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第五章 夏祭りの夜③

新たな夢への第一歩

 夏祭りの喧騒が遠のく中、真央と健太は肩を寄せ合って歩いていた。

 「今日は楽しかったね。子供たちの笑顔を見てると、私まで元気になるわ」

「ああ、あの笑顔を守るためにも、俺たちは頑張らないとな」

 二人は夜空を見上げ、満点の星に思いを馳せる。

 「ねえ健太君、私たち、この一宮で伝説になれるかな」

 不安げに呟く真央を、健太は優しく見つめた。

 「なれるさ。君となら、必ずなれる。俺はそう信じてる」

 その言葉に、真央の心は熱くなった。

 「私も信じてる。健太君と一緒なら、どんな壁も乗り越えられる気がするの」

 真央が健太の手を握ると、健太もしっかりと握り返してくれた。

 「二人で夢を叶えていこう。必ず理想の未来を、この手で掴もう」

 力強い健太の言葉に、真央は深く頷いた。

 「明日からまた、織物の研究に励まないとね」

 「ああ、工房再興の準備も本格的に進めていこう。二人三脚でな」

 見つめ合う二人の瞳には、揺るぎない決意が宿っていた。

 遠くで花火が打ち上がり、夜空を色鮮やかに彩る。

 真央と健太は寄り添い合い、輝く光を見守った。

 「私たちの未来も、あの花火みたいに美しく煌めいていられますように」

 そう願いを込めて、真央が健太の腕に震えた。

「叶えてみせよう。俺たちなりの美しさを、この一宮の地に咲かせるんだ」

 固く誓い合った二人は、夢に向かって歩み出した。

 古い工房に新しい息吹を吹き込み、次の世代へと織物の灯をつないでいく。

 その使命を胸に、真央と健太の新たな伝説が幕を開けるのだった。

 夏祭りの夜が、二人の運命を大きく動かし始めた。

 けれどそれが、まだ見えない未来への分岐点だと、彼らは気づいていない。

 真央と健太。二人の絆が紡ぎだす物語は、新たな一ページを刻み始めていた。


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