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いつでも逃げられる準備をしておこう

最近もブラック企業を巡って論争になっていましたが、個人的には、ブラック企業に限らず問題のある組織からはとにかく「逃げるべき」と思います。

一方で、「逃げればよいのに」と外野は簡単に言いがちだけれど、当事者にとっては組織から逃げるのってすごい難しいんですよね。自分が担当している業務への責任感や上司や同僚への配慮、そして組織が自分のアイデンティティと紐付いていたりする場合もあって、決断は容易ではないなと。

私も休職やリストラの危機といった苦い経験を経て、いざという時に簡単には「逃げられない」ということを痛感しました。なので、普段から「いつでも逃げられる」ように準備しておくことを心がけています。苦境に陥ってからでは遅いということは、若い頃の経験で身に沁みて分かっているので。

とにかく「追い込まれてから逃げる」というのは本当に難しいんですよね。そういうときは状況が複雑に絡み合っているときが多いし、自分の精神状態も普通でなくて、なかなか大きな意思決定をすることをためらってしまう。だから、うまくいってる時や安定している時にこそ、いつでも逃げられる準備をしておくことが大切と思います。

例えば、普段から仕事の区切りごとに職務経歴書を更新しておくこと、転職エージェントに会って労働市場の動向や自分の市場価値、つまり「値段(年収)」を知っておくこと、また最近だったらソーシャルなども活用しつつ他社の知り合いを作っておくことも効果的です。

ただ、ここで日本特有の問題があります。私は転職について相談を受けることも多いんですが、聞いてみると、普段から転職エージェントに会ったり、面接を受けてみたりすることを、どこか「現職への裏切り」的に後ろめたく感じる人が日本には多いです。

これは欧米はもちろんアジアでもなかなか見られない特徴で、会社だけでなく学校でも所属する共同体への忠誠が常に問われる傾向は日本の文化に深く埋め込まれているというのをあらためて感じます。

ただ、会社も学校も煎じ詰めるとその存在は「フィクション」です。それ自体に実態があるわけでなく、人間がこういうルールで作りましょう、と決めただけのもの。だから、そこでの活動はある種の「ゲーム」に過ぎないと言えると思います。

ゲームだからこそ楽しく真剣にやる、という側面は重要と思うのですが、そこに自分の存在の全てを賭けるに値するものがあるわけじゃない。これは何度でも強調しておきたいポイントです。

自分がいくら忠誠を尽くしていると思っていても、例えば自分が病気になったときなど会社は自分を救ってはくれません。というか構造的に救えません。会社は「フィクション」でそこに実態はないので、そもそも無理なんですよね。会社が涙を流してくれたりするわけでもないし。

なので、とにかく普段からよく準備をしておいて、いざヤバイとなった時にすぐ逃げ出せるようにしておくのをおすすめします。まだ小さい自分の娘たちにも、大きくなったら何よりこのことを教えてあげたいなと思っています。

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