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最好映画。 159 「運び屋」 2018年。

「お前か」たった一言で、全てがわかる、そのショットまでの道程。不覚にも泣かされました。88歳のクリント・イーストウッド伯は、プロデューサーも主演も監督も軽やかにこなし、20年来のスタッフではない、カメラマンと作曲家を率いて、鮮やかに、90歳の旅路を描いてます。お話は実際にあった話という触れ込みで、伝説の運び屋の話なんですが、主人公は口が悪くて、人種偏見もあって、ネット文化を歯牙にも掛けない頑固ジジイで、実は伝説でもなんでもない様が淡々と進みます。DEAの監察官をブラッドリー・クーパーが演じています。まあ、この先は言わずともわかると思いますけど、この2人が合うのは2度しかありません。これがミソで、これがイーストウッドらしさだと思います。説明を排して淡々と描いているのに、微笑ましいところはきちんと時間を取る。老獪と言うより職人と言う監督イメージです。撮影がイヴ・ベランジェって書いてあって、なんで?と思ったイーストウッドファンがいっぱいいたと思います。すでに58歳で「ダラスバイヤーズクラブ」とか「わたしに会うまでの1600キロ」とか、ロードムービーというか中西部が多い方。ドローンを含め、デジタル機材で、かるーい感じで描いてます。ロバート・サーティース、ジャック・N・グリーン、トム・スターン、師匠から引き継がれた撮影監督だったので、全く別の方向で驚きました。音楽のアルトゥーロ・サンドヴァルは、キューバのミュージシャン。毎回、老骨に鞭打ってとか映画評で書かれてますけど、いつも軽やかにクリント伯は乗り越えちゃいます。「グラン・トリノ」の方が上だと映画の相方が言ってましたが、「グラン・トリノ」は途中離脱しちゃったので、も一度観てみます笑。今から観る方には、繰り返しの中にあるものを見逃さないよう、オススメします。くだらん話ですが、感動の一助になれば。


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