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NECの懐かしい商標 PC-8801

【稼ぐ経営者のための知的財産情報】
 
 弁理士の坂岡範穗(さかおかのりお)です。
 今回は、「NECの懐かしい商標 PC-8801」をお伝えします。
 懐かしさのあまり、知財に関係する話はほんの少しであることをお許しください。
※出願等のお問い合わせはこちらから http://www.sakaoka.jp/contact 

1.PC-8801とは

 PC-8801とは、NECが1980年代に発売していたパーソナルコンピュータで、CPUにZ80(又は相当品)を搭載した8ビット機です。
 よく88(ハチハチ)と呼ばれていました。
 詳しくは下記URLをご覧ください。
https://ja.wikipedia.org/wiki/PC-8800%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA
 
 以前から、PC-9801シリーズである98(キュウハチ)は商標登録されていました。

商標登録第4734970号

 今回、どういった商品戦略かは分かりませんが、あえて古い88の商標がNECから出願されたとのことです。
 フォントも当時のままのようで、懐かしいですね。 

商願2024-28184
商願2024-28185
商願2024-28186

2.88と坂岡の接点

 私(坂岡)は20代前半の頃、AV&P(オーディオビジュアル&パソコン)ショップで働いておりました。
 ちょうど1990年くらいでした。
 その頃は16ビット機が主流になっており、8ビット機の88シリーズはメーカー在庫がなくなりつつある状況でした。
 
 実際、私も勉強のためにと買ったPCは、PC-9801RXというCPUに80286を積んだ16ビット機でした。
 自由に使用できるメモリが640KBだったか1MBだったかで、花子などのグラフィック系ソフトを使うとすぐにメモリがいっぱいになり、フロッピーディスクを退避用メモリとして使用していました。
 ですので、16ビット機の98でさえかなり遅かったです 笑
 増設メモリを買ったのですが、安くなったといわれて2MBで3万円でした。
 
 そんな中、なぜか時代遅れの88を大量に買うお客さんがいらしたのです。
 PCの接客は店の経営者であるボスがしていたのですが、88を一度に4台くらい、何度も買うのです。
 しかも、乗っている車はセルシオです。

3.88の用途は

 ボスに聞いたところ、そのお客さんは、88を立派なラックに収納して、パチンコ店の出玉管理用のホールコンピュータシステムとして売っていたそうです。
 
 出玉管理とは、パチンコ店の客が台に何玉打ち込んで、入賞や大当たりで何玉出たかを見るものです。
 仮に1万発打ち込んで9千発玉が出れば、出玉率は9割です。
 優良店は、出玉率を14割くらいでやっていたと思います。
 
 昔は玉の貸し出しが1玉4円で換金が2.5円だったので、大当たり毎の1回交換だと出玉率が16割でトントンでした。
 ですので、基本的には、出玉率14割でもパチンコ店の利益が出たのです。
 勿論、優良店であっても釘を閉めるときは閉めるので、そのときは出玉率がもっと悪くなると思われます。
 
 出玉管理に話を戻しまして、ホールコンピュータがない時代のパチンコ店は、事務所にいながら個々の台の出玉率をリアルタイムで見る方法がなかったと思われます。
 
 玉の供給設備や回収設備等の計測値で、店全体とかパチンコ台が10~20台並んでいるシマ単位とかの出玉率はわかったと思います。
 しかし、台毎の出玉率がわからないのは不便ですよね。
 特定の台がゴト(いかさま)にあってもわかりにくいです。
 やはり事務所にいてリアルタイムで出玉率を確認したいですね。
 
 そこで、台毎の出玉管理をするために、パチンコ店がホールコンピュータシステムを導入しだしたのです。
 (想像も混ぜて書いています、間違っていたらごめんなさい)

4.経営者が参考にするところは

 さて、上記の88を購入してくれる客は、高級車に乗って金回りが良かったようです。
 これは、ホールコンピュータシステムという出だしの技術に目を付けて、そこで他社を一歩リードしたからと思われます。
 
