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いぶいぶが重なる二重の世界/2024.6.30「三田美吹ソロイベント『月と音色』2部

2024年6月30日(日)
CROWN POPのソロイベントシリーズ(なのか知らんけど)第4段
三田美吹ソロイベント「月と音色」の第2部を鑑賞してきました

一日3部構成なため、1部あたり45分程度とかなりコンパクトにまとめられてはいたけれど、まさに「鑑賞してきた」と言いたくなるぐらいに感じるところの多いイベントでしたね。2部しか観てないけれど、すごかった

※ここから記す感想はイベント全体ではなく、あくまで第2部の感想です。

外は雨が降ったり止んだりでしたね

オープニング映像の後、シンデレラの主題歌を歌いながら舞台に向かい右手(上手)から現れるいぶいぶ。2部の衣装は一昨年の生誕衣装ですね。歌だけではなく朗読も挟まります
ただ歌って、話すだけではない。スタートからいぶいぶが創り出す世界へと観客は誘われていきます

絵本を手に、シンデレラの一節を語り終えると一旦、舞台袖へ。そしてステージ上のスクリーンには2020年1月19日に行われたスタプラフェスの映像。言わずと知れた、いぶいぶがシンデレラに輝いたあのイベントです

当時を振り返るようなモノローグから、あの日、シンデレラを射止めることとなった曲「走れ!」へ。単に
「それでは聴いてください。『走れ!』」
ではなく、モノローグから曲へとシームレスに連続していく展開はある種の物語を観ているような印象です

「シンデレラ」ストーリーを物語るいぶいぶをいぶいぶが演じているかのような雰囲気。その後のMCで「朗読とライブをかけ合わせたら面白いかなと思った」といった解説をしてくれましたが、まさに朗読をきっかけとした語りとライブの融合は、三田美吹のシンデレラ物語を三田美吹が外から眺め、そして演じているかのような、そんな感覚さえ湧いてきます

ここで一瞬、頭をよぎったのは「不思議の国のアリス」
いぶいぶの個人活動とは大きな関係はありませんが、CROWN POPには「うさみみ」や「Wonder Shutter Chance!」など、アリスをモチーフの一部に据えた楽曲がいくつか存在します。そのアリス。うさぎの穴に落ちた後、大きくなったり小さくなったりを繰り返し、たくさんの不思議な経験をしながら、ネズミやチェシャ猫との対話では、自分をどこか客観視している風な様子を感じさせることがあります

不思議な国に来てしまった自分を自分が外から眺めることで、日頃の自分に気づいていくような物語。「不思議の国のアリス」には、そんな自己を観察するような側面が備わっています
今日「月と音色」の第2部でパフォーマンスを繰り広げているいぶいぶは、シンデレラであり、そういう意味ではまるでアリスのようでもあります

月に照らされながら、シンデレラである自分を外から見る、
音色の国のアリス

楽しげに「走れ!」を歌い終えた後は、モノローグを挟み、あの日のシンデレラ決定後に披露したソロ歌唱を再現するかのように「手のひらに青空」

舞台奥のスクリーンには、あの日のいぶいぶが高ぶる感情を必死に抑えようとしながら懸命に歌う姿が映し出され、その手前では、あれから4年半経った2024年のいぶいぶが楽しさそうに目を細め、大きく笑みを浮かべながら歌う

スクリーンのいぶいぶと生身のいぶいぶ
二人の三田美吹が重なるのが美しく印象的な光景です

歌い終えると、旅先案内のようなモノローグ。シンデレラの物語は1年10カ月の時を超え、2021年10月30日「第2回スタプラアイドルフェスティバル」へ

この日、いぶいぶは再び横アリのステージでソロ歌唱を行いましたね
踊れ!
「手のひらに青空」同様、またスクリーンとステージで二人の三田美吹が美しいパフォーマンスをシンクロさせます

「踊れ!」@2024.6.30「月と音色」2部公演(撮影可能曲)

たしか以前のスタコミュで、第2回スタプラフェスのソロ歌唱で「踊れ!」を選んだのは

間違っていたって It's all right
誰もが正しいわけじゃない
それぞれ一人が 素晴らしいから
You're the one 自分らしく踊れ

「踊れ!」CROWN POP

この歌詞に見られるように、自分らしさを大切にした曲なので、シンデレラを目指すスタプラアイドルの仲間たちを励ましたかったからと話していたように記憶しています

だからこそ、スクリーンの中にいる2021年のいぶいぶはどこかキリッとした強い表情を浮かべ、そしてステージ上にいる2024年のいぶいぶは、自分らしく伸び伸びと軽やかに美しく、表情には(すごく緊張していたそうですが)どこか余裕すら感じるように見えてきます

ファン投票でシンデレラとなり、直後に襲ったコロナ禍の中、その喜びや重圧と一人向き合ってきただろう時間。それを今、外から物語る自分

「踊れ!」@2024.6.30「月と音色」2部公演(撮影可能曲)

