NETFLIXから学ぶ「みんなが本当に望むもの」とは?
NETFLIXで長く人事の責任者を務めた著者による「NETFLIXの最強人事戦略」(注: 以下引用はすべてこの本より)は、大胆な事業構造変革と急成長を繰り返してきたNETFLIXの人事における考え方のコアやその実践についてまとめた本で、現代の経営を考える上でのヒントの詰まった素晴らしい本です。
触れてみたい論点はたくさんあるのですが、今日取り上げたいのは「みんな自分の事業をもっと知りたいと思っている」ということです。
私が大きく頷いたのはこの部分です。
同僚との無料のピザやカクテルを楽しめない、なんて人がいるだろうか?もちろん私も大好きだ。でも私の経験からいうと、最高の特典や催しとは、事業や顧客について理解を深められる機会なのだ
Googleの成功が華々しかったが故に、従業員にとって快適で楽しい職場を実現することは、ハイテク産業を中心に大きなトレンドになっています。
けれど、従業員が本当に望んでいるものは違うはず、と著者は述べます。「最高の特典や催しとは、事業や顧客について理解を深められる機会なのだ」と。
この考え方に基づいて、NETFLIXは様々な試みを実践します。例えば「新入社員大学」。
その後「新入社員大学」という催しを行うようになった。これは四半期ごとの1日がかりのイベントで、全部署のトップが自分たちの事業の問題や動向について、1時間ずつ新入社員にプレゼンテーションを行う。
そして、アメリカの「ミレニアル世代」に対しても彼等は決して「異質な」世代でなく、事業のしくみを教えるという「基本」からはじめるべきだと述べます。
彼ら(ミレニアル世代)は、異質な存在などではない、ポテンシャルあふれる若手社員だ。若い人たちにビア樽からビールを注ぐ方法を教える代わりに損益計算書の読み方を教え、オンラインのコラボレーション講座を受けさせる代わりに本物の協働プロジェクトを与えれば、一生もののスキルを見につけ、生涯にわたる学習の何たるかを理解するだろう。
こういった自分の担当している仕事への深い理解こそが従業員を動機づけるし、それこそが彼等が求めているものだ、と著者はNETFLIXでの成功体験をもとにはっきり述べています。
従業員への魅力的な福利厚生や社員同士の交流の機会はみんなの動機づけを高める、というのは、確かに一面の真理ではありますが、NETFLIXが示したように、みんなが職場で求めているものは本当にそういった福利厚生なのか、というのは改めて考える必要があると私も感じています。
というのは、自分の現職もこういった点で課題を抱えているからです。
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