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「企業変革の実務」を読む (1) 不振企業の特徴とはなにか?

1冊の本を丁寧に読みこんで、みんなで「ゼミ」をしてるような雰囲気で学んでいくのは面白いかもと思ったので始めてみます。今回選んだのは「企業変革の実務」です。マッキンゼー出身でアスキー、カネボウの変革をCEOとしてリードした小森哲郎氏による企業変革の「レシピ」を詳細に詰め込んだ一冊。とても良い本なので、まずは購入して手元に置いておくことをおすすめします。

「第1章 不振企業、冴えない起業の病巣」を読む

この本全体のテーマは「ターンアラウンド」、つまり不振企業をどう経営変革していくか、ということになります。この章では不振企業ではいったいどんな「病巣」を抱えているのか、について特徴が挙げられていきます。

最初に「1. 不振企業が抱える「三重苦」」を要約(強調筆者)してみましょう。

不振企業には国境、産業、規模を問わず共通した特徴がある。まず挙げられるのは「慢性的な不振」。リーマンショックのような外部環境の急変による一時的な不振と違い、不振企業は過去から継続して不振が続いている。

次の特徴は「問題山積み」「複合汚染」「複雑骨折」の「三重苦」。

事業環境が複雑化しているにも関わらず、日々増加する課題に有効な打ち手が取られず問題が「山積み」になっている。

次に戦略から仕組みづくり、オペレーションの実行、企業文化まで幅広い領域で課題が存在し、それらが「複合的な汚染」状態を起こしてしまっている。

さらに、課題が山積みな状況は「組織の癖や構造」に起因しており、体内で「複雑骨折」を起こしてるような状況のため、表層的な打ち手では組織が正常化する見込みがない。

この「三重苦」の解決に必要なのは、目指すべき着地点を定め、どこまでやれば改革が成功と言えるかのイメージを持つこと。そして、そこまで到達するまでにどうやって進めていくかの「戦い方、攻め方」を明確にしておくこと。

これはどれもうなずける指摘です。私の場合は「問題企業」よりも「問題組織」に対応する経験を積んできましたが、常に同様の課題を抱えています。

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