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周防大島町病院事業局のこれから

現在、2月2日までの期間で、パブリックコメント募集中の案件があります。

柳井広域医療圏での周防大島町立病院の立ち位置を見据えた、結構詳細な状況把握のためのデータが示され、将来どこを目指すのかということが、具体的に述べられていると思います。
膨大な量ですが、読んで行くと気になる点があるのも確か。
ぜひ、医療介護関係の方々、利用者の方々にも目を通していただき、周防大島超病院事業局がどういう医療提供体制を目指すのか、一緒に考えていただきたいと思います。
期限は、2024年2月2日!どうぞよろしくお願いします。

○経営強化プランって?

全国的に、公立病院は

  • 医師・看護師等の不足、人口減少

  • 少子高齢化の急速な進展に伴う医療需要の変化(医療需要が思ったより減っている)

  • 医療の高度化といった経営環境の急激な変化

などを背景に、厳しい環境が続いています。周防大島町も例外ではなく、というか、全国の中でも、結構厳しい環境にあると思います。

先にリンクを貼った総務省のページの中にも記載がありますが、公立病院の経営が厳しいことは、何年も前から認識されていて、公立病院の再編や、周辺病院と連携した役割分担による効率化などが図られてきました。

そんな中、2020年からのコロナ禍で、状況が一変。

多くの公立病院が、コロナ患者の受け入れ病院として、大きな役割を果たしてくださいました。
本町の、東和病院もそうでした。

「いざという時こそ、第一線で医療を提供する」という公立病院の存在意義が、改めて見直された出来事でした。
総務省も、

新興感染症の感染拡大時等の対応という視点も持って、公立病院の経営を強化していくことが重要です

と、はっきりと明記されています。

いざという時に底力を発揮するためにも、経営強化を図り、求められる機能は何なのかを整理してそれをしっかり守ることが大切だと考えます。


○病院事業局の再編計画はどうなった?

周防大島町の病院ウォッチャーの方なら、
「あれ?何年か前に、病院事業局の再編計画の説明会があって、いろいろ変わらなかったっけ?」
と、お気づきの方もいらっしゃるかも。

2019年12月に、住民説明会なども行われて、作られた再編計画はこちら↓

人口16,000人(2020年当時。2023年には、14,000人を切っています)のまちに、公立病院が3つ(大島病院、東和病院、橘病院[現橘医院])。介護施設が2つ。看護学校が1つ。町が運営しています。
病院事業再編計画は、2020年から2024年までが第1期、2024年には第2期計画を策定するということになっています。
施設整備基金を取り崩しながら経営している状況で、近い将来底をついてしまう…!経営を効率化して、病院事業を守りつつ、基金枯渇をできるだけ先延ばししようというのが狙いのひとつでした…

そんな計画が始まった途端、そう、コロナ禍に入りました。

病院事業へのコロナの影響

第1期の再編計画の概要は、こちら↓

○なし崩し的に入院受け入れを止めた橘医院

再編計画では、規模を縮小して“病院“から“医院“(入院病床数が19以下)にする、という予定だった橘医院は、東和病院や大島病院等での看護師配備を優先し、夜勤体制が確保できなくなったので入院受入を休止するとされたのが2021年2月。

その後、看護師を募集して確保できたら再開する、との約束は守られることはなく、今に至っています。

○コロナ患者受け入れで黒字となった東和病院だけど

コロナ患者受け入れ病院となったた東和病院は、山口県と連携して、緊急的な時に大切な公立病院としての役割を果たして下さったと思います。
全国的にも、赤字で危機に立たされていた公立病院の中で、同じように力を発揮したところは少なくなかったのではないかと推察します。
コロナ関連の補助金(コロナ患者受け入れに備えて、病床を空けておくための国庫補助金等)が入り、2020、2021の決算は黒字となりました。

一方で、どこの病院でも直面した“受診控え“は、コロナ受け入れ病院となった東和病院では、一層顕著だったようです。

コロナ禍が落ち着いた現在も、戻っていません。コロナの影響と言える部分がどのくらいなのかさえ、怪しい…

経営強化プランをみて気になったところ


○医師の高齢化

都道府県別の医師の平均年齢をみると、なんと、山口県は全国一高齢化が進んでいることが判明。

さらに周防大島町病院事業局を見てみると…

山口大学医学部附属病院や広島大学医学部附属病院から、定期的に派遣を頂いている診療科も多くありますが、常勤医師の新規雇用が大きな課題といえます。

○かつて廃止した産婦人科を16年ぶりに復活

この情報が12月の議会運営委員会で知らされた時は、委員会がどよめきました。待望の…!出産が!地元でできるようになるの!?
しかしよくよく聞いてみれば、柳井医療圏の周東総合病院から、週1回半日、医師を派遣していただくというスタイルでした。
周産期の通院が楽になる、婦人科系の検診や受診が町内で可能になるなどのありがたい面はありますが、赤字運営が織り込み済みで始まるこの事業。すぐに廃止されてしまうことはないかとても不安に感じています。
この件については、別途詳しく書きたいと思います。

○高齢者施設も病院も、民間事業者と動向を共有して

町内には7の民間医療機関(精神科除く)と、数々の高齢者施設があります。訪問介護等も含めると、さらに多くなります。
それらの施設とも、今後の人口動向や医療介護ニーズの変化の見通しを共有しながら、役割分担と連携を図っていく必要があります。


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あまり病院にお世話になることが今まで幸いにもなかった私なので、気付けないこと、いっぱいあると思います。
ぜひ、皆さんのお力をお借りしたいです。

気になったよその公立病院〜小国公立病院

よその公立病院って、どんな感じなんだろう?
そう思ってネットで色々見ていたら、熊本県にある小国公立病院のサイトに辿り着きました

ぜひ開いてみてください!!
人がいっぱい載っているんです。
お医者さんの紹介(写真があるって安心ですね。農産物だけじゃない)
他の医療スタッフのお名前や資格なども。
何より(うちのと比べて)サイトが見やすいです。
ちなみに周防大島町の病院事業局のサイトはこちら↓

また、小国公立病院は、noteもされています。
こちらは、先日対談をさせていただいた西田稔彦さんが働いておられる、地域科学研究所のpublic+さんが関わっておられるそうです。
病院も医療も、人が中心につくられていて、地域ごとに特色があって、課題もあって。
患者さんの顔だけではなく、そこで働く方々の顔もみて、今後の病院を考えていかなければならないと痛切に感じました。



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