アーゴノーツ

アーゴノーツとは、アルゴーという船に乗り込んだ英雄たちの事を言う。(古典ギリシャ語だとアルゴナウタイ(Ἀργοναῦται, Argonautai)、ラテン語だとアルゴナウタエ(Argonautae))

ギリシャ神話の有名どころが揃い踏みの英雄譚らしい。

ギリシャ神話の神々の系譜に連なる英雄たちは割とハチャメチャで、野性的だったり、暴力的だったり、利己的だったりで、「何千年と名を残す英雄がそんなやりたい放題でいいの?」とツッコミたくなる内容なんだけど、日本の神話の神々も似たようなもので、【神が自分に似せて人を作った】という話もそこに持ってきたならば、人とは神の下位互換とも言える訳で、人の持つ業を何十倍にもパワフルにしたならば、神話のはっちゃけ具合も納得できる。

英雄譚というのは、エンターテインメントでもあるわけで、その物語を楽しむ人々の生活の中にある喜怒哀楽を大袈裟に昇華して、それぞれが持っている欲求を満たしたかのように錯覚させる描写も必要だったのだろう。酒池肉林の描写は必要なのだ。そして、血沸き肉躍る冒険のストーリーには苦難と、それを乗り越える工夫や勇気が描かれて、聞くものを熱狂させ、聞き終えた者はカタルシスを得る。

そう。冒険譚、英雄譚の肝は、苦難と、それを乗り越える工夫と勇気。

そして、現実に私たちが直面する苦難に立ち向かう時に必要なのも、工夫と勇気。

現在、それらを見せてくれている人たちがいる。歴史に名を残すとか残さないとか関係なく、工夫と勇気を見せてくれている人たちがいる。苦難に直面したからこそ見える英雄的人格ってものは、有名無名に関係ない。

現在の苦難が引き起こすであろう予想できる次の苦難は、経済的な冷え込みだろう。

先行き不透明な景気退行感に押しつぶされるように、持っている金は極力出すものかと、現代の最も信用に足る神と崇められている現金を拠り所に皆がしてしまうと、きっと、今の社会システムという船は沈む。

「お金こそが私を幸せに導いてくれるものだ。だから、お金は極力出て行かないように守るの!」と、多くの人が行動したらば、経済は破綻して、お金は神どころか紙切れになってしまうだろう。

【先行きが見えないからこそ、お金を使う】それは勇気だ。いまの社会システムが最上最高だとは思わないけど、お金で世界が回る経済システムがいきなり頓挫してしまうのはいけない。経済的冷え込みという苦難に対抗する勇気とは、【先行きが見えないからこそ、お金を使う】だ。

もちろん、自滅に向かう程の散財が良いハズがない。「オレが経済を回すんだ!」と息巻いて、平時の何倍ものお金を使うのは蛮勇というものだ。「お金というモノは綺麗に使えば使う程、大きくなって戻ってくるものです」と立派な成功者は言うけれど、「攻撃は最大の防御なり」よろしく「消費は最大の収入なり」と、なるわけではないので、むやみやたらに消費行動をするのが良い訳じゃない。

いつもどおり、あるいは、平時より一割アップくらいの贅沢を。先行きの不安からため込むのではなく。苦難の中の工夫と勇気。貨幣経済、資本主義経済を維持したいのであれば、不安な時こそ、お金を使う勇気を。

金融に携わる仕事に従事している人間は、「お金は集まれば集まるほどパワーを増して、お金がお金をどんどん生む。だから、お金なんてものは使うもんじゃない。増やす為に貯めるもんだ」ぐらいの思想をもっているような気がする。飽くまで勝手なイメージだけど。

彼らこそ、経済が冷え込んだ時に英雄的散財をすべしなんだが、どうなんだろう。「誰かが景気をあげてくれるまでオレは金を抱えて耐えておく。耐えきったら、オレの勝ちだ」と、なりやしないだろうか。

苦難の海を渡る船の船員は英雄揃いであってほしい。工夫と勇気で英雄譚を紡ぐのだ。

我々はグローバル経済システムという不安定な帆船に乗っている。その名はザ・ワールド。
ワールドノーツたる我々は間違える事もダメな事をしでかす事もあるだろう。だけども、最終的にはカタルシスを得られるくらいのナニカを成せるはず。

工夫と勇気で、苦難の海を渡っていこう。

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