将棋ウォーズで簡単に六段になれる?

将棋ウォーズは、現在最も有名かつ利用者が多い将棋アプリの1つである。実際にやってみると、将棋は地味であるという概念が派手なエフェクトによって覆され、今時の言い方で言うと映えるという感じ。YouTubeで動画投稿されている対局動画のほとんどは将棋ウォーズで対局されたものになっているのが、それを支持しているだろう。また、昨今のスマホゲームでよくあるギルドに似た棋士団と呼ばれるものも導入している。これらを総合してみると、これまでのただ将棋を指せるゲームアプリというものから明らかに進化したように感じる。その他にも、自動マッチングシステムによる対局相手の検索をする煩わしさの解消や、対局も大体15分~20分くらいで終わることは、ライト層への普及にとても貢献したと思う。加えて、自分の対局をソフトで解析できたり、イベントとして女流棋士・プロ棋士との指導対局を組んだりと魅力的な改善を次々と行っており、他の追随を許していない状況である。

さて、ここまで将棋ウォーズをべた褒め?している私だが、他の人はある点で不満を持っていることが多いようだ。それは免状の問題である。

前置き:棋神と免状について

現在、将棋ウォーズでは棋神と呼ばれるいわば将棋ウォーズ内で用いることができる合法的なソフト指し(とても強い将棋ソフトに代わりに将棋を指してもらう行為)を認めている。これに対しても何かと意見があるが、個人的には※商売でやっている以上、まぁいいんじゃないかと思っている。それにずっと勝てなくて、棋神を使ってたまに勝つことで精神衛生を保っている人もいるだろうし。

※基本的には、棋神の使用の際には課金する必要がある。

で、話は彼らが問題視している免状の授与について。日本将棋連盟では、現時点で最高六段までの免状を発行している。なお、アマチュア最高位は七段なのだが、これは全国大会で規定以上の優勝回数を重ねる必要がある。つまり、絶対的な実力が裏付けられているわけだ。将棋にあまり詳しくない大多数の人は、将棋をやっている人はみんなこの免状を持っていると勘違いするものだが、実は持っている人の方が少数だったりする。なぜなら、この免状というのが素直に申請するとべらぼうに高く(申請上限の六段で約30万円!)、その申請方法もなにかと面倒、おまけに別になくてもデメリットがほぼないのだ。例えば、将棋大会は実力別に分かれることが多い(クラス分けというやつ)が、どのクラスで出るかは基本的に自己申告。つまり、免状を取る人は、コレクターとして欲しい!、事情を知らない人に対して偉そうにしたい!(偏見)、日本将棋連盟に寄付したい!といったくらいの理由・動機しかないのである。

将棋ウォーズでは、アプリ内で段位・級位を認定されて、実はこのアプリ内の段位・級位で日本将棋連盟の段位・級位の免状を申請できる(あとはお金さえあれば)。ほかにも将棋倶楽部24や81道場といった大手の将棋アプリでも同様に申請できるのだが、それらではソフト指しを認めていない。つまり、将棋ウォーズを利用すれば実力がなくたって、金にものを言わせれば、棋神の使用→段位・級位の爆上げ→免状申請→六段爆誕というコースが現実的に可能になっている。これが問題視されているわけだ。

参考:日本将棋連盟:段級位取得の方法より

私の意見:別にいいんじゃないの?

確かに免状=実力を反映するものという前提で考えると、不満があるのは分かる。私も目の前で駒の動かし方が怪しいのに「六段です!」と免状を掲げられ、偉そうにされたらその場でその免状を破り捨てる自信がある。それでも、昔から免状初段といって、実力は初段ないけれど免状では初段、つまりペーパー初段みたいな言葉もあったくらいだから、免状が実力を反映しているわけではないよね!というのが将棋界では常識である(多分)。このせいで知らない人に説明するのは面倒だが。中には、普及指導員の申請に三段(女性は二段)という項目があるから問題だ!という人もいるかもしれないが、その手の話になると将棋ウォーズだけの問題ではなくなってくるし、一応、他に人の推薦がないとダメという形になっているので普及指導員の質(実力)という意味ではそこで担保されているのではないかなと楽観的に考えている(免状がある=必ず普及指導員になれる!ではないってこと)。さらに邪推すると、先の述べた性質からそもそも免状なんて日本将棋連盟がカンパを募るために始めたんだろうなと思っているし。まぁ、良くも悪くも免状というのはそういうものだと思う。矛盾というかもやもやしたのがあるのは分かるが。

おまけ:棋神やめろ!過激派に対して

将棋ウォーズに見切りをつけて他の将棋アプリ(将棋倶楽部24とか将棋クエストとか81道場とか)を使えばいいんじゃないかな。それか、自分で対局アプリを作ってみたらどうだろう?それならすべて自分の好きなように設計できるはず。まぁ、将棋ウォーズはそういうものだし、たぶんこれからも変わらないよ。

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