見出し画像

ラジオ番組への応募作(エッセイ又はコラム):お題「クイズ」1200字程度 その2

「正解」どよめきが起きる。「いよいよ最終問題です。ここまでやってきた挑戦者は、この番組始まって以来、あなただけです。賞金金額もぐっと上がり3億円。ここでやめれば1000万はあなたの物。最終問題にチャレンジして、不正解なら今まで稼いだ金額は全て没収です!最終問題、やりますか?やりませんか?さあ選択は!」濃い顔の司会者がニヤニヤ笑いながら迫る。観客が俺を見つめる。こいつ大物らしいが稼いでるんだろうな。俺とは大違い。けっ、やってられねえ。
1000万。人生大逆転できるか思案する。ローン借金…、1000万で足りねえ!しがないサラリーマン人生、何も変わらねえ。3億あれば、借金なくなって妻と別れ、マンション買って、投資して不労所得で生きていける。1億を投資に回して15%儲けたら年1500。充分!そしてそこには自由が待っている。ここで0になっても元々だ。
「挑戦者はここでやめるのか、それとも最終問題にチャレンジするのか、さあ!さあ!!」観客がざわつく。「やります」「おーっと挑戦者、やると言ったか、本当か?もう一度聞きましょう、さあ、挑戦者、最終問題にチャレンジしますか」「やります!」観客がどよめく。「さあ、挑戦者、では、最終問題です、どうぞ」「問題、今年は…催されますが、次のオリン…市はどこ…うか? Aと…、B…キン、Cパリ、D…ルス」何だ良く聞こえなかったぞ。これがプレッシャー?よく聞こえない理解できない。色黒ニヤニヤが何か言っている。
「さあ挑戦者、まだライフラインのフィフティフィフティが残っています。使いますか?」「すいません、もう一度問題をお願いできますか?」「おーっと挑戦者、問題が聞き取れなかったようだぞ、これが最終問題のプレッシャーなのか~!よございます、私が読み上げましょう、よく聞いてください!」観客が静まり返る。「問題、今年はオリンピックが開催されますが、次のオリンピックの開催都市はどこでしょうか?A東京、B北京、Cパリ、Dアテネ、さあ挑戦者、答えは?」何だこの問題?次の、っていつの次なんだ?今7月20日だから次は東京だ、でも放送日は8月後半だから次のオリンピックを夏と思えばパリ、冬なら北京じゃねえか、観客、お前ら気づいてねえのか?これはどう答えりゃいいんだ?ここは選択肢を減らす為に50:50を使おう。「ライフラインを使います。50:50で」「おー、ここで挑戦者、50:50を使うぞ!行きます、そーれドン」ビョンという変な効果音と共にCとDが消えた。色黒が俺に迫りながら言う。「さあ、次のオリンピックはA東京、B北京、どれだ!」この収録は7月20日に行われました、なんていうテロップを出すぐらいなら放送日で答えたほうが番組的にはいいんだろう。もういいBの北京だ!「B北京」色黒ニヤニヤが俺を見つめる。5秒、10秒…こいつのこの顔芸、うっとおしいんだよ!さっさと決め台詞を言いやがれ。「ファイナルアンサー?」「ファイナルアンサー」「さあ、どうだ!!」静まり返る会場、5秒、10秒‥‥ビョン。
(文字数1260字)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?