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最好映画。 058 「ディーバ」 1981年。

実のところ、高校生のころ、下高井戸シネマにこれを観に行って、併映だった「時計じかけのオレンジ」にまるで持って行かれてしまって印象が薄かったのですが、繰り返し観ると、本当に奇跡のような映画だと思います。お話は割と嘘くさくて、とても有名なオペラ歌手の独唱を無断録音してしまったオーディオマニアの青年が海賊版を制作したい闇業者に狙われ、歌手本人と仲良くなり、その過程を助けたふしぎな連中と暮らして行く、というフランス映画としても非常に珍しい筋運びの映画です。 とにもかくにも撮影が素晴らしすぎて、現場がどうあれ、現像された映像は本当に、本当に感動的です。主人公二人が明け方のシャンゼリゼを歩くだけでも、夜明けの灯台へ銃弾に倒れた主人公が運ばれるくだりでも、撮影の神様が降りてきているとしか思えないショットの連続です。もちろん、衣装や美術によるところは大きいのはよく分かっているんですが、くだらない移動ショットの一つ、明け方のクルマがカメラを引き離して走って行くショットと、それに続く灯台の引きカットは、本当に素晴らしいです。フランスって素敵!と思えた映画でした。 監督のジャン・ジャック・ベネックスはその後「ベティ・ブルー」という傑作をモノにしました。 撮影のフィリップ・ルースロは「リバー・ランズ・スルー・イット」やガイ・リッチー版「シャーロック・ホームズ」を手がけて、巨匠の貫禄を見せましたが、この処女作としてのきらめきは出せていないのではと思います。 リシャール・ゴロディシュ・ボーランジェ以外の役者さんも日本では中々見ることが出来ていません。ともかく美しく楽しい映画です。

http://www.imdb.com/title/tt0082269/

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