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最好映画。190 「裏切りのサーカス」 2011年。

渋〜〜い、冷戦下のスパイ映画。ジョン・ル・カレといえば、「寒い国から帰ったスパイ」1965年「鏡の国の戦争」1968年「テイラー・オブ・パナマ」2001年、と映画化もたくさんあるスパイ小説の巨匠。彼の小説の中に登場する、ジョージ・スマイリーを主役としたいくつかのお話の一つが「裏切りのサーカス」です。監督のトーマス・アルフレッドソンはスウェーデンの監督で「ぼくのエリ 200歳の少女」が有名な方。多作ではないんですが、渋いものが多い印象です。特にこの映画は役者が渋い。ゲイリー・オールドマンが主人公のジョージ・スマイリーを老け演技かと思うと、コリン・ファースがMI6(サーカス)の正体が見えない幹部を演じ、トム・ハーディに最前線諜報員で色気のある役を演じ、ベネディクト・カンバーバッチには女好きのようでいて実は、、という真面目な役人を演じ、ジョン・ハートが老獪としか言いようのないMI6の指示者、コントロールを演じます。ともかく親父だらけ。戦後がまだ匂う、1970年くらいのお話です。実話がベースですが、電話と書類と密談が秘密を守っていた時代のお話。少し馬鹿らしいのかもなとか思っていたけど、さにあらず。時代性を感じる撮影のおかげで、ハラハラはずっと続きますし、音楽は深く静かに盛り上げてくれます。時折挟まれる思い出話が、最後に繋がった時の膝の打ちようは、なかなかです。撮影監督は、ホイテ・ヴァン・ホイテマ。すっかりクリストファー・ノーラン印の印象ですが、元々はトーマス・アルフレッドソンと歩んだキャリアだったんです。その後の活躍にも予想される渋い映像。IMDbの記述からいくと、パナビジョン35mmフィルム撮影。富士フイルム8573と8592を暗い映像に使用するなんて、渋さの極み。飛行場で裏切り者を追い詰める映像の迫り具合は必見です。原作は「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」というタイトルで、タイトルそのものに結構意味があるけど、読み始めないと分からないので、こういう邦題だったんだろうな〜と想像はします。言い放題だなとおもいますが、映画を観終わると「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」の方がしっくりくるな〜〜。派手ではないスパイ映画、Amazonプライムで観れます。


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