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★エッセイ集 視座

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エッセイを集めました。
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#レクイエム

エッセイ 母の耳たぶの子守歌(改題)

風呂上がりの火照った体に心地よいその冷たさとマシュマロのようなほどよいその柔らかさを指先で楽しむように確かめながら、安心して眠りに落ちていった・・・  母が死んだ時、葬式の祭壇の片隅に供えるつもりで、短歌を作ろうと思った。母の思い出を手繰り寄せようとしたが、なかなか出て来ない。遥か幼児期、物心つくかつかないかの頃まで遡らざるを得なかった。  母は、私が夜寝る時に、必ず添い寝をしてくれた。風呂から出たばかりの私は、湯冷めをするといけないからと言って、すぐにふとんに寝かせつけら

エッセイ ジャーマンアイリスに抱かれて(改題)

闘病の 陰さえ見せぬ 明るさの  秘密を知るや 手首の古傷 朝毎(あさごと)に 花を飾りし  君が今 花の棺に ひとり眠れる  これは、僕が印刷会社に入って間もない頃、仕事をアルバイトで手伝いに来てくれていた竹内美貴さんの死を悼むレクイエムです。  美貴さんは若くして骨肉腫を患い、余命宣告を受けた状態で会社に働きに来たのでした。大学へ進学予定だった彼女の最後の望みは、少しでいいから、働いてみたいということ。悪い足を引きずりながら、朝早く来て、職場に花を飾ってくれました。彼