先行技術調査は特許分類で行なう
弁理士の坂岡範穗(さかおかのりお)です。
今回は、「先行技術調査は特許分類で行なう」について説明します。
先週の投稿「先行技術調査の大切さ」では、何か発明をしたら先行技術調査をしましょうと説明しました。
この先行技術調査ですが、テキスト(文字)で検索しただけで判断すると、思いもよらない落とし穴が待っています。
何故なら、テキストで検索すると、類義語まで網羅できないため検索漏れが多くなるからです。
例えば、「モーター」という語句を検索しようとしても、同じ意味を持つ言葉として「モータ」「モートル」「電動器」「電動機」「電気モーター」等、様々な言葉があります。
検索において、これらの類義語を漏れなく用いることは、なかなか難しいと思います。
さらに、テキストで検索すると、当該技術分野に関係のない、あるとあらゆる技術分野についてもヒットすします。
例えば、上記の「モーター」は、日本では電気モーターを差すことが多いのですが、海外ではエンジンを意味することがあります。
すると、全く関係ない自動車や自動二輪車関係、さらには草刈り機や耕耘機の文献もヒットする可能性があります。
このように、テキストで検索すると、目的とする技術分野の文献とは全く関係ないノイズが多くなります。
では、どうすればいいのか?
検索は「特許分類」で行なってください。
この特許分類は、アルファベットと数字の羅列なのですが、技術分野毎に割り振られております。
従いまして、きちんと特許分類で検索を行なうと、所望の技術分野の文献のみ閲覧することができます。
この特許分類で行なう先行技術調査については、弊所ホームページhttp://www.sakaoka.jp/category/1770793.htmlにも記載しておりますので、ここでは特許分類について簡単に説明します。
(上記ホームページの情報は少し古いですが、基本的な検索方法は今も同じです。)
特許分類は、主に3種類あります。
「IPC」「FI」「Fターム」です。
「IPC」は、国際特許分類といって国際的に決められた特許分類ですが、通常は使うことはありません。理由は後で述べます。
このIPCとして例えば次のようなものがあります。
A01B3/04 ・畜力プラウ(プラウとは畑等を耕す道具です。この畜力プラウとは牛馬を用いて畑を耕す道具ですね。)
「FI」はファイルインデックスの略で、上記の「IPC」を細分化したものです。つまり、FIの方がIPCより細かく規定されています。
従いまして、IPCを用いるより「FI」を用いて検索する方が、検索条件を細かく設定することができます。
ですので、IPCは通常使用しないのです。
このFIとして例えば次のようなものがあります。
A01B3/04@A 多段耕(上記のIPCをさらに細分化してあります)
「Fターム」は、「FI」をもとにしながら、その製品の目的、効果、機能、用途、材質等の観点から分類分けしたものです。
このFタームの特徴として、特定のFIをピンポイントでなく、ある程度のFIの範囲を網羅してくれることが挙げられます。
ですので、検索においては重宝します。
なお、元となるFIに分類される文献の件数が少ないと、Fタームは付与されないことがあります。
このFタームとして例えば次のようなものがあります。
2B032 BA01 ・単用プラウ(犂)(プラウの形式で分けてあります)
これらの特許分類の使い方としては、私はFタームがあるときはFタームを優先して検索して、次にFIで検索します。
ヒット件数が多いときは、複数の特許分類をAND条件にして絞り込みます。また、場合によってはテキストをAND条件にして絞り込むこともあります。
しかし、基本的に、ヒットした特許分類はなるべく全件閲覧するようにしています。
このように検索することで、当該技術分野の文献のみを、殆ど漏れなく閲覧して検索することができるのです。
いかがでしょうか、先行技術調査だけでもけっこう奥が深いですね。
坂岡特許事務所 弁理士 坂岡範穗(さかおかのりお)
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