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最好映画。191 「ラスト・ムービースター」2017年。

かつての名優が、ナッシュビルの小さな映画祭の招待を受けることに。今の時代の小さな映画祭。レストランの会場、スマホのフラッシュ、ハッシュタグで広報を捲し立てる広報担当、オタク全開の主催者。ノリのまるで違う世界。主催者の妹がイヤイヤながら名優を案内していく、その道中で故郷が近かったことや、彼の学生時代からの歴史や名声、人生の悲喜交交があらわになって行きます。「キャノンボール」「トランザム7000」「グレートスタントマン」「ロンゲストヤード」「脱出」1970年代アクション映画で爆発的人気を誇った、バート・レイノルズの最後の主演映画です。役名はヴィック・エドワーズですが、バート・レイノルズ本人のことを語っているとしか思えない構成。何せ夢現の中で彼が映画の中の自分と会話するシーンは「トランザム7000」と「脱出」。かつてのやんちゃな自分と話す老練な主人公の話が沁みます。パンクな主催者の妹を演じるのはアリエル・ウィンター。向精神薬と酒が頼りの彼女がどんどんいい表情になってゆくのはなんだか微笑ましかったです。主人公の親友役にチェビー・チェイスが顔を出していて、これまた80年代映画を思い出して嬉しかったです。どなたかも書いていましたが、予告編や宣伝文句と違って、非常に穏やかな映画なんです、これ。もっとド派手なコメディかと思いきや、冒頭は老年の枯れた生活の寂しさ満載。映画祭自体に文句を言う主人公の悪態はいただけませんが、かつての自宅への訪問や、アメリカンフットボールのフィールドでのバート・レイノルズの落ち着いた演技にじんわり。バート・レイノルズは全米屈指のフロリダ州立大学の選手だったそうで、81歳でこの映画の主演を選んだ彼の人生そのものにしか思えません。「グレートスタントマン」と「脱出」をまた観たくなりました〜



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