 今で言うと、AI関連技術でしょうか。
 実際、AIを使いこなすと、作業時間が大幅に短縮できる可能性があります。
 このため、AIを使いこなせるところに仕事が集中する可能性があります。
 
 AIに限らず、出だしの技術でスピード感を持って、先行者利益を得ることは大切だと思います。
 
 次に、パッケージです。
 上記のホールコンピュータは、ラックや周辺機器を立派なものにすればするほど高級感が出て、ありがたみがでるのだとか。
 具体的な金額は忘れましたが、当時の私がかなりびっくりする金額でした。
 中身は時代遅れの8ビット機なのに、です。
 
 これもあるあるですね。
 食品に多そうですが、同じ商品なのに梱包を変えて高級感を出すだけで、1.5倍とか2倍の価格で売れるとかはありそうです。
 
 とはいってもお客様あっての商売なので、暴利はよくありません。
 高品質なものを提供して、それに見合う適正な対価(きちんと利益が出る対価)をいただくのが良いですね。

 あと、他社の知的財産権を侵害しないようにご注意ください。
 装置の再生産や、商品を小分けして売るような行為は、侵害に該当する可能性があります。

5.なぜ88が懐かしすぎるのか

 ここからは余談です。
 坂岡が何故88を懐かしいというのかは、88のCPUがZ80だったからです。
 どうしてZ80が懐かしいかを以下に説明しますね。
 
 (1)シーケンス制御を勉強した教材がZ80だった
 私は、若い頃に2回、電気関係の職業訓練校に行かせていただきました。
 その2回目の訓練校で、電気制御科というところに入り、シーケンス制御を勉強しました。
 
 その実習で、銀テープの上をトレースして走るロボットマウスのプログラミングがありました。
 そのロボットマウスのCPUがZ80だったのです。
 
 アセンブラ言語でプログラムを作って、それをEPROMに書き込みロボットマウスを走らせる、ということをしました。
 面白いことに、C言語でプログラムを作りそれをコンパイルすると、プログラムが冗長になって機械の処理が追いつかず、ロボットマウスが暴走してしまうことがありました。
 アセンブラ言語にも良いところがあるのだなと感心した次第です。
 
 (2)精密メトロノームの自作
 25年くらい前ですが、当時の知人が仕事で機械を操作するのに、精密メトロノームが要るかもとのことでした。
 本格的に使用するかどうかわからないのに、専用機を買うと高価なようで、どうしたものかといった状態でした。
 
 そこで、私が自作したのです。
 具体的には、Z80のマイコン基板と諸々の電子部品を買ってきて、インターフェースの回路を自分で設計して別の基板上に作りました。
 そして、マイコン基板とインターフェース基板とを2階建て構造にして、名刺箱サイズの製品を作ったのです。
 
 スタートタイミングを自由に設定できるよう、プログラムも自分で作りました。
 プロットボード上に回路を作って試作をしましたが、当初は一晩経つと周期が0.5秒くらいずれてきて、使い物になりませんでした。
 対策として、マイコン基板の水晶発振器を別の周波数のものに換装して、プログラムも組み直して完成しました。
 
 25年前とはいえ、当時の水晶発振器はけっこう小さく、名刺サイズの基板のため半田付けも小さな面積で行う必要がありました。
 出力の小さな半田ごてを買い足して、水晶発振器を付け替えた記憶があります。
 
 このような思い出がZ80にありまして、書かせていただきました。
 
 いかがでしょうか、余分な話もありましたが、私の伝えたいことは以下の2つです。
 ・出だしの技術で先行者利益を得ることが可能
 ・パッケージを工夫して高級感を出し、売価を改善することが可能

 この記事が御社の発展に寄与することを願っております。
 
坂岡特許事務所 弁理士 坂岡範穗(さかおかのりお)
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