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ヨーロッパの子育てと日本の子育て

案外知られていないかもしれないが、イスラエルの文化はヨーロッパ文化そのもの(であることが多い)。イギリス育ちの私が、日本で子育てをしながら感じたイスラエル子育て文化の新たな気付きについて。

戦時中だけど何か

今イスラエルはご存知の通り戦争中なので、今年の夫の実家への里帰りは行くか(私が)迷ったが、良くも悪くも生活圏であるテルアビブは安全そうだったので、思い切って2週間ほど行ってきた。

子育てとは関係ないかもしれないが、戦争中の雰囲気をあまり感じることのない日々を過ごした印象だ。今まで何回も訪問しているが、今回は今回で(特に子育てにおいて)新たな気付きがあったのでまとめてみた。

イスラエルはヨーロッパ(っぽい)

「中近東」「中東」「アジアの最西」と言われるイスラエルだが、ビジネスやスタートアップが集うテルアビブの文化はどう見てもヨーロッパだ。本人たちも「アジア人」という自覚は全くない気配(笑)
だからか、なぜか今回の訪問で自分の幼少期、ロンドンで過ごした日々が色々と思い出された。

私が思うに、イスラエル建国時におおよそ6割の「移住者」であったユダヤ人はヨーロッパ方面から来ていることに起因する。今でも白人系イスラエル人が過半数を占める国だ。なので、住環境や建築、ライフスタイルもどことなく「ヨーロッパ」なのだろう。

子供は思いっきり子供

そんなイスラエル。ともすると一番私が気に入っている子育てポイントは「子供は思いっきり子供でいてOK」な点だろうか。

公共の場で子供が騒いでも誰も何も言わない。日本だったら「騒ぎ」が子供の笑い声だろうが喚き声だろうが、子供が騒げば電車では他の人に睨まれるし、他の親御さんもそれをわかってか:

迷惑だから静かにしなさい!

と、やたら子供を静かにさせようとする。子供は子供。迷惑をかけたくて大声を出しているのではない。子供は大きな声が出る生き物なのだ。なんだかそういう意味ではせまっ苦しい気持ちになる。

ちなみに日本であっても私は子供に「静かに!」とは怒ったことがない。子供が子供であることを迷惑と思うなら、そう思った人が別車両に移動しちゃえばいいとさえ思っている(笑)

まぁ流石に大声で歌が始まると「ありさんの声で歌ってほしいなー」とはお願いしてみるがね。

それはともかく、イスラエルで子供は「ヤンチャで、大声でその場その場を体験している生き物」という認識が定着している印象がある。ちなみに私が育ったロンドンもそんな感じだった。ちょっとくらい電車でお話ししたり、駅や空港で走ったりするのは睨まれず、むしろ通りかかる誰しもが微笑みかけてくれた。

子供を自由にさせるその反面、と言ったらなんだが大人はちょっと自由すぎる国民性は否めない(これに関してはイスラエル限定)。現地で義理パパとクラシックコンサートを聴きに行ったが、公演中に数えきれない着信音、人の話声(とそれを牽制する「しーっ」)、電動車椅子で右往左往する人を目にしては呆れたものだ。行きと帰りの飛行機もほぼ全員がイスラエル人だったが、10回くらい流れたアナウンスが:

シートベルト着用サイン点灯中は彷徨、トイレに行くこと、立ち上がること、座席の上の荷物の整理はやめてくださーい!

でした(笑)
他の飛行機では聞いたことがありません。離着陸時にも立って怒られてた人いたしな。危ないったら。

ガラクタが増えやすい

子育てにおいて欠かせないのが、家族や友人との付き合い。すごく良い意味で日本の文化は全体的に繊細で丁寧だ。ママ友同士の集まりや家族の集まり(要は気を許す仲)であっても、相手の子供への食べ物や贈り物のやり取りが非常に丁寧。

質の良いものを選んだり、食べ物だったら無添加を選んだり。受け取った親もいい気分になるようなものが多い印象だ。お下がりだって軽く包んでたり、お洋服だったら洗濯をして畳んであるのが当たり前の様子。

一方で私が育ったロンドンや、今回訪問したイスラエル。
お下がりはほぼそのまま丸投げ。以前、カビの匂いがする絵本をいただいたこともあるし、お洋服も妙な匂いがするものがスーパーの袋に詰め込まれていた状態で渡されたこともある。まぁ洗濯すれば同じと言えば同じだが…

新品の「モノ」やちょっとした集まりでのお菓子のギフトでも、良い意味では子供目線。悪く言えば「ガラクタ」をもらう機会が多い。

  • 家族が集まると「子供たちに」と言って回されてきた中国産の電池すら換えられない仕様の電池で動くおもちゃ。

  • 砂糖と着色料しか入ってなさそうなグミやお菓子。

  • 質の悪いキャラクターものの髪飾りや子供服(非常に壊れやすい)

などなど。日本だと「贈り物=相手を本当に思いやって選ぶ」感覚だとすれば、向こうは「贈り物=あげさえすればなんでも良い」印象がどうしても拭えない。とにかく安物(っぽい)。

特に環境の負荷を気にしている我が家にとってはちょっとこの点は心が痛い違いだが、全てのガラクタを断ることはできないし、人付き合いの上ではしたくないので、今後も葛藤することになると予想している…

シラミ問題

日本での子育てであまり体感してなくて、私のロンドンでの幼少期によく直面したものがシラミ。そしてイスラエルも同じらしい。上の娘はもう日本の保育園に通って4年目になるがシラミがクラスで発生したこともなければ本人も湧いたことがない。

それを聞いた義理ママが驚いたのだった。

1年に一回くらいは沸くでしょ?!

確かにロンドンでも1年に1回くらいはクラスの誰か(たまには自分も)シラミ沸いてたな。

言われてみれば日本や日本人は全体的に清潔だと思う(ただし公共のトイレを除く)。なぜか日本のトイレは、トイレが綺麗でも石鹸が無い(または無くなってる)ことが多いのはいつも不思議だが。笑

ヨーロッパの人もイスラエルの人も24時間に1回以上は体を洗うのが当たり前なので、この違いの原因はわからないが「清潔」の定義がそもそも少し違うのだろう。永遠の謎だが「子供=シラミ」は「赤ちゃん=おむつ」くらい当たり前なのだそう。

余談だが、向こうの薬局の子供品コーナーにはシラミ用クシが6種類くらい並べてあった。こっちの薬局では探さないとない気がする(というか見たことがない)。

とにかく自由

社会全体においてもそうかもしれないが、子育て環境において日本は「丁寧で清潔」だとしたらヨーロッパやイスラエルは「自由で開放的」だろうか。

どっちが良いとか悪いとかは、見ての通り言い切れない部分がある気がするので、最後は親の好み次第だと感じている。

私自身はロンドンで育ったので、多少清潔感に欠けても「自由で開放的」を選ぶが、大雑把な性格の人が育つ確率が高いことは否めない。
もちろん、大雑把で大胆な日本育ちの日本人もいるし、繊細で潔癖症のヨーロッパ人も何人も知っているので、一概には言えない。
が、育った環境による性格や生き方への影響は大きい思う。

こんな私と、決して神経質ではないイスラエル人の夫のことなので、私たちの子育てにはイスラエルやヨーロッパが良い気がするのである。

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