ジャズを軽く聴き始めたい人への軽い名盤紹介⑧ちょいと小粋なヴォーカル編
こんにちは。
今回は気軽に聴けるジャズ・ヴォーカルのアルバムを一枚、お勧めしたいと思います。
一般的に初めてのジャズ・ヴォーカルをお勧めする場合はチェット・ベイカーの『Chet Baker Sings』が良く紹介されます。悪くないんですが、私はどうもチェットのヴォーカルは苦手でして💦
しかし、世の常に従ってご紹介します。
今回本当に紹介したい、今日のタイトルにもなっている「小粋なヴォーカル」は、
Sarah Vaughan『Crazy And Mixed Up』(1982年)(邦題:枯葉)
(サラ・ヴォーン『クレイジー・アンド・ミックスド・アップ』)
サラ・ヴォーン - ヴォーカル
ローランド・ハナ - ピアノ
ジョー・パス - ギター(#7, #8を除く全曲 )
アンディ・シンプキンス - ダブル・ベース(#8を除く全曲)
ハロルド・ジョーンズ - ドラムス(#8を除く全曲)
サラ・ヴォーンは沢山の録音があり、ジャズ・ヴォーカル史上、ビリー・ホリデイ、エラ・フィッツジェラルドと並ぶ、女性ジャズ・ヴォーカリスト御三家の一人と言われています。
なので名盤と呼ばれるものも数多くありますが、初めてのジャズ・ヴォーカルに最適な作品はこのようなこじんまりとしたアルバムの方が良いのではないかと、勝手に思った次第です。サラのアルバムの中では目立たない存在ですけど、持っているテクニックをすべて使ったような、本当に良い作品なんです。
このアルバムでは、ピアニストのローランド・ハナが実に良い仕事をしています。歌伴が実に小粋でサラとの相性抜群です。
まず1曲目「 I Didn't Know What Time It Was」
1939年のミュージカル「Too Many Girls」からのポピュラーソングで、その後数々のジャズ・ミュージシャンによって録音され、ジャズのスタンダードナンバーとして定着しました。
アルバムの一曲目を飾るには相応しい曲です。
2曲目「That's All」も 沢山のミュージシャンの録音があるスタンダードですね。ローランド・ハナのピアノソロも十分に堪能できます。
そして3曲目「枯葉」。もちろん有名なスタンダードナンバーで、このアルバムの邦題にもなっています。
しかし、本作では歌詞のないスキャットのアドリブで歌われており、原曲のメロディは断片すら登場しません。リリース当時に本作を聴いたファンの中には、「枯葉」が入っていないため中身が違うのではないかと思った人もいたといわれています。
コード進行を追ってみてください。間違いなく「枯葉」なんです。
ジョー・パスが思い切りギターソロを弾いています。それも聴きどころの一つですね。
「元々、枯葉がわからない」という方は、下の動画をご覧ください。
4曲目「 Love Dance」5.曲目「The Island」も沢山のカバーがある名曲です。
6曲目「Seasons」いい曲ですねー。歌い上げるサラにローランド・ハナのピアノも触発されたようにドラマチックなソロを弾きます。
7曲目「 In Love in Vain」なんですが、私にとっては最大の聴きどころ。
この曲との出会いは、キース・ジャレットというピアニストの『Standard Vol,2』というアルバムに始まります。
ジェローム・カーンという沢山のジャズナンバーを作曲した人の作品で、この曲はメジャーキーの曲なんですが、なぜか哀愁を感じる日本人好みの曲です。
この曲がとてつもなく気に入り、他のミュージシャンのカバーは無いか探しました。なんと、ビル・エバンスのバージョンがありましたが、こちらはスローテンポでバラード風の演奏だったので、私が求めていたものとは違っていました。
そしてサラ・ボーンのこのアルバムに出会ったわけです。
こんなにいい曲なのに、カバー数は少なく、 Charlie Haden Quartet West、Eddie Higgins Trio、そしてカーメン・マクレエ(下の映像)ぐらいしかでてきません。
8.曲目「You Are Too Beautiful」名曲ですね。ここではローランド・ハナのみの伴奏でしっとりと歌い上げます。
以上が、Sarah Vaughan『Crazy And Mixed Up』のご紹介でした。
他の、サラのオススメ盤としては『Sarah Vaughan With Clifford Brown』と
『How long has this been going on?』を挙げておきます。
今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
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