をついて出てきた自分の言葉にしっくりきた。

僕の今年の抱負は「1日2.5時間労働」。平日朝9時から11時半まで仕事をして、ランチタイム以降は子どもの世話、家事にあたるというもの。たぶん、夜はもう子どもの世話でヘトヘトで仕事はできないだろう、というあきらめの気持ちもまじったスケジュール感だ。

「1日2.5時間労働」というアイデアが浮かんできたのは、僕は今年、すごく悲観的に見て「ロックダウンが日常」になるんじゃないかと思っているからだ。というか、そういう覚悟でいることが、自分のメンタルヘルスを守ることにもなるんじゃないかという備えからだ。

コロナも変異種が出てきて、しかもその拡大スピードは元より速く、ワクチンも対応できるのか不透明。そんな中で、収束のメドは立たず、今は「外出制限」がかかるときに政府からアナウンスがあるけれど、今後は「外出許可」が出るときに政府からアナウンスが出されるようになるのかもしれない、とディストピアのような日常が頭に浮かんだのだ。

もちろんそんなことにはなってほしくないけれど、だけど、そういうふうに万が一のことを想像していれば、いざそのような最悪な状況になったときに傷つかずにすむ。この「傷つかない」ということが大切で、起こる出来事やそれによるダメージは同じでも、傷つくか傷つかないかでは、その受け止め方やまた前に進むために要する時間が大きく変わってくる。

1日2.5時間労働、どんな生活になるだろう?

それで、もしもロックダウンが日常になった場合、やっぱり引き続き学校や保育園は閉鎖だろうし、そうなると24時間・7日間、子どもたち(4歳の小学生の娘と2歳の保育園児の息子)が、家にいることになる。

その中で、仕事も育児も家事も、妻と2人でまわしていこうとなると、たぶん、午前中は僕が仕事をして、妻は午後に仕事をすることになると思う。さすがにどちらか一人で子ども2人の面倒を何時間も連続してみるのは、体力的にも気力的にも限界だし、必要な夫婦間のコミュニケーションも足りなくなってしまうだろうから。

1日2.5時間、この中でまず、今目の前にある仕事をこなさなければならない。しかし、それだけでは数カ月先の仕事は作れないし、ましてや仕事につながるか分からないような実験や学習に時間を割きづらくなるわけで、ここでうまく、経済的なこと自分の自己実現家族とのいい関係性を保つことのバランスが試されるんだろう。

仕事においては、当然お金は稼がなければいけないわけで、ただ、お金を稼ぐだけでは社会とのつながりは感じられにくい。2.5時間の中で、いかに社会に対して自分が与えているインパクトを感じながら取り組めるか、にこだわっていきたい。

状況は閉塞的でも、意識だけは外へ

そのためには、ただでさえ仕事の時間が減って、これから経済的な制約をより受けるようになるだろうけど、それでもまわりの人に頼って支え合って仕事をしていかなければいけないと思う。

なぜなら、自分の仕事の状況に不満を感じていては、午後、子どもと向き合うとき、Availableな自分ではいられないし、そんな中途半端な自分へのいら立ちが、妻にも伝わってしまい、家庭に不機嫌が充満してしまうだろうから。

仕事だけでなく、子どもの世話にしても、もっと柔軟に、だれかに頼ることを考えていかなければいけないのかもしれない。コロナで人と対面しづらいけれど、オンラインのチューターやシッターを頼んでみるとか。

そのためにはやっぱり、状況がどんなに閉塞的でも、「選択肢は常にある」と、意識だけは外に向いていないといけないと思う。

一日も早い収束を願うけれど、今年は「ロックダウンが日常」という覚悟で、自分や家族のメンタルヘルスにより意識的に向き合い、それぞれのクオリティを高めていけるようにしていきたい。

編集者/Livit代表 岡徳之
2009年慶應義塾大学経済学部を卒業後、PR会社に入社。2011年に独立し、ライターとしてのキャリアを歩み始める。その後、記事執筆の分野をビジネス、テクノロジー、マーケティングへと広げ、企業のオウンドメディア運営にも従事。2013年シンガポールに進出。事業拡大にともない、専属ライターの採用、海外在住ライターのネットワーキングを開始。2015年オランダに進出。現在はアムステルダムを拠点に活動。これまで「東洋経済オンライン」や「NewsPicks」など有力メディア約30媒体で連載を担当。共著に『ミレニアル・Z世代の「新」価値観』『フューチャーリテール ~欧米の最新事例から紐解く、未来の小売体験~』。ポッドキャスト『グローバル・インサイト』『海外移住家族の夫婦会議』。


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