二重構造になっている中、いぶいぶはどんなことを感じているんだろうか
そして我々も、三田美吹という実在のアイドルを観に来ている中で、物語の中の三田美吹を観ているような不思議な二重感覚

目の前で「走れ!」「手のひらに青空」そして「踊れ!」を歌ったのは、間違いなくいぶいぶなんだけれど、美しい物語のフィルターを通して映画を観ているような感覚

朗読(モノローグ)とライブの融合は、とても美しく、そして不思議な感覚を我々に届けてくれています
「踊れ!」のパフォーマンスが終わり、物語のエピローグを感じさせるようないぶいぶの語り

「あれから2年半……」
天使がステージを横切るような束の間の沈黙。そして、

「月と音色 2部 スタートしましたー!!」

と一段高くなったいぶいぶの楽しげな声
二重構造の膜は破け、いよいよ(これまでもそうだったんだけど)生身のいぶいぶが、2024年6月30日のいぶいぶが姿を現しました

今、思い返しても、なんて美しい前半だったんだろうと思います
さまざまな二重性がパフォーマンスの中に見え隠れし、でも目の前にいるいぶいぶはとてもきれいで、その歌声はいつもどおりにすごく魅力的で

自分は2020年当時はCROWN POPのファンではなかったので、あの頃から応援している方々と感じ方は違うだろうと思うけど、それでも当時外から見ていた印象とファンになってから追いかけた歴史への思いが入り混じり、そしてまた解散間近という状況も相まって、それはそれで熱いものが胸に立ち上ってくる感覚はありました

短い時間ではあったけれど、一遍の物語を堪能させてもらえたような、そんな前半

この日だけのスペシャルドリンク。さわやかでおいしかった(開演前撮影)

キミリプホリックをBGMにした撮影タイムを経て、「月と音色」2部は早くも終盤へ

撮影タイム。いぶいぶかわいい

ステージ向かって左手(下手)にキーボードが用意されます
弾き語りだ!!
楽曲はこの公演2度目の「手のひらに青空」

普通に考えたら一つの公演で同じ曲を二度披露するなんて異色なのかもしれません。けれど、ファンだったら誰だって
「いぶいぶの『手のひらに青空』なら何十回だって聴いていたい」
と思うものです

まして先ほどは4年半前の自分との共演。そして今回は弾き語り
まったく性格が違いますよね

ていねいに指でなぞる鍵盤からは繊細なメロディが奏でられ、それに合わせるかのように歌声も先程より少しやさしい感じです
特に印象的だったのはCメロからラスサビ(って言うのかな?要は後半部分)

運命じゃなくったって
永遠じゃなくったって
キミと生きるキセキは
明日への勇気になって大切な希望になって
夢を(夢を)
守ってくれるいつまでも....だから今!

CROWN POP「手のひらに青空」

声に吐息をたくさんこめて、まるでささやくように「キミ」である我々へ届けてくれるいぶいぶの言葉

そして「だから今!」から弾けるように、一気に輝きを増すラスサビ

繋いだ手のひらに青空
何度も書き足した未来図
絶対ひとりじゃ描けないような
わたしたちの物語

CROWN POP「手のひらに青空」

どこまでも繊細でやさしい歌声から、一気に心を青空へと解き放つかのような歌声へ

このメリハリは弾き語りならではですよね
もともとどのぐらいピアノやキーボードが弾けるのかは知らなかったけれど、きっと人前で披露するには緊張もあっただろうし、練習も相当大変だったことと思います

けれど、そのおかげで、こんなにも素晴らしい2024.6.30の「手のひらに青空」を味わうことができた。この場所にいられて、本当に幸せだなと感じます

最後はカバー曲。wacciさんの「大丈夫」

涙を流した君にしか 浮かべられない笑顔がある
そのままの君で大丈夫 こぼれおちた分だけ強くなる

wacci「大丈夫」

1秒だって、8/9以降の不安から逃れられない毎日を過ごしている今、この先、自分はどうなるんだろうと考えない日はありません

涙を流したからこそ浮かべられる笑顔を見せられるぐらいに強くなる日がくるのかどうか、さっぱりわからないし、自信もないけれど、CROWN POPとして9年弱、シンデレラになってから4年半を駆け抜けてきたいぶいぶにそう歌われたら、もしかしたら、この経験がいつか強さや個性につながる日が来るのかもしれないなと、そんな風に思ってもいいのかもと感じる自分が少し現れてきます

美しくて、そしてとてもやさしいイベントでしたね
エンディングの映像、そのラストに綴られた文字は

May your life filled with smiles

最後の最後まで、いぶいぶのやさしさが満ちているイベントでした

物語の最後でアリスがすごくポジティブな思いに満たされるように、「月と音色」はどこまでも美しく素敵な記憶として心に刻まれていきそうです

素敵な時間をありがとう

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