エッセイ 母の耳たぶの子守歌(改題)
風呂上がりの火照った体に心地よいその冷たさとマシュマロのようなほどよいその柔らかさを指先で楽しむように確かめながら、安心して眠りに落ちていった・・・
母が死んだ時、葬式の祭壇の片隅に供えるつもりで、短歌を作ろうと思った。母の思い出を手繰り寄せようとしたが、なかなか出て来ない。遥か幼児期、物心つくかつかないかの頃まで遡らざるを得なかった。
母は、私が夜寝る時に、必ず添い寝をしてくれた。風呂から出たばかりの私は、湯冷めをするといけないからと言って、すぐにふとんに寝かせつけら