もう一つの免疫住宅 Oさんが建てた家
ニートなけんちく家の思い出
ばりばりのけんちく家だった頃のお話し、そう20数年前のはなし
Oさんはその頃、印刷会社のサラリーマンでした。
私たちの設計事務所はその年に完成した建物を何種類かのポストカードにして
関係ある人たち、応援して頂いた方々に活動報告を兼ねて送っていました。
その印刷を担当してくれていたのがOさんでした。
私たちの設計事務所は設立の時の目標通り干支が一回りしたら事務所を発展的解散をして2つの事務所に分けそれぞれの事務所を設立しました。それをきっかけにOさんとも疎遠になりました。
新しい事務所で新しいスタッフと共に設計活動をしていたある日、Oさんが突然訪ねてみえました、何年ぶり?
「家を建てたいのですがサラリーマンの私でもお願いできますか?」
もちろんです
Oさんは私たちの造った建物があまりにもきれいでかっこよかったので相談するのをとまどっていたそうです。
そんなことはありません、いつでもどうぞ
Oさんの計画地は都心から少しはなれた昭和が感じられる郊外にありました。戦後建てられた家が立ち並ぶ下町感が漂う場所です、築30年から40年くらいたった家が街並みをつくっています。
その中の一つの土地が計画地でした。道に面する面以外は隣の家が建っている30坪ほどの土地です。
家族はご夫婦と2歳になる娘さんが1人の3人家族です。
この建物が完成してすぐに女の子がもう一人きてくれました。
住宅金融公庫を使いながらかっこいい家はできますか?ポストカードを作っている時にいつか自分もこんな家に住みたいとずっと思っていました。
思えば願いは叶う かなあ?
新婚旅行で訪れたイスラムのモスクの写真を出して、これ印象的だったんですよねぇー
アートとデザインに関わる仕事をしてきたんです
star warsのフィギアが100体以上あって捨てられないんですよねぇー
妻がピアノの個人レッスンを自宅でしたいようです
猫も2匹いるんです、クロネコとキジネコ
さて、Oさんの願いは叶ったのでしょうか?
リビングダイニング
Oさんの家の中心となるリビングダイニングです。
コンクリートと木造の特徴を活かしたハイブリットな空間、コンクリートは天然素材です、セメントと砂と水でできてます、相性がいいのです。
コンクリートの自由度が高い堅牢性と木の温もりと身体との親和性、それぞれの良いところを組み合わせて新しい空間を創っています。
デザインされた2階へ向かう木の階段、左手のダイニングテーブルはよく見てください、コンクリートの壁と一体化して足もなく宙に浮いているようです。
コンクリートはこんなことも出来るのです、意外と好評でした。この窓は北側ですが天井まであるので光がストレスなく入ってくるので柔らかい明るさになりコンクリートの壁が優しく感じます、私たちの設計事務所が、光の魔術師 と言われる所以。
後ろの頭の丸い入り口とその壁もよく見るとストライプの立体模様がつけられています、実はコンクリートは自由度の高い材料です。
自由に模様をつけたり、いろんな形をデザインできるのに他ではあまり見たことがありません。コンクリート打放しはもっと自由で楽しい空間ができるのにね、型にはまった人が多いのです、まさにコンクリート。
床は白い石張りです、冷たそう?いえいえ、この家には土壌床暖房が入っています。
床下50センチのところに発熱装置が入っていて床下の土を温めます。
冬場は床下の土が暖められて石の床はポカポカして部屋の中も温まるというシステムを導入しています。(南国にはなりませんがそれなりに快適です)
美しい装飾がいっぱい、上の丸窓の向こうは2階のトイレです、消し忘れてもすぐにわかります。
全体にはこんな感じ、階段といい、手すり、上下の照明といいセンスいいなあ、
よく見ると床も艶ありと艶なしでデザインがしてある
アラビアンな照明はO氏が調達、good job 手すりは当時の女性スタッフがデザイン、いい感じのコラボ感、家づくりに参加すると本当の自分達の家になります。
コンクリートの仕事用デスクとOさん制作の照明 good job 家づくりを楽しんでいます
1階の平面詳細図、無駄のないコンパクトな住宅です。
断面詳細図です。工事の現場監督との打ち合わせ用なので一般の方が見ることは少ないかもしれません、我々は普段こんな細かい図面で細かいところまで検討し打ち合わせして意志の疏通をはかります。
家を建てるのと家を買うとの違いは関わる人たちがその家にどれだけ想いが込めれるかということです。細かい図面を描いて、工事の人々がそれを理解して、仕事に誇りを持って造る。あるものを買うのとは違ってきます。
Oさんは出来上がった時に「自分の家を買ったのではなく、自分の家を建てたというのが実感できました」としみじみとおっしゃってみえました。
洗面所とお風呂
お風呂はガラスの壁とガラスのドア
「お風呂入ってると洗面所から丸見えるじゃん、年頃になったら娘さんに怒られるよ」
「でも、、、きれいだよ、広々としてるし、明るいし」
女性スタッフとの会話
娘さんはそろそろ年頃になっているはず、仲良し家族でありますように。
アラビアンなタイルは施主のOさんの調達 これも good job
2F play room
2階ではブリッジを渡って子供のプレイルームへ行きます。
「ご飯ですよー」
とお母さんの声が下から聞こえると「はーい」と言ってブリッジを渡って、恐竜の背骨のような階段を降りてゆきます。
どこにいても家族の気配を感じられます。
恐竜の背骨のような階段を下から見ると
こんな感じ、いろんな風景が見える家だこと
恐竜の背骨のような階段
コンパクトハウスなのに中にいろんな風景が驚くほどある、実際の住居面積なんて大したことないのに広々としている。
魔法のような空間
2F bedroom
うさぎの耳みたいな大きな引き戸は天井まである。
実は天井は普通の家よりずいぶん低い、でも生活していて一度も低いとか狭いとか思ったことがない、これも魔法みたい。
これ、夜の自分家だよ、アラビアのホテルじゃあないよ
こんな風景が自分の家にあるの
窓に映る照明までデザインしたの? もちろん (ちょっと嘘)
とっておきはこれ! お日様がつくってくれた芸術
まるでアートの中で暮らしてるよう
住み始めて月日が流れ、妹ができた私が中学生になるから私たちのお部屋がいるの、残念だけどこの風景とお別れ
ありがとう