フランス外人部隊への挑戦#8最終章
フランス外人部隊への挑戦#7の続きです
日本に戻って来ちまった…
パリから東京に戻った、羽田だったか成田だったかも覚えてない。
飛行機の中でずっと考えていたのは、あれだけ啖呵切って、たった4か月で日本に帰るのめちゃくちゃ恥ずかしいわ!と思ったのと、考えても考えても正解のない自問自答の繰り返しを飛行機の中で繰り広げた。
何してんだ?帰るんかい。
本当はビビって帰るんじゃないのか?
いや、もっと世界を見たいんだ!何があってもへこたれず再起可能な年齢のうちに。
嘘だろ?嫌だったんだろ?…いゃ〜本当にその気持ちは無いな。
心の底からキツかったけど楽しかった。
じゃ何で帰る?もっともっと見たいから、世界。
まぁ恥ずかしいけどね、なんて言おうか家族と友達に…知らんわ。
こんな自問自答を繰り返す内に日本に着きました。
答えは無いけど考え抜くとスッキリする。
答えが出てこないと分かる事が答えになる。
宿泊代すらない・・
僕の地元は北海道釧路市。日本に到着してすぐに北海道までの飛行機チケットを取らなくてはならない。
あたりまえだけど、当日の釧路行チケットはもう無い。
札幌経由は変えない、買ったら空港から家までのバス代すら残らなくなる。
とりあえず明日の釧路行の飛行機のチケットを購入し、何処か空港近辺で野宿でもするしかない。
まぁ、野宿なんてずっとやってきたので全く問題ないけど、空港の施設内で怪しまれないような場所を選ばないといけない・・スパイみたいな気分で、ちょっとワクワクしてしまう。(当時空港内で寝泊まり出来る事なんて知らなかった・・)
空港に人々が無くなったタイミングで施設を出て、近くの立体駐車場の周りをウロウロしていたら、あった!
立体駐車場の中の自販機の前の寂しげなベンチ、ここで一夜を過ごそう。
そうしたら、深夜にホームレスらしき人が来た。
その人の場所だったらしい・・よく分からんが一晩中語り明かした。
地元釧路に到着・・
釧路に到着した僕は空港に知り合いが居ないかビクビクしていた。
とにかく、なんか恥ずかしい・・イキがって帰ってきた落ち武者感満載。
空港から釧路駅行きバスのチケット買ったら残金100円も無かった。
釧路駅に到着後は、実家に向けて歩き出した。
昔なら駅から家に歩いて帰るなんて面倒くさいとしか思わなかったが、フランス帰りの今は余裕感すらある。
母親・・どんな顔するかな・・
家族も友達もかなぐり捨ててフランス外人部隊へ挑戦しに行って、周りの人の事を考えずひどい事をした。親に心配かけたろう。
実家についた僕は、カギがかかっている家の前で親の帰りを待った。
合わせる顔無いわ・・逃げたいわ・・でも帰っちまった。
そして、母親が来た。驚いた顔して・・複雑な顔になり・・こう言った
臭っさ!あんた臭い!
うぇぇぇ!なんじゃそれ!
湿っぽい空気も悲しい感情も苦手だが覚悟していた。
でも、この状況で母親の第一声が臭いかい!
それから家に入って最初に言われたのも風呂入れ!だった。
それから、友人に会っても最初に言われるのが臭い!
自分では全く分からない・・本当に臭いのか?嘘だろ?
自分が臭いのに気づいたのは一月後だった・・
本当だ・・俺マジで臭い・・
なんでだ?食べ物?毎回シャワー30秒だったから?とにかく臭い。
それから暇があると風呂に履いて身体ゴシゴシしたが、沁みついた匂いがとれない。
臭くないと言われるようになるまで3カ月はかかったと思う。
この身体の匂いがとれたことで、僕のフランス外人部隊への挑戦は終わりを迎えます。
エピローグ
この19歳の時の僕の挑戦は、ずっと人生に影響を与えてます。
大体の事が怖くないし、何があっても4か月耐えられるし、
座右の銘が「戦争よりまし」になるし、世界の事が知りたくなるし、
殆ど全ての心構えと人生の方向性の基盤になってます。
勇気を出してめちゃくちゃ怖い事に挑戦する。
恐らく、令和の時代に本当は一番大切な事なんじゃないか?
本気でそう考えています。
フランス外人部隊への挑戦#1~8まで読んでいただいた方、
ありがとうございました!