マガジンのカバー画像

雑感

日々考えていることを書いています
¥800 / 月
運営しているクリエイター

2019年8月の記事一覧

データが導く新しい「人事」の姿

この記事を書いたのは2016年ですが、その後もアメリカ企業における人事へのデータ活用の意識は高く、さまざまな試みがなされています。一方で、その「中の人」として課題も出てきていると感じています。そのあたりを「ボーナス・トラック」で書いてみました。 ------------------------------- いま僕が在籍している米企業では毎年従業員サーベイを実施している。最近その結果を見ることができたのだけれど、とても興味深かった。外部ベンダーのクラウドのソフトウェアを使

いま読んでいるおすすめ本

今週はお盆休みを取っている方も多いのではないでしょうか。私もそうなのですが、日々買いまくっている積ん読本を少しでも読めたらなと思っています。そんな積ん読本をご紹介します。 暴力と不平等の歴史人類史において大きく不平等を改善できたのは、戦争・革命・崩壊・疫病、だけだった、という刺激的な視点からスタンフォード大の教授が人類史を描き出した本。なにせ大部な本なのでコツコツ読んでます。 人類、宇宙に住む 実現への3つのステップ著名な理論物理学者で啓蒙書も多く書いているミチオ・カクに

ネガティブな人「こそ」組織に必要かもしれない

エンゲージメントについてのHBRの記事をご紹介。 従業員のエンゲージメントの強さがパフォーマンスを高める、というのは、アメリカの経営まわりでは最近よく見かける考え方。それに対しこの記事は、確かにエンゲージメントは重要だけど、そんなに単純な話でもないよ、ということを論じている。 例えば、このGoogleの研究によると、エンゲージメントはたしかに重要ではあるけれど、オープンで安心できる文化、明確なゴール、強い目的意識が存在すること、の3つがチームがうまく機能する上でより大切で

【組織を学ぶ】優れたリーダーが持つ特徴を理解しておこう

最近のビジネス界では、マインドフルネスやHR Techなど組織・人事領域への関心が非常に強くなってきている。その中でも、リーダーシップ、というのは奥深く、経営にとっても重要なテーマ。今回は組織心理学を参照してリーダーシップ研究を概観してみよう。 なお、以下の議論は全て「産業・組織心理学エッセンシャルズ」の5章を参照している。 まとめ◆リーダーシップ研究はリーダーの「特性」を理解しようとするところからはじまった ◆次に、リーダー自身の「行動」が組織にどう影響を与えるかに着目

イノベーションは細部に宿る:小さな部分への分割がイノベーションとなる一つの条件

気鋭の経営学者である岩尾俊兵さんに寄稿いただいたこの記事もnoteに転載します。トヨタに代表されるような「改善」の連続が「掛け算」として大きなイノベーションに繋がっていくモデルを、コンピューター・シミュレーションによって実証的に明らかにした、非常に面白い研究をされています。 以下プロフィールにあるように、東大「初の」経営学博士である彼の論稿をぜひ楽しんで下さい! 岩尾俊兵さんプロフィール 1989年佐賀県生まれ、2018年東京大学大学院経済学研究科マネジメント専攻博士課

ランチを食べながらの「経営会議」がうまくいっている理由

数ヶ月前にふと思い立って、コンサル部門のトップ、私、私の部下、の3名でお昼ご飯を食べながら、カジュアルな雰囲気で経営課題を話し合って、できることはすぐ実行に移していく、というのを隔週でやっているのですが、これがとてもいい感じに機能しています。 別に難しいことはしていなくて、それぞれが考える経営課題を持ち寄って、自由に議論するだけ。ただ、枠を作らない、というのはポイントで、それぞれが本質的な課題だなと考える課題を話すこと、そして、すぐ実行につなげることを意識しています。 実

「人を動かす物語」が必要な時代にマネジメントはどう対応すべきか

経営学者の野中郁次郎氏と入山章栄氏のこの対談がとても面白かった。 野中氏は「物語」の重要性を強調する。 野中 最近になってわかってきたのは、組織が一体となって動くための戦略は「物語」としてしか表現できないということです。 入山 「物語」とは、企業経営者が語るビジョンのようなものですか。 野中 物語(ナラティブ)は、プロット(筋)とそれを行動につなげるスクリプト(行動規範)で構成されます。ロマンのある筋書きは誰にでも描けるんです。たとえば、技術体系のように分析的な形